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表参道で働くシニアのブログ

「オヤジ」としての長さん:だめだこりゃ/いかりや長介

長さんの自伝を読んだ。読みやすく簡潔に書いてあって、エピソードによってはもっと突っ込んでほしかったというか、ドリフの不仲説や裏番組の欽ちゃん/ひょうきん族への複雑な心境、さまざまな業界人との関係なども優等生的にサラッと流してあるのが物足りない感じもするけど、デビューまでの経緯や荒井注脱退の裏話などは業界秘話という感じでかなり面白く読めた。

だめだこりゃ―いかりや長介自伝

だめだこりゃ―いかりや長介自伝

長さんが亡くなったのは2004年の3月、そのころまだdeadmanというサイトをやってたんだけど、このサイトを更新していて、一番哀しかったのは意外なことに長さんの訃報だった。

別にそんなにドリフのファンというわけでもなく、というかドリフは見てたけどやはり志村の世代だし、土曜八時の番組としても初代欽ドンやひょうきん族のほうがどちらかといえば好きだった。それなのに長さんの訃報には胸をつかれる思いがして、仕事中に不覚にも涙をこぼしたりもした。それがなぜだかわからなかったんだけど、ドリフのDVDとかを見ててわかった。

TBS テレビ放送50周年記念盤 8時だヨ ! 全員集合 2005 DVD-BOX (通常版)

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だめだこりゃ―いかりや長介自伝』で長さん自身が書いてるけど、ドリフには役割がきちんとあって、加藤や志村がボケていじめられ、長さんはどんなコントでも上司だったり先生だったり母ちゃんだったりと一貫して志村たちを叱る役だった。それがテレビを見ている子供ごころにも自分たちの世代にとっての典型的な「父親」的な像となって映ったんだよな。

自分が志村やカトちゃんのようにイタズラを叱られる身分であるがゆえに、長さんは怖くて頼れる先生であり親代わりでありリーダーだった。それはもうテレビを通じて刷り込まれた「思い出」のようなもので、だから別にファンでもなにもないはずなのに長さんの訃報にはつい泣いてしまったんだ。偉大なる先達というか。

ガンダムを実写でやるときには、パオロ艦長をぜひ長さんでおねがいしたい。

ワッケイン「我々は学ぶべき人を次々と失ってゆく。寒い時代だと思わんか?」

『踊る大走査線』の役回りはそういう長さんにはまさにはまり役だったんだろうな。メインターゲットになる視聴者層が、みんな子供のころは長さんに叱られた(擬似的な)思い出があるんだから。

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