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表参道で働くシニアのブログ

5年前の5月5日のFacebookより

ポピュラーミュージックってものが日本に入ってきて何十年かしらんけど、ようやく日本の若者は、借り物ではない、ほかの国のトライブ(ブラックとかモッズとかパンクスとか)に自分を当てはめるのではなく、自分自身のための自分自身による自分自身が帰属する世界観の音楽を手に入れたのではないかとおもった。

それがアニソンであり、ゲームやマンガやラノベの世界観であり、アイドルであるのだろう。で、先駆としてジャニーズとビジュアル系がある。

洋楽が聞かれなくなったのは洋楽レンタルがなくなったからだという話があったけど、たぶん違う。70年代にクイーンとか聞いてたロック少女的なメンタリティを吸収しうる国内のとライブがビジュアル系としてあること。

英国のさまざまなトライブに身をゆだねてきたり、自分は黒人だと思い込んできた男子諸君をちゃんと受け入れてくれる二次元の世界が確立したこと、そういった要素がおおいのではないだろうか。

ボブ・ディランやジョン・レノンという偉大なるアーティストのおかげで、ポピュラー音楽とは、独立した個人の音楽家がまずあり、その芸術性としての表現の発露として音楽がある、というアーティスト幻想が浸透しきっている。

けど、逆に、そういう「アーティストに寄る音楽」のほうが特殊事例で、音楽とは古代よりなんらかの集団の価値観によって成立することがふつうであったのではないか。

いま日本でヒットチャートにはいっている音楽、つまり「泣け歌」というものも、歌が上手い人がバラードを歌い上げるという価値観。それを信奉するひとたちの集合体のなかで消費されうる音楽というように考えたほうがしっくりくる。

既存の音楽ジャンルでは、まず「ヘビーメタル」が「世界観ありき」で回っているような気がする。ルー・リードとメタリカの合作が酷評されているのも、誰が作ろうと世界観に沿わない作品は排除される。

そのミュージシャンを信奉しているのは、作品が優れているからではなく、自分たちの世界観とピッタリと一致しているから。

この一連の文章は、実はこのTogetterをうけてのものなんだけど、ブルーズよりカントリーっていうのが元ツイートだから、けっこう違った話をしてた。

大和田さんの「いまの20歳前後の学生の間での「ブルース」の不人気ぶりにはちょっと驚く。みんなカントリーの方が興味あるんだよなあ。」から始まったブルースに関するあれこれ - Togetterまとめ
https://togetter.com/li/296730