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表参道で働くシニアのブログ

江戸時代の和綴じ本、北斎「富嶽百景」をバラしてデジタル複製した富士山はじつに「よくやってるなあ」とおもった

横浜のそごう美術館で富嶽三十六景と富嶽百景の「北斎展」をやっている。

令和元年記念 北斎展

これがふつうに北斎作品ではなくリ・クリエイトと称しており、つまり高精細でデジタルに取り込んだ作品を補正・修正してプリントアウトした複製画を展示している。

色合いも当時の発色を再現しているそうで、本物より一回りも二周りも拡大された《富嶽三十六景》は色彩も鮮やで見どころたっぷりなのだが、どこかツルンとしてラッセンみがあり、まあそれはそれでよくて《富嶽百景》のほうを見に来たのだ。

北斎が70代で出版した浮世絵シリーズが富嶽三十六景で、富嶽百景はその後で手掛けた3冊シリーズの和本。ギャラリーなどに展示されるときにも本を開いた形で展示されることが多く、汚れていたり滲んでいたり潰れていたりすることもあって見づらいのだけれど、デジタルできれいに補正していればクッキリと見やすい。

頭から見ていくと、富士山の浅間大社に祀られる《木花咲耶姫命》が1枚目で(右端)、見開きの《孝霊五年不二峯出現》《役ノ優婆塞富嶽草創》と左に続く。

全作品が撮影可なので、3巻102枚を頭から順に撮ってる人がたくさんいた。

撮影者の手の影があまり写り込んでいない画像をいくつか載せてみます。

「八十六才にしては益々進み、九十才にして猶其奥意を極め、一百歳にして正に神妙ならん与欠。百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん」と書いた有名な跋文。

さらに、左右2枚で構成された見開きの絵、例えばクロード・モネ《木の間越しの春》に影響を与えたとされる《竹林の不二》。

このノドをカットして1枚絵つないでくれている。これがデジタル複製ならではで、いいねえ、とおもった。

先ほどの《孝霊五年不二峯出現》はこうなる。

凱風快晴っぽい。

グレートウェーブっぽい。

噴火して揺れてる。繋げられてるのが見開き全部ではなかったのが残念。

図録がなく、代わりに全作品が撮影可としているそうだけど、もともとが本にするための版なわけだしデジタルデータをもとにした図録があればもっと嬉しかったのだが、額装されたデジタル複製画がミュージアムショップに並んでいたこともあって、まあ営業上の理由もあるのだろう。面白い展示だったけれど、nonocoを持ってて割引の800円で入れればお値ごろかな。

太宰治 富嶽百景

いろいろな高精細デジタル複製のプロジェクト

リ・クリエイトというと、以前に全世界に点在するフェルメール作品を複製でまとめて一箇所に展示するという企画があった。今回の北斎展もその関連だろうか(分子生物学者の福岡伸一氏が関係しているところは同じ)。フェルメール作品が一堂に会するなんてことはまあ無理だろうから、そういう意味で意味があった展示だろう。

廣済堂他各社の共同参画 フェルメール・センター・プロジェクト|事例紹介|廣済堂 情報コミュニケーションサービス

大日本印刷でも、有名な寺院の国宝の襖絵などを美術館や宝物館で保存する代わりに、部屋には高精細のデジタル複製画を展示するというようなプロジェクトをやっているらしい。

伝匠美|文化財の保存と次世代への継承

すみだ北斎美術館でも、デジタル複製の北斎展をやっていて、こちらは門外不出のフリーア美術所蔵作品を日本で見たいというもの。技術はキヤノン。

キヤノン:綴プロジェクト

北斎の肉筆 HOKUSAI's Brush -スミソニアン協会フリーア美術館コレクション

北斎の肉筆 HOKUSAI's Brush -スミソニアン協会フリーア美術館コレクション