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表参道で働くシニアのブログ

もしもビートルズのアルバムが『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド〈デラックス・エディション〉』みたいにCD再発されていたら?

先週、こんな記事を書いた。

もしもビートルズのアルバムが『プリーズ・プリーズ・ミー +5』みたいな形でCD再発されていたら? - in between days

この記事では1966年の『リボルバー』まで7枚目のオリジナルアルバムについて、ほかのバンドでよくあるようなボーナストラック付きでCD再発されていたら? という設定で、アルバムと同時期に録音された音源をパストマスターズやアンソロジーから集めてみた。

ビートルズのいまの再発形態はスタンダード感があってよいんだけど、「このころのビートルズはどんなんだっけ?」ってのをまとめて聴くのがちょっと面倒っていうのもあるので、PCに取り込んだりした音源でプレイリスト作ってみると便利ではっていう趣旨でした。

そして今回はその続き。といっても1967年以降のビートルズはちょいとやっかいで、というのは、前年にライブ活動を止めてしまってスタジオの活動をメインにしてしまったので、とにかく未発表音源が多い。だからボーナストラックというより、各アルバムにボーナスディスクがついた「デラックス・エディション」になりそう。こんなかんじ。

My Generation

My Generation

もうひとつ、とにかくスタジオしかやることがないので、のべつまくなしに録音してる。そのためリリースが録音とズレてることがあって、どの時期にいれていいのか悩ましい曲がいくつかある。

1967年と1969年のビートルズの録音とリリースの問題

1966年末から1969年(正確には70年頭)にかけて、ビートルズは主に5回のレコーディングセッションをもっている。

  1. 1966年末から1967年頭:アルバム「サージェント・ペパーズ……」のセッション
  2. 1967年4月以降:映画「マジカル・ミステリー・ツアー」と映画「イエローサブマリン」のサウンドトラック、そしていくつかのシングルのためのセッション
  3. 1968年5月から:アルバム「ザ・ビートルズ(ホワイトアルバム)」のセッション
  4. 1969年1月:いわゆる「ゲット・バック」セッション
  5. 1969年2月以降:アルバム「アビーロード」のセッション
  6. (1970年頭:アルバム「レット・イット・ビー」のための追加レコーディング)

1968年はホワイトアルバムで一貫しているので問題ないのだけど、67年と69年はそれぞれに面倒さがある

  1. 67年:サージェント・ペパーズ周りのシングルやサントラ収録曲の扱い
    • アルバムに先行するシングル「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー/ペニー・レイン」が、次のアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」のB面に収録されている
    • イエローサブマリンのサウンドトラックには新曲が4曲しか収録されてないうえ、1967年のさまざまなセッションからつまみ食いするように収録されている
    • この2枚のサントラの現行の形式を優先するのかどうか?
  2. 69年:ゲット・バック・セッションとアルバム『レット・イット・ビー』の関係

このあたりをどう考えるかでいくつか違った「デラックス・エディション」ができるだろうけど、エイヤっと組んでみました。賛否ありそうだけど、まあ遊びということで。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band +15

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(紙ジャケット仕様)

サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(紙ジャケット仕様)

この名盤は、アルバムの雰囲気を崩さないよう1枚目は上記のオリジナルそのまま。

ディスク2として、次の全15曲入りのボーナスディスクを付けるのでどうだろう。

Magical Mystery Tour (US) より

  • 1. Strawberry Fields Forever [single, 1967]
  • 2. Penny Lane [single, 1967]

この2曲はアルバムに先行して録音・リリースされたシングルで、アルバムのセッションの一環でもあったようなので、ここにまとめてしまったほうがよさそう。じゃあ『マジカル……』がどうなってるかは、このあとで。

