住宅街を歩いていて、ちょっとした角を渡ろうとしたときに横の道からゆっくりと車がやってきてちょうど鉢合わせすることがある。いちおう対面通行で歩道の白線も引いてあるけれど、そう広くもなく、せいぜい1.5車線くらいの同じような道路が交差していて、両方に停止線があり、どちらが優先ともわからない。
歩いている足を止めて、通り過ぎてくれるかなと見ていると、車も止まり、運転手がこちらを見ている。ということは先に渡っていいよ、ということなんだろうけれど、なんとなく、車に先にいってほしい気がする。それで少し下がって、いえいえどうぞどうぞという気持ちを込めつつ様子を見てみる。
どうやら歩行者も行く気がないとわかったときに、プッとクラクションを鳴らして先に通り過ぎてくれる車もいれば、あからさまに「行っていいよ」と手振りをしてくれる車もある。そこまでしてもらうとたいへんに申しわけなく、こちらも頭を下げてから歩き出し、通り過ぎたころに車も再び走り出す。
信号も横断歩道も標識もない路地で、ぶつかることなくお互いが通り過ぎるために必要なほんの数秒のお見合いで、それなら先に渡ってしまおうと小走りになるときもあれば、できれば先に行ってくれないかと待ってしまうときもある。こんな小さなところにも、人となりが垣間見えるものだなあとおもう。
ひとには2種類いるんだろう。チャンスを生かして進む人。安心できるまで待つ人。できたら誰もいなくなった通りを歩きたい。そう意識してるわけではないんだけれど、先日ふと住宅街を歩いているときに交差点で立ち止まって、自分はそういうことが多いタチなんだなと思った。
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