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表参道で働くシニアのブログ

ビヨーンズの素敵な日常 または私は如何にして心配するのを止めてアイドルを愛するようになったか

これからBEYOOOOONDS(ビヨーンズ)というグループについて語ります。アイドルグループです。ハロープロジェクト(ハロプロ)に所属しています。2019年8月にデビューしました。デビューシングルがいきなりオリコン週間1位を獲得しました。すごいですね!

BEYOOOOONDSとは? 2020年期待のハロプロアイドル

という話からごにょごにょ始めると8時間くらいかかりそうので、上のまとめ記事を読んでもらうとか、はてなブログのアツい記事を検索google:BEYOOOOONDS はてなブログしてもらうとして、ここでは新曲の「ビタミンME」のことを話したいとおもいます。

このコロナ自粛の最中に新曲? というか盤とか配信はまだなくて、とりあえず4月にMVが出てるのでまず見てください。どうでしょう? なんかおかしな曲だし、おかしなMVですよね?

あ、小芝居から曲がはじまるのは仕様なので大丈夫です。おかしなというのは、やたらビタミンを推してますね。グループ名も「ビタミーンズ」とか言ってるし。これはなにかというとビタミンに関係したタイアップソングなんです。

カゴメ|GO!ME.進め、いけ。|ONEDAY、AOJIL

KAGOMEのGO! MEキャンペーンで、ONE DAYという野菜ジュースで「マルチビタミン」を売りにしたENERGY BANANAのCMに使われるみたいなんですね。その動画も公開されてます。

YouTubeのCMとかでこれが流れてるのかな?

これが「すごいなー」とおもうのは、MV制作の舞台裏という設定でCMが作られてるんだけど、雰囲気というかテンションというか、メッセージというか、そこから受ける印象がMVそのものとほとんど変わらないことです。MVのほうはけっこうお芝居っぽいパートもあるし、チアリーディングやダンスもしっかりパフォーマンスしなければいけないのに、すべて自然体のように見える。

もっというとほんとうのメイキングも公開されてて、

これを見ると舞台裏にいる素の彼女たちも、ポンポンをもってビタミーンズを 演じている彼女たちも、CMに出演している彼女たちも、どこにも無理がなくスムーズにつながっている。

舞台裏で過剰な緊張感があるわけでもなく、パフォーマンスに対する恐れや弱さも見せず、自然にパフォーマンスしたら自然に上手くできていて、おかしな印象の動画が自然にできあがっている。それって普通すぎて気が付かないけれど、それが日常になっていることが素敵だなとおもうわけです。

とはいえアイドルというのはストレスが多い仕事なのだから、自然にしておけば自然体として演じられて、それが自然と素晴らしいパフォーマンスになるというものでもないだろう。メンバーとスタッフそれぞれでやらないといけないことがある。

  1. メンバーの自然体を生かし、無理をさせないようにと制作陣が考慮していること
  2. メンバーが普段からパフォーマンスの向上を意識し、急に「今回はチアリーディングです」となってもみんな対応できること

そういった前提があってはじめて、自分がアイドルとしてありたい形を表現したらそれがそのままビヨーンズになって、さらにそのままビタミーンズになっていて、メンバーがみんな自然体ですねーというCMにつながるのではないか。

ということで、そう仕向けている制作陣のすごさというものもある。

非つんく曲だけど刺さるハロプロ曲 〜中島卓偉、星部ショウ、児玉雨子語り〜 - 整理整頓

ハロプロといえばつんく♂ファミリーというイメージが強いだろうけど、つんく♂は2014年で総合プロデュースを離れていて、今ではモーニング娘。の楽曲を中心に手掛ける制作陣のひとり。2015年から、いろいろなグループの詩や曲ではさまざまな作家が採用されている。なかでも作詞家の児玉雨子さんが素晴らしくて

インタビュー:泣けて笑えて、また泣けて、また笑えて――近田春夫×児玉雨子 - CDJournal CDJ PUSH

近田春夫さんも絶賛しているくらい。

そんな児玉さんがこの「ビタミンME」も手掛けていて、その歌詞がスゴイという話をしたいんだけど、発売前の楽曲だからふつうに歌詞サイトに載ってなくて、こことかにあるの権利処理されてるのかわからないんだけど、まあ聞き起こしながら話を聞いてください。

