というわけでTSBクドカンドラマ「タイガー&ドラゴン」で毎回題材になってる落語についてアレコレ調べるリンク集シリーズ「オレの噺を聞け!」*1。今回は第2話の「饅頭怖い」略して「まんこわ」、関西では「おめこわ」(嘘)なわけですが、やーまんこわって前座噺じゃないですか(じゃないですか話法)。あんま気合い入らないからチンタラやってたらもう放送始まっち終わっちまいましたよ。つかオレは録画見るから関係ないわけだが(ちゃんと録れてることを願う)。
饅頭怖いってたぶんフツーのひとでもいちばん知られてる落語なんじゃないかと思うんですよね(ですよね話法)。あの「あとは濃いお茶が怖い」ってオチ(ちなみに落語用語でオチのことを「サゲ」と言います)は、いろんなパロディにも使われがちだし、ハナシも単純でバカの中に利口がひとりいてみんなを上手く騙しちゃうという「罪のない嘘」系の噺。いや、むかし甘いモノが貴重だったころには「すっげえ大ウソ!」だったのかもしれませんが、まあいま見たらカワイイもんです。
でも、そのサゲに至るまでの過程をどう聞かせるかが落語家の神髄でありまして、町内のバカが集まって馬鹿話をしてるそのバカバカしさがどれだけ出せるか、というあたりが聞きどころでありますが、この馬鹿話は江戸落語では割とサラっと流しちゃうんですが、関西ではここを膨らませて割と大ネタに仕上げちゃってるんですね。いや前座噺とか思いこんでたオレが阿呆でした。上方と江戸の両方の「まんこわ」をテキストで掲載しているサイトがあったので、まずこちらを読み比べてみてみるとよいでしょう。
こうして読み比べると関西版のほうはもうこれでもかと盛りだくさん、つか本筋の饅頭を怖がるシーンがおまけみたいな感じです。上方版まんこわ(略して「おめこわ」←嘘)はこちらにもテキスト書き起こしがあります。
巻末に用語解説も付属してていたれりつくせり。「特選! 読む上方落語 353演目」とうたったサイトだそうで、インデックスを見るとこれはもう圧巻ですね。素晴らしい。ぜひトップからじっくり見て回りたいサイトです。
さて、これは米朝師匠の「まんこわ」のようです。米朝師匠といえば亡くなった小さん師匠と並ぶ人間国宝落語家。現存する最高級の名人ですが、個人的に見たいのはこちら。
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上方落語が産んだ偉大なる奇形児。前身で笑いを表現しながらもそのほっそい目の奥だけは笑っていないという生真面目に本格から異端までを呑み込む芸風。いまにも死にそうな決意で笑いを追求し続けてそして死んでしまった枝雀師匠。師匠を偲んでこれを挙げさせていただきます。
ちなみに「まんこわ」の中国由来という噺は「にしき堂お菓子資料館」さんでみっちり解説されていました。
このあとT&Dで取り上げられそうな噺とか
「三枚起請」「芝浜」「饅頭怖い」ときて、次はなんだろう? って感じですが、無責任にいろいろ考えてみるのも面白い。個人的にやってほしいというか似合うだろうなと思うのは、まず「らくだ」。前半の酒が入ってくると2人の立場が逆転しちゃうところとか、後半のらくだを担いで江戸の街をぐるぐると歩いていくちょっとロード−ムービーっぽい?ところ、どっちもクドカン向きな題材な気がする。
あと本職の落語家がもっと出て欲しいなあ。鶴瓶師匠と昇太師匠だけじゃなくって。小林さんところの孫とかさ。ヘンな外人役で快楽亭ブラックとかさ。bdfdのコメント欄によると立川藤志楼(高田文夫)が出るらしいっていうから立川流Bコースがゾロゾロ出てくると豪華でいいよね。立川錦之助とか、立川談遊とか、ミッキー亭カーチスとか、立川ダンカンとか。わらい。
- ミッキー・カーチス師匠「饅頭こわい」(バーチャル寄席)
写真は松山名物「労研饅頭」。
*1:シリーズタイトルを付けてみました