in between days

表参道で働くシニアのブログ

フェルメール展の混雑とか、日時指定入場のこととか、東京と大阪とか

三連休のなか日にフェールメール展を見てきた。ブームってすごいなってかんじで、ふだん美術展にいくと自分がいちばん若いんじゃないだろうかという客層のこともよくあるけれど、芸術の秋っぽいデートに来ましたみたいなカップルも散見され、ほんとになんで日本人はこんなにフェルメールが好きなんだろう? とおもったけど、まあ自分もそのひとりのミーハーなのであまりごちゃごちゃ言ってはいけない。その意味で日時指定入場制は正解だったなとおもう。

自分はどうだったかというと、17時からの券を事前にセブン-イレブンで発券しておいて、余談だけど美術展のチケットは作品が印刷されてて残しておきたくなるのだけれど、プレイガイド発券だとそういう楽しみがなくてちょっと味気ない。それはともかく、17時40分くらいに上野の森美術館に着いたら行列ができてる。次回の待機列かとおもったら、17時からのだという。とはいえ並んでいたら15分かそこらで入れたし、自分の後ろにはほとんど列ができてなかったので、並ぶのがキライなひとは時間枠の後ろのほうに来るとよさそう。入れ替え制ではないので、次の時間枠まで見ていればいい。

これは公式もオススメしている。

入場すると、まず2階に上がらされて、フェルメールと同時代、17世紀のオランダ絵画が肖像・宗教・風景・静物・風俗と5部に分かれて40点ほど展示されているのを見ることになる。これを人の流れに従って見ていくとだいたい30分くらいかかるだろうか。そして階段を降りてシアター空間みたいな前説で準備を整えたら、次の広い部屋にフェルメールが8作品。これを列に並んで順に見ていくとやはり30分くらいだろうか。なので1時間くらいでひと通りは見れそう。

上野の森美術館 - 展示のご案内 - フェルメール展

とはいえ、自分は実は入るなり前半をほぼ素通りして、まず最後のフェルメールに行った。まあすごい混雑だけど、最前から見ようとしなければ、それなりには見れる。単眼鏡があるともっとよかったかもしれない。面白いのは、順路の最初にある絵が最も混雑していて、今回の目玉である「牛乳を注ぐ女」は最後にあるのだけれど、それほどでの混雑ではない。その直前にあってかつ小さな「赤い帽子の娘」はもっと人がいなくて、なんかアイドルの握手会の列みたいだなとおもった。

それでおおむね全体を把握したので、最初の部屋に戻る。日時指定の枠と枠のあいだには30分の空き時間があって、この時間帯は人が入ってこない。ということはわかっていたのだけれど、最初の部屋には本当に鑑賞者がほとんど誰もいなくてちょっと笑ってしまった。それで展示を最初から順にまた見直して、最後のフェルメールの部屋に19時過ぎに入ったら、少しひとが減ってきてた。それで次の入場がはじまるのでまた混んでくるのだけれど、午後7時過ぎに美術展に来ようってひとはそれほどいないのか、18時ごろの混み方にはならなくて、そこから徐々に人が減ってくるので、最終入場が終わる20時以降はまあふつうにひとがいるなくらいにだった。次のツイートは自分の実感にも近いけど、逆にものすごく怒ったツイートしてたひとも探すといて、よっぽど早い時間に入って、まだその枠の入場が終わり切らないうちに出ちゃったりしたんだろうか? とおもった。

チケットが2500円とやや高めなこともあってか、作品リストが解説付きの冊子になっていて入り口で配ってくれるし、音声ガイドも全員に配られてて気前がいい。その音声解説で知ったことをその場で連れの女性に「これが一番大きな絵なんだって!」って説明している兄ちゃんがいて、たしかに自分も聞いて「へー」とは思いつつぼっちだったので黙ってたけれど、連れがいたら言っちゃいそう。ただ、よく考えたら、連れもその音声ガイド聞いてるよね。

f:id:mohri:20181008220741j:plain 入り口で配られた小冊子型の作品リストとおまけのしおり

ところで、今回はフェルメールの9作品が上野に来ると宣伝されているけれど、当初は8作品といってて、実際にも「9作品を一度に見れる」わけではなくて、展示替えがあって、全部を見るには2回行かないといけない。ところが、この展覧会は大阪に巡回するのだけれど、東京の目玉だった「牛乳を注ぐ女」は大阪にはいかなくて、代わりに「恋文」がやってくる。ともにアムステルダム国立美術館所蔵の名作で、ちなみに2階に展示されているオランダ絵画もほとんどがアムステルダム国立美術館の所蔵だけど、ともかく秋に東京に行って冬に大阪に行くと都合10作品が見れるようだ。

ちょっと気になったので、フェルメール作品の所蔵先と展示を付録の冊子と公式サイトからまとめてみた。アムスの作品が入れ替えになるほかは、ベルリン国立美術館の2作品が東京のみでお帰りになる。最後に追加で決まった「赤い帽子の娘」はやはり「手紙を書く女」のおまけ的な扱いなのだろうかとか、「取り持ち女」は実は大阪のみの予定だったんじゃないだろうか……とかいろいろ憶測できておもしろい。

# 作品名 所蔵 東京 大阪 備考
40 マルタとマリアの家のキリスト スコットランド・ナショナル・ギャラリー
41 取り持ち女 ドレスデン国立古典絵画館 日本初公開、東京は1月9日(水)より
42 牛乳を注ぐ女 アムステルダム国立美術館
43 ワイングラス ベルリン国立美術館 日本初公開
44 リュートを調弦する女 メトロポリタン美術館
45 真珠の首飾りの女 ベルリン国立美術館
46 手紙を書く女 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
47 赤い帽子の娘 ワシントン・ナショナル・ギャラリー 日本初公開、12月20日(木)まで
48 恋文 アムステルダム国立美術館 大阪のみ
49 手紙を書く婦人と召使い アイルランド・ナショナル・ギャラリー

ところで、ここまで読んできて作品がどんなだったのかまったく書いてないってことにお気づきの方もいるかもしれないけれど、自分に語れるようなことはフェルメールの作品ガイドを載せてるいろんなウェブサイト、それこそウィキペディアの「フェルメールの作品」あたりを読んでもらったほうが役立ちそう。予習しておきたいひとには公式ガイドブックがよさそうだった。

『フェルメール展』公式ガイドブック (AERAムック)

『フェルメール展』公式ガイドブック (AERAムック)

ただ、同じ部屋に並んで展示されてるからほんとに実感したんだけど、これぜんぶ同じ部屋で書いてんじゃね? 感がすごかった。フェルメールの絵はだいたい中央に机があって、右側に人物、左側に窓があって光が差し込んでるって構図なんだけど、並べてみるとほんとにおなじだし、なんなら部屋の調度品まで同じで、違う場所のように見える「赤い帽子の娘」の画面の下のほうにちょっと見えてる飾りがどうも他の絵の椅子にあるのと同じに見えるので、ひょっとすると反対側からの構図なのかもしれない。「牛乳を注ぐ女」で印象的な青い布も、ほかの作品にも見られる。アトリエなんだろうけど、何か理由あって構図が同じかんじなんだろうか。