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表参道で働くシニアのブログ

読んだ - 三上寛『怨歌(フォーク)に生きる』

異能のフォーク歌手、三上寛の自伝。自伝? 自伝……なんだろうか。

三上寛怨歌(フォーク)に生きる

三上寛怨歌(フォーク)に生きる

青森県小泊村で寺山修司にあこがれ、板前になるために上京するも詩人の夢捨てられず出奔。新宿ゴールデン街で極右と極左に見初められ、異端のフォーク歌手としての地位を確立するも、フォークソングブーム後のスランプ、離婚、……といった自らの人生が文学的に綴られていくのだが、いつしかそれが自らの生死観になり、社会へのメッセージになり、生き方を模索する思索的な文章へとトランスフォームする。圧巻は、民族主義者阿部勉との邂逅から三島由紀夫の話になり、やがて天皇制と日本社会について語り始めるとき、改行がやたらと増えていき、そしてまるで詩となっていく。集団即興のなかからメロディが立ちあがってくるときのような美しさがある。夢は夜ひらく。
ひらく夢などあるじゃなし

ひらく夢などあるじゃなし

寺山修司の特集 (話の特集ライブラリー)

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  • 作者: 寺山修司,白井佳夫,三上寛,別役実,宇野亜喜良,矢崎泰久,坂梨由美子
  • 出版社/メーカー: 自由國民社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 単行本
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