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表参道で働くシニアのブログ

三井記念美術館で円山応挙「雪松図屏風」

毎年正月恒例の展示らしいけど美術館自体がはじめて。閉会前日の土曜とあってすごい混雑で雪松図などは絵の前がひとだらかでふつうに見ていられない。ほかの部屋に回ってみると狩野派に円山四条派と王道的なコレクションで旧家らしさあるなかで、新寄贈が河鍋暁斎「花見の図」。絵そのものは酔客で、花は表装に書いてあるというのが凝っている。

入館時間も終わってそろそろ空いてきたかと雪松図の展示室に戻ると、今度は中高年の男女が中数人、屏風を遠巻きに取り囲んで、距離を取って眺めている。徐々に輪が後へ後へと広がっているようなかんじになるのが面白い。そしていよいよ閉館間近になり人数も減ると、そこまで残った数人が絵に近寄ったり離れたりとおもうがままに見ている様子でおもしろい。制服の女学生とその先輩か死指導者か年かさの女性がしきりと描き方、何色の絵の具をどのように塗ったかについて議論しているのもおもしろかった。

直前に美の巨人たちでもやっていたし写真も見ていたけど、これほど実物を実物の大きさで見たときに印象が変わるものか。絵に奥行きを感じるのだけどこれはどういう遠近なのか、そもそもどの角度からどう見たときのパースがついているのかわからない。じっとみていると奥行きがすごくあるように感じてくるのだけれど、これは奥行きではなく高さなのではないか、見上げているのではないかという気もしてくる。ずいぶん不思議な絵だった。