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表参道で働くシニアのブログ

最初の『FreeBSD徹底入門』から10年経った

昔話です。Windows 95が出てインターネットブームが起きたのと前後して、PC-UNIXもちょっとしたブームになりました。いまからだとPCでUNIX(あるいはLinux)なんてのは当たり前すぎて「へ?」って感じだけど、当時はまだUNIXというのはSunとかHPとかのワークステーションで動くものというイメージが強くて、あとPCへのインストールもけっこう難しくてコツがあって、いまみたいにググればなんでも出てくる時代じゃなかったから、インストールのノウハウとかハマリどころなんて情報をゲットするには雑誌や書籍といった紙媒体の価値がいまよりずいぶん高かったものです。

FreeBSD徹底入門―初めての人でも安心 PC‐UNIXのインストールと完全活用 FreeBSD2.2.1‐RELEASE

FreeBSD徹底入門―初めての人でも安心 PC‐UNIXのインストールと完全活用 FreeBSD2.2.1‐RELEASE

  • 作者: あさだたくや,衛藤敏寿,細川達己,天川修平,浜田直樹,三田吉郎
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 1997/06
  • メディア: 単行本
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『FreeBSD徹底入門』はぼくが翔泳社で担当した書き下ろしとしてはたしか3冊目の本で、1997年5月30日刊行。ちょうど10年経ちました。このころはまだ日本でFreeBSDのユーザーとLinuxのユーザーが拮抗してたという印象。ASCIIから「FreeBSD vs Linux」だったかな、そんなタイトルのムックを買った覚えもあるし、あとなんといっても256倍シリーズ。そういう面白い本は何冊かあったんだけど、FreeBSDの初心者向けにインストールから詳しく解説した入門書が無かったところに当時の最新バージョン2.2.1Rを収録して刊行したら予想をはるかに上回ったヒットになって、そのあと10年間で作ったどの本より売れました(まあそれから10年間なにやってたんだっつーことでもありますが)。秋葉原のザコン館は当時一階に書籍売り場を広々と構えてて、そこのチャートで一位になったのは嬉しかったなー。

それから10年。PCをFreeBSDもインターネットも書籍もいろいろ状況は変わりました。変わらないモノはなんだろう。なにか面白そうなシステムがあって、寄ってたかってコードを書いて補強したりひっくり返したりしてしまうハッカーのひとたちがいる、ってことでしょうか。この本もノートPC向け追加キット「PAO」を開発されてたbsd-nomads MLを中心にバリバリにコードをコミットしてたコミュニティの中心的な方々に執筆いただいて、そのおかげで現場の声を活かしたしっかりした内容にまとまあげることができました。とくにPAOの中心にいて多言語化インストーラFDも作られていた細川さんは「こういうひとのことをハッカーというんだ」という印象がすごく残っています。前作『Java入門』から引きつづき中心になってとりまとめていただいた衛藤さんにはほんとうに助けられました。そのほかの本書や関連書籍執筆陣のみなさんも5年前に本書の改訂版(改訂版 FreeBSD徹底入門)を出したあとすっかりご無沙汰になっていまってますが、みなさんお元気でしょうか。ご活躍されていることと思います。