Yellow Submarine (soundtrack) より

  • 3. Only a Northern Song

『イエローサブマリン』も思い切って分解しました。同じ時期の録音を集めるというコンセプトでやろうとすると、こうならざるをえない。

現在はこういうリミックス・アルバムも出てるし、自分でプレイリスト作って聴く分には、もとのサントラのフォーマットにこだわらなくてもよいかも。

Yellow Submarine Songtrack

Yellow Submarine Songtrack

Anthology 2より

4曲目以降はアンソロジーから未発表音源を12曲。

  • 4. Strawberry Fields Forever [demo sequence] [mono]
  • 5. Strawberry Fields Forever [take 1]
  • 6. Strawberry Fields Forever [take 7 & edit piece] [mono]
  • 7. Penny Lane [take 9 horn overdub]
  • 8. A Day in the Life [takes 1, 2, 6 & orchestra]
  • 9. Good Morning Good Morning [take 8]
  • 10. Only a Northern Song [takes 3 & 12]
  • 11. Being for the Benefit of Mr. Kite! [takes 1 & 2]
  • 12. Being for the Benefit of Mr. Kite! [take 7 & effects tape]
  • 13. Lucy in the Sky with Diamonds [takes 6, 7 & 8]
  • 14. Within You Without You [Harrison]
  • 15. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) [take 5] [mono]

アンソロジー 2

アンソロジー 2

以上が「サージェント・ペパーズ……」のボーナスディスクです。

Magical Mystery Tour +18

マジカル・ミステリー・ツアー(紙ジャケット仕様)

マジカル・ミステリー・ツアー(紙ジャケット仕様)

『マジカル・ミステリー・ツアー』も2枚組に。とはいえ、ボーナストラックが「+18」とは妙に多いなと感じる方もいるでしょう。

はい。これは英国オリジナル2枚組EPに収録された6曲をベースにして、全24曲。

Magical Mystery Tour EP (UK) より

  • 1. Magical Mystery Tour
  • 2. The Fool on the Hill
  • 3. Flying
  • 4. Blue Jay Way
  • 5. Your Mother Should Know
  • 6. I Am the Walrus [single b-side, 1967]

オリジナルのサウンドトラックとしてリリースされたのが、この6曲。現行CDの形態にもなっているUS盤アルバムのA面にあたる。

Magical Mystery Tour (US) より

  • 7. Hello, Goodbye [single a-side, 1967]
  • 8. Baby, You're a Rich Man [single b-side, 1967]
  • 9. All You Need Is Love [single a-side, 1967]

続いて、そのUS盤アルバムのB面に収録されていたシングル曲のうち、先の「サージェント……」に送った2曲を除いて。

Past Mastersより

  • 10. Lady Madonna [single a-side, 1968]
  • 11. The Inner Light [single b-side, 1968]
  • 12. Across the Universe [from the World Wildlife Fund charity album]

加えて同時期録音のシングル曲。「アクロス・ザ・ユニバース」は「レット・イット・ビー」ではなく、1969年のチャリティアルバムのバージョン。録音時期にあわせるとここになるみたい。この名曲が録音から2年寝かされてたってすごい。

で、ここでディスクを分割するとよさそうです。以降がディスク2。

Yellow Submarine (soundtrack) より

  • 13. All Together Now
  • 14. Hey Bulldog
  • 15. It's All Too Much

さっきも書いたように録音時期でまとめるため「イエローサブマリン」は消失、分割。

イエロー・サブマリン(紙ジャケット仕様)

イエロー・サブマリン(紙ジャケット仕様)

Anthology 2より

未発表音源は8曲。

  • 16. You Know My Name (Look Up the Number) [long]
  • 17. I Am the Walrus [take 16]
  • 18. The Fool on the Hill [demo] [mono]
  • 19. Your Mother Should Know [take 27]
  • 20. The Fool on the Hill [take 4]
  • 21. Hello, Goodbye [take 16 and overdubs]
  • 22. Lady Madonna [takes 3 & 4]
  • 23. Across the Universe [take 2]

再びPast Mastersより

  • 24. You Know My Name (Look Up the Number) [single b-side, 1970] [mono]

最後に1970年のシングル「レット・イット・ビー」のB面曲。録音はこの時期。トラック16が編集前のバージョンらしい。

The Beatles (White Album) +29

ザ・ビートルズ(紙ジャケット仕様)

ザ・ビートルズ(紙ジャケット仕様)

これはシンプル。同じセッションから2枚組のアルバムと1枚のシングルがリリースされているので、シングルのA、B面をそれぞれアルバムの1、2枚目の最後にボーナストラックとして追加。

disc 1

  • 18. Hey Jude [single a-side, 1968] (Past Mastersより)

disc 2

  • 14. Revolution [single b-side, 1968] (Past Mastersより)

disc 3

  • Anthology 3の1枚目

27トラックすべてがこのセッションからの未発表音源。

アンソロジー 3

アンソロジー 3

Get Back +13

さあ問題のゲット・バック・セッションですが、いろいろ悩んで『レット・イット・ビー』とは別モノということにしました。ビーチボーイズの「スマイル」と「スマイリー・スマイル」というか、ちょっと違うか。

