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表参道で働くシニアのブログ

奇想すぎる日本絵画の系譜を府中で

2019年最初の四半期は江戸時代の日本絵画の展示がいいかんじで、京都画壇を中心に禅僧や江戸琳派、浮世絵まで7人の絵師による「奇想の系譜」展が上野で、そして画狂老人卍こと葛飾北斎の生涯を通した展示が六本木で開催された。

そして、そこからこぼれ落ちるような奇想すぎる日本の絵画、しりあがり寿が模写した白隠というおもむきの禅画で知られる仙厓を中心に、その白隠や若冲・芦雪・山雪・国芳といった奇想の画家たちに、雪村から蕪村、なぜかアンリ・ルソー、村山槐多や蛭子能収といった近現代作品までを展示する「へそまがり日本美術」という展示が、府中市美術館で開催されている。

禅画や俳画を中心に、体感としてはだいたい半分くらいが寒山拾得で、残りが「布袋図」に、徳川家光をはじめとする大名たちのなぜわざわざにというような下手で味わいのあるバッドアートという印象だった。

もちろん実際のところ寒山拾得図は、寒山ソロを含めても前後期であわせて10点くらいしか出ていない。と書いてみて思ったが、10点も出てれば十分に多いし、海外の美術館からの来日展なら例えばフェルメール展にフェルメールの作品が8点しか並んでなかったことをおもえば、これは寒山拾得展と言っても過言ではないだろう。

森鴎外 寒山拾得

仙厓は出光美術館で去年だったか展示会やってたけど、出光所蔵はずいぶんおとなしいというか禅然としていて、ここではもっとインパクトが強くぶっこわれた印象があってよかった。もはや「奇想ですらない系譜」というべきか。

他に円山応挙もいくつか出てたけど、すべてちゃんと書かれている作例として、ちゃんとしてない絵と「比べてみよう」という体で並んでたのもおもしろかった。後期には蕭白も出るし、仙厓はほとんど展示替えになるようなのでまた見に来よう。

図録がふつうに出版されていて便利。最近よく見かける。

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