細かすぎて伝わらない 突然「地球の歴史」や「世界の平和」を歌い出すモーニング娘。 #つんくカルタ - in between days

以前にこのブログで、モーニング娘。のつんく♂の歌詞がいかにヤバいかということを書いて、それは「試験勉強した日の数小節後に地球の平和を本気で祈っている」という話のスケールの歪み方とかなんだけど、ビタミンMEにも間違いなくそういったつんく♂イズムが継承されている。

「つんく♂イズムはヤワじゃない」劔樹人が見る、変わり続けるハロー!プロジェクト | ENTAME next

曲をあらためて聞いてもらうと、最初は商品の「マルチビタミン」をもとに「いろいろなビタミンがあるよね」とか「ビタミンは体にいいんだよ!」という商品に寄り添った歌詞で、CMソングとしてよくできてるなーという印象。

とおもいきや、いきなり「同じ人なんていない」「意味ないことなどない」という人生訓めいた世界に突入し、最終的に「誰しも一人ではない」というメッセージを高らかに歌い上げたあとで、困難な状況に大切なのは「栄養とエネルギー」だと、野菜ジュースの話に戻ってくる。

このトリッキーな歌詞構成がまったくトリッキーに聞こえないのは、何より歌っているビヨーンズのメンバーたちが、自分たちメンバーに「同じ人なんていない」し、自分たちがやってることに「意味ないことなどない」と信じているし、全員で「誰しも一人ではない」とわかった上でグループ活動をしているからで、あるがままに自然にパフォーマンスされている。

さらには曲中の「私には可能性が詰まってる」ってセリフを、いつも物怖じしない西田汐里に堂々と言わせてみたり、「ME ME」という掛け声で「みいみ」というニックネームの岡村美波をフューチャーして、それがほんとうにみいみっぽいかんじになっていたり、メンバーの自然なキャラクターも上手く取り込んでいる。

楽曲を演じさせるにあたって、アイドルに余分な負荷をかけない。無理な要求をしない。メンバーが理解できる世界観で最良のものを演じさせるようにする。

その結果、いまのハロプロにはやたら前向きな女の子の歌が多い、というか前向きな女の子の歌しかないといっても過言ではないかもしれないとおもえるくらいだけど(もちろんそうでない曲もあります)、それは何より演じているアイドル自身が前向きに歌とダンスを練習し、努力し、研究し、成果を出して、次のステップに進もうとしているからだ。

そこにはアイドルの楽曲でありながら、ウソがない。歌われている世界観と、歌っているアイドルが考えていること、やっていること、目指していることにブレがない。アイドルという作り物の世界において、曲と演者の世界観が乖離していないということがいかに健全であり、王道であるか。かつて5万枚のCDの手売りを強いたドキュメントバラエティーを出自とするとはおもえないほどだ。

だから、逆にアイドルに先進性であるとかストレンジな風合い、追い詰められた緊張感、あるいは作り物としてのドール感、そういったものを求めるひとにとっては、ハロープロジェクトはまったく刺激の足りない、生ぬるい、ただ歌とダンスを一生懸命にやってる集団という印象になってしまうのだけれど、そこに生身の人間がいて、その成長と楽曲の世界がシンクロしていく物語があることに気づいてしまうと、もう他に代えがたいものになってしまう。

「つんくさんの真似はできません」時代が求めるものを目指す作詞家・児玉雨子 - はたらく気分を転換させる|女性の深呼吸マガジン「りっすん」

つんく♂と同じではないにせよ、つんく♂の文法や語彙を起点に、現在のハロープロジェクトの女の子たちが自分ごととして歌うのにふさわしい楽曲を制作陣が提供し、アイドルは懸命に練習して自分のものにし、その上に自分のキャラクターを付け加えていく。

このコロナ禍でコンサートやイベントが中止にななか、歌やダンスの動画がたくさん配信されているけれど、そこでもメンバーの日ごろの研鑽が十二分に発揮されていて、ふつうに見て楽しめる動画がいくつも投稿されています。

ちなみにこの動画には児玉雨子さんや、作曲の星部ショウさんも出てきます! 最後までしっかり見てください。

ということで、みなさん安心してビヨーンズを愛し、ハロプロを見て、ONE DAYを飲み、ビタミンを摂取しましょう!

ONEDAY ENERGY BANANA - hitode909の日記

ただ、ONE DAYは春にドラゴンボールのキャンペーンもはじまってて、ふつうにスーパーとか通販で買うとかわいいアイドルじゃなくてサイヤ人のイラストが付いてきます。よかったですね。

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  • アーティスト:BEYOOOOONDS
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