Past Mastersより

  • 1. Get Back [single a-side, 1969]
  • 2. Don't Let Me Down [single b-side, 1969]

このシングルさえリリースされていなければ、すべて『レット・イット・ビー』の未発表音源としちゃってもいいのかもしれないけど、リアルタイムでセッションの成果がリリースされている以上、なんか考えないといけないかなと。

パスト・マスターズ(紙ジャケット仕様)

パスト・マスターズ(紙ジャケット仕様)

Anthology 3より

いうことで、シングルのボーナストラックに、同セッションの音源を12曲。

  • 3. She Came in Through the Bathroom Window [rehearsal] [1969-01-22]
  • 4. Dig a Pony [1969-01-22]
  • 5. I've Got a Feeling [1969-01-24]
  • 6. Two of Us [1969-01-24]
  • 7. For You Blue [1969-01-25]
  • 8. Let It Be [1969-01-25]
  • 9. medley: Rip It Up / Shake, Rattle and Roll / Blue Suede Shoes [1969-01-26]
  • 10. The Long and Winding Road [original Glyn Johns mix] [1969-01-26]
  • 11. Oh! Darling [1969-01-27]
  • 12. Teddy Boy [1969-01-28]
  • 13. Mailman, Bring Me No More Blues [1969-01-29]
  • 14. Get Back [1969-01-30 on the Rooftop]

再びPast Mastersより

  • 15. Let It Be [single, 1970] (Past Mastersより)

シングルの「レット・イット・ビー」はアルバムと一緒にしてもよかったんだけど、今回は録音時期にあわせてこちらにいれた。

Abbey Road +11

アビイ・ロード(紙ジャケット仕様)

アビイ・ロード(紙ジャケット仕様)

怒涛のメドレーで終わる『アビーロード』もオリジナルの雰囲気を壊さないよう、1枚目はオリジナルで。

ボーナスディスクは次の11曲入りに。

Past Mastersより

  • 1. The Ballad of John and Yoko [single a-side, 1969]
  • 2. Old Brown Shoe [single b-side, 1969]

同アルバムの収録曲は2月から録音されているけど、本格的なセッションは7月から。その直前にレコーディングされたシングル。

Anthology 3より

そしてその時期の未発表音源を9曲。

  • 3. Old Brown Shoe [demo]
  • 4. Octopus's Garden [takes 2 & 8]
  • 5. Maxwell's Silver Hammer [take 5]
  • 6. Something [demo] [mono]
  • 7. Come Together [take 1]
  • 8. Come and Get It [demo]
  • 9. Ain't She Sweet [jam]
  • 10. Because [a cappella]
  • 11. The End [remix]

Let It Be +1

レット・イット・ビー(紙ジャケット仕様)

レット・イット・ビー(紙ジャケット仕様)

最後の『レット・イット・ビー』はフィル・スペクターが手がけたということでこのままに。

ボーナストラックを追加するなら、1970年に入って録音されたこの1曲。

  • 14. I Me Mine [take 16] [1970-01-03] (Anthology 3より)

ということでこれは「デラックス」ではなかったけど、言うほど「ネイキッド」ではないこれがまるまる追加ディスクみたいなものかもしれない。

レット・イット・ビー・ネイキッド

レット・イット・ビー・ネイキッド

余談 The Beatles Bootleg Recordings シリーズ?

ビートルズの未発表音源といえば、昨年末突如として『The Beatles Bootleg Recordings 1963』と題した59曲がiTunesストアだけで販売開始された。EUで著作権保護期間が切れてしまうことへの対策らしい。

ビートルズのアウトテイク集『The Beatles Bootleg Recordings 1963』がiTunesにて配信開始 - amass

ということは、同じ理屈で年内に『The Beatles Bootleg Recordings 1964』がリリースされてしかるべきともおもえるのですが、実際のところどうなんでしょう?

そして、もし順にリリースされていくなら、2019年には「ゲット・バック」セッションの全音源が公式リリースされることになるのでしょうか? 興味深いです。

iTunes - ミュージック - ビートルズ「The Beatles Bootleg Recordings 1963」

The Beatles Bootleg Recordings 1963

The Beatles Bootleg Recordings 1963

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