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表参道で働くシニアのブログ

いつまでたっても「歌が聞き取りにくい音楽=かっこいい」みたいな新手の中二病っぽい音楽の聞き方をしてるおっさんがマイブラの新譜とか最近のアニソンとか聞いたはなし

ロック史上に残るような名盤を1991年にリリースして以来22年間もアルバムを出してなかったバンドが、突如先週末の土曜昼間に公式サイトでサードアルバムのダウンロード販売を開始して、30代から40がらみのロックおっさんおばさんを驚天動地に陥れたことは記憶に新しいですが、サイトがもう立ち上がってるというのにFacebookやTwitterで「まあ、また延期だとおもうけど」と書かれてたり、購入ボタンを押したのに「いや、これはダウンロードはできないとおもう」と言ってるやつがいたり、ダウンロードしてファイルが落ちてきたのに「まだ信じない」ってくらいの狼少年っぷりでしたけど、実際にはちゃんとダウンロードした音源をiTunesにつっこむと音は鳴ったし、実に「マイブラの新譜」としか言いようのないマイブラの新譜だったので笑ってしまった。あ、マイブラというのは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインというバンドの略称で、シューゲイザーと呼ばれる音楽ジャンルの開祖みたいな人たちです。22年前にリリースされたのは「ラブレス」というギターノイズの浮遊感がすごいことになってるアルバムで、ひとことでいうならすげえ才能のある中二に数千万円のカネを与えて「ぼくのかんがえた最高のギターミュージック」を実現させたような名盤です。

ラヴレス(紙ジャケット仕様)

ラヴレス(紙ジャケット仕様)

せっかくなので新譜を爆音で聞きたいねということになって、でかい音が出せる部屋に住んでる友達のところにおっさんが4人くらい集まって、爆音で試聴会をやったんだけど、爆音で聞き比べるとやっぱ「ラブレス」は音がすげえ手間かけて作られてるって感じがあって、とくに去年出た紙ジャケのリマスター版でちょう音がいいので音がよくて、新譜出るまでにかかった22年間って時間は、サードアルバム作るのにかかった時間というより、ラブレス並の名盤をまた作りたい/作らないといかんみたいな敷居が少しずつ下がっていって、このくらいの完成度ならリリースしていいかーみたいな許容範囲が普通のミュージシャン並になるのに要した時間なんかもなーみたいな雑談をした。

そいで、マイブラみたいなノイジーな音楽ばかり何時間も聴き続けながら酒を呑むのもツライので、友達んちにある音源をなんか聞こうみたいになって、あらゆるサブカルをこじらせた挙句にいま萌えアニメにハマっているという友達だったので、ふつうに最近のアニソンを聞かされて、というのはぼくは普段まったくアニメを見ないのでアニソン界がどんなことになってるのかさっぱりわかってないので、まあ入門という意味合いもありつつ、といってもマイブラ聞いたあとなので、これがちょうデスメタルっぽくてスゴイとか、めちゃくちゃフォークトロニカなアレンジですっげえ攻めてるみたいな音源を聞かされて、確かにイントロすごくて、え?これテレビでかかってるの?みたいなのが歌がはいるとやっぱふつうにアイドル歌謡っぽくて、このサウンドだったらもちっとボーカル処理したほうが良くない?みたいに言うと、ボーカルにエフェクトをかけるのは歌が聞き取りにくくなるからご法度なのだと言われ、なるほど、と聴いているとサビにはいるとふつうにJ-POPっぽいストリングスとかちょっと入って、ふつうのJ-POPっぽいアレンジになるので、イントロからAメロにかけては何をしてもいいけど、サビはかっちりJ-POPマナーにしないといけないみたいなせめぎ合いが1曲のなかにあって、そのせめぎあいも楽しみのひとつなのだという知見を得て、いろいろ世界は広くて深いと感心したのでした。

そもそもマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの音楽というのは歌が聞き取れるとか聞き取れないとかいうレベルでないくらいにボーカル処理されているわけで、にもかかわれずマイブラ聞いて「これ歌が聞こえないだろ!」とか文句言うひとはいないわけで、あくまで歌と伴奏として音楽を聞くかどうかみたいな聞き方の相違というのはあるなー、というか我が身を振り返ってみると、iPodをランダムでかけてて、ギターロック調なのにボーカルがハッキリ聞き取れる曲とかかかると、J-POPっぽくてイマイチみたいな、ただのレベルメーターかみたいな判断を自動で脳内でやってるなーというのをおもって、結論として「ボーカルが聞き取りにくい音楽=かっこいい」っていう新しい中二病の定義みたいな聞き方をしてて、そういえば「オレ今日のコンサートは××の歌じゃなくて○○さん(バックバンド)のベースばっかり聞いてたよー。やっぱ上手いよなー」って、オレはボーカル以外の楽器も聞いてるぜむしろボーカルよりバックのサウンドをオレは聞いてるぜアピールするやつっていたなーてゆかいまのオレがまだそれだなーもういいおっさんなのにみたいなことを実感したのです。

で、そのボーカルが絶対に聞き取れないマイブラをハッキリ歌が聴こえるようにカバーするという暴挙を少年ナイフというステキなジャパニーズロックバンドがしてたので、ここにサウンドクラウドを貼っておきますね