ほぼ2週間前にこういう記事を書きました。
シナロケの名曲「レモンティー」の元ネタといわれてるヤードバーズのあの曲のさらに元ネタについて - in between days
今回の記事は、この続きです。前回は「レモンティー」の楽曲の元ネタをたどってみたんですが、今回は歌詞。あのエロティックな「しぼって僕のレモンを」って歌詞はどっから来てるのか?
一説によると、レッド・ツェッペリンのセカンドアルバムに収録された“The Lemon Song”の歌詞にある「you squeeze my lemon」から来てるというのですが……では、これがツェッペリンのオリジナルかというとそういうこともないようなのです。
- アーティスト: Led Zeppelin
- 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
- 発売日: 1994/07/04
- メディア: CD
- 購入: 7人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (104件) を見る
いきなりですが、ウィキペディアの“The Lemon Song”の項目にそのまま載っているので引用しましょう。
The song borrows from Howlin' Wolf's "Killing Floor", which was a song Led Zeppelin often incorporated into their live setlist during their first concert tour of the United States. For the second and third North American tours the song evolved into "The Lemon Song", with Plant often improvising lyrics onstage.
Other lyrics, notably "squeeze (my lemon) till the juice runs down my leg," can be traced to Robert Johnson's "Travelling Riverside Blues". It is likely that Johnson borrowed this himself, from a song recorded in the same year (1937) called "She Squeezed My Lemon" (by Arthur McKay). The song also borrowed from Albert King's "Cross-Cut Saw".
つまり、“The Lemon Song”という曲は、ツェッペリンがカバーしてたハウリン・ウルフの“Killing Floor”(1964年)に、ここで注目している「しぼって僕のレモンを(squeeze my lemon)」という歌詞を付け足したようなものだそうです。
そして肝心のこの歌詞は、ロバート・ジョンソンの“Travelling Riverside Blues”(1937年録音)から借用。この元ネタの曲を、ツェッペリンは“The Lemon Song”と同じ時期にBBCのセッションで録音しています。
つまり、“Killing Floor”+“Travelling Riverside Blues”→“The Lemon Song”ということになります。前回の記事に書いた、レコードのA面とB面を足してしまったジェフ・ベックを思い出させます。
さらに、このロバート・ジョンソンの楽曲も、同年に録音されたアーサー・マッケイ“She Squeezed My Lemon”からの借用だといいます。ひょっとしたら、ブルーズの常套句だったのかもしれません。
ツールをたどり続けられる音楽は豊かだとおもう
前回、ヤードバーズ→ジョニー・バーネット→タイニー・ブラッドショウ→フレディ・スラック楽団と、1940年代のスウィングジャズまでたどったけど、今回は1930年代のデルタブルースまでさかのぼれました。
こういう風にオリジナルをどんどんたどっていけるということは、逆に新しい音楽が作られている現場を見るなら、過去の膨大な蓄積を踏まえて新しい音楽が生まれているということで、まさに「巨人の肩に立つ」という言葉がピッタリだとおもうのです。
音楽だけではなくいろいろな文化において、なにかを作ろうというときに、参考になる先達の蓄積が手近なところに脈々とあるという豊かさが、とっかかりを容易にするだけじゃなく、作品を重層的に面白いものにしていくのじゃないかなあとおもっているんだけど、日本のポピュラー音楽、J-POPとか歌謡曲とか、だいたい元ネタがすぐ洋楽だったりして、ルーツがすごく遠くにある感じになるのが寂しくて、ルーツが国内に脈々とあるのはいいなあ、とおもったりするのでした。
- アーティスト: BILLIE JOE & NORAH J
- 出版社/メーカー: REPRI
- 発売日: 2013/11/22
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
【追記】誤字直した(5/12 10:30)