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表参道で働くシニアのブログ

世界のサブカルチャー

「世界のサブカルチャー」という私が編集を担当した本が刊行されました。
今日デブサミでid:TAKESAKOアワーを見た帰りに立ち寄った書店にもちゃんと積んでありました。

周囲の本を見ればわかるようにこの書店では「サブカル」コーナーに並べていただいていますが、書店によっては「アート」や「PC書」のコーナーに置かれているようです*1

とはいえ売り場がハッキリしないということは、つまり分類が難しい本ということになりますでしょうが、確かに私がいままで担当させていただいた本の中でもピカイチに説明しようがない本になりました。こうして宣伝文を書こうとしていてもいったいなんと書き出せばよいものか…。

世界のサブカルチャー (NT2X)

世界のサブカルチャー (NT2X)

  • 作者: どどいつ文庫伊藤,ばるぼら,福井康人,野中モモ,みち,タブロイド,屋根裏,タコシェ
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2008/02/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 8人 クリック: 343回
  • この商品を含むブログ (38件) を見る
と悩んでても仕方がないのでつれずれと書きなぐってみることにします…

屋根裏を書籍化

まず本書をひとことで説明するなら、それは日本のインターネッツが誇るアングラサイト「屋根裏」の書籍化です*2。と書いたところで、屋根裏がどういうサイトで、その書籍化にどんな意味があるのか、それがわかる方なら、もうこの執筆陣を見ただけでビンビンに反応されていることでしょう。なので屋根裏なんか知らないという方にもわかるように説明しなければいけないのですがそれが難しい…

ひとまず本書の執筆陣でもある日本の名だたるネット書店のみなさんによる説明をお読みいただいてイメージを膨らませていただければと思います。

では気を取り直して、本書はどういう本かをひとことで言うなら、あなたが知らなそうなヘンなものがたくさん載ってるカルチャーガイドだと言っちゃっていいでしょう。そういうヘンなホンとして誰が読んでも十分に面白い。それはもう折り紙つきですって誰の?

アングラとアートを地下水脈でつないだものがゼロ年代のサブカルチャー

ということで説明は終わりなんですが、まあ敢えてもう少し本書の狙いみたいなところまで入っていくことにしましょう。いまかなり酔っ払ってますので、くだらないネタが頻出してますが、気にならない方だけお読みいただければ。
と断っておいて、本書についてもうひとこと言うなら、本書は(サブ)カルチャーのまったく新しい視点からの再構築という試みです。ゼロ年代のさまざまな文化(カルチャー)を、既存のメイン/サブとかオタク/サブカルといったような分類軸をいったんチャラにして、大衆に親しまれているメインカルチャー(あるいは商業的で消費的なマスカルチャーに言ってもいいかもしれませんが)をバッサリと除外し、そうではない部分、つまりアンダーグラウンドでカルトでマニアックな21世紀の「サブ」カルチャーをカタログガイドブック的に紹介していこうというのが本書の趣旨です。

このアングラとアートの出会い頭的な出会いというのは偶然ではなく、屋根裏さんがページに書いていらしたことなのです。屋根裏さんは過去ログをすべて消してしまってるので定かではないですが、記憶によれば。

アングラだったはずなのにいつの間にかアートになっていた

というような言葉だったと思います。コレを読んで私はピン!ときました。チリンチリン盗まれた! アングラを追いかけて地下水脈をずずっずずっと突き進んでいくと視界が開けた先にあったのが現代アートだったという奇想天外。間にあるであろういろんな文脈をバッサリと断ち切って、アングラとアートを直結にしてひとつのくくりの中に入れてしまう視点。この切り口はまったくもって新しい過ぎるくらい新しい。ぜひ本にしたい。というかそういう本を私は読みたい!

類書、のようなもの

その結果、どういう本が出来上がったのといいますと、一般的なかなり広義なサブカルチャーからオタクとサブカルをごっそり引いて、代わりに(アンダーグラウンドな)アートを継ぎ足した、一見よくわからない内容でありながら、なぜか不思議な統一感のある構成になっています。つまり、ゼロ年代のサブカルチャーの網羅的なガイドブックを作ろうとするなら必ず含まれるであろうアキバ系オタクカルチャーはこういった本にまかしてしまい

オトナアニメ Vol.7 (7) (洋泉社MOOK)

オトナアニメ Vol.7 (7) (洋泉社MOOK)

現代視覚文化研究 2 (三才ムック VOL. 185)

現代視覚文化研究 2 (三才ムック VOL. 185)

あるいはサブカル少年少女が大好きなオルタナ系のロックミュージック名盤はこちらを参照いただきたく
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 03月号 [雑誌]

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2008年 03月号 [雑誌]

ましてや現代アートと言えども
BRUTUS (ブルータス) 2008年 2/15号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2008年 2/15号 [雑誌]

Pen (ペン) 2007年 11/1号 [雑誌]

Pen (ペン) 2007年 11/1号 [雑誌]

あたりで取り上げられるであろう上品なアートはそちらをご覧いただいたほうがベターであり、ということで本書に残っているのは、そういったものを除いたすべて。

かなり荒っぽく言うならみんな大好き90年代アングラと、みんな大嫌いゼロ年代のアート(ポスト村上隆!)が手に手を携えて仲良くひとつの生命の木となってぱらいそへと向かう、そんな本だと言えるでしょう。さあ、みなさんも私といっしょにご唱和ください。

「おらもつれていってくだせ!おらもつれていってくだせ!」

そして明日その足で本書を買いに出向いていただけると幸いでございます。

諸星大二郎自選短編集 (1) (YOUNG JUMP愛蔵版)

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はらいそ

はらいそ

ちょっとだけよ

なんていう70年代サブカル落ちをやってても仕方ないので、最後にどういった内容なのかちょっと中を覗いてみましょう。まず第1章はアート(絵画)ですが、たとえばこれはStu Meadさんの作品を紹介するページです。

アートはほかにはたとえばこういう感じ

第2章はばるぼらさんによる一見意味不明なジャンルわけによるレコードガイド。このジャンルわけにはちゃんと意味があるんだよ的なはなしは先日の円盤の5時間独演会で話していらっしゃいました。

その円盤も載ってますし、円盤近くの無力無善寺も掲載。

締めは急行×セラチェン春山インタビュー+ゲンプロみちさんによるロフトプラスワンなイベントのご紹介。

といった断片だけ掲載されても「???」と疑問符だらけでしょうし、紹介してるほうも整合性があるのか破綻してるのかイケてるのかダサいのかわけわからんことなってくる感じもありますが、ぜひご自身の目でいちど手にとってご覧いただければ「なるほど」と納得されるのではないかとおもいます。

どうぞご利用ください。><

世界のサブカルチャー (NT2X)

世界のサブカルチャー (NT2X)

  • 作者: どどいつ文庫伊藤,ばるぼら,福井康人,野中モモ,みち,タブロイド,屋根裏,タコシェ
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2008/02/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 8人 クリック: 343回
  • この商品を含むブログ (38件) を見る

*1:池袋のJやLといった書店ではサブカルとアートとPCの3箇所で展開されているというありがたい話も聞きました。池袋が最寄り駅の方はぜひ足を運んでみてください

*2:本書執筆中に何度かリニューアルされて、数年前のロリペド鬼畜サイト「クラブきっず」をウォッチしまくっていたころの面影はすっかりありませんが