2025年もギャラリーや美術館にかなり通いました。今年はいろいろと忙しくて見に行けなかった展示も例年よりたくさんあったのですが、涼しくなるころからペースを取り戻して、年間ではのべ104の現場に足を運んだようです。12カ月分のカレンダーや溜めたチラシを確認しつつ、大晦日をかけて一覧にまとめてみました(記事末に掲載しておきます)。
記録をひらく 記憶をつむぐ
その中でも心に残った展示といえば、戦後80年の夏にあわせて東京国立近代美術館が所蔵する「戦争画」を中心にディレクションした「記録をひらく 記憶をつむぐ」展でしょう。戦争と美術の関係を戦前からベトナム戦争あたりまで広い題材からまとめた、たいへん資料性の高い展示でした。SNSや美術専門サイトでも「なぜ図録がないのか!?」と疑問の声が上がっていましたが、自分も行ってみてわかりました。これは本当に図録がほしくなる展示です。


靖国神社の遊就館と福岡県の筥崎宮に別れて残されている女流美術家奉公隊の合作《東亜戦皇國婦女皆働之図》が揃いで出ていて驚きましたが、そのような日本人を主語にしたストーリーばかりがどうしても語られがちなところを、日本軍のマレーシア支配を題材にしたリウ・カンの作品には立ち止まって考えさせられた。他に出ていてよさそうな作品もいくつか思いつきますが、逆に水木しげるの戦記物漫画まで並んでいたのは脱帽です。


コレクション展でも連動した展開があり、日本がコーナーなどにいくつか戦争画が出ていたほか、戦争に向かう日本の状況を切り取った津田青楓《犠牲者》などが出ていました。

日韓の小特集に出ていた曺良奎(チョヤンギュ)も、戦後に在日コリアンとして作品をいくつか残したあと北朝鮮に渡ってから消息が不明になっており、戦争と無関係とはいえないでしょう。

ビッグ錠と風間サチコ
そしてもうひとつ、記憶に新しい展示なのですが藤沢市アートスペースで開催された「熱気の向こうの白と黒 ビッグ錠と風間サチコ 異食なふたり」をあげておきます。

異色な組み合わせというか食い合わせとしてどうなんだろう? とわりと好奇心ベースで見に行ったところ食い合わせはぜんぜん悪くなく、まさに「白と黒」の相乗効果というか、高度経済成長の光と影という印象で楽しめました。庖丁人味平の原画、しかもブラックカレー編も見れてよかった。

ほかにも松濤美術館の須田悦弘展や、川端龍子と高橋龍太郎コレクションの再演、府中市美術館の小西真奈展、サントリー美術館の酒呑童子、GINZA SIXのヤノベケンジ《BIG CAT BANG》とそのファイナル、金巻芳俊、中村萌、応挙、絵金、運慶、まだやってるところではワタリウム美術館「オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展」などなど、2025年も目が楽しい1年でした。
年明けはまずトーハク(東京国立博物館)で《松林図屏風》を見たいですね。それでは良いお年を!
2025年に見た展示の一覧
年間で104現場ですが、月によってかなり偏りがあり、6月と11月が少ないのは地方開催のITコミュニティカンファレンスに参加していたためでした。
1月 - ルイーズ・ブルジョワ ソフィ・カル など 10展
- LIZZIE FITCH | RYAN TRECARTIN: IT WAIVES BACK - プラダ 青山店 link
- ウェイド・ガイトン THIRTEEN PAINTINGS 展 - エスパス ルイ・ヴィトン東京 link
- ミスマルノタマ 神聖幾何学 Flower of Life - GYRE Gallery link
- ルイーズ・ブルジョワ展 - 森美術館 link
- 不在 ソフィ・カルとトゥールーズ=ロートレック - 三菱一号館美術館
- 毛利悠子 ピュシスについて ジャム・セッション - アーティゾン美術館 link
- ひとを描く - アーティゾン美術館 link
- APK PUBLIC Vol. 1 - TODA BUILDING link
- 野生の都市 バグスクール2024 - アートセンターBUG link
- 青山と70年 - 岡本太郎記念館 link
2月 - 坂本龍一 小西真奈 など 12展
- 須田悦弘展 - 渋谷区立松濤美術館 link
- 坂本龍一展 音を視る 時を聴く - 東京都現代美術館 link
- MOTアニュアル2024 - 東京都現代美術館 link
- Made in 青森 自然と歴史の交差点 - OMOTESANDO CROSSING PARK link
- 旧嵯峨御所 大覚寺 百花繚乱 御所ゆかりの絵画 ‹前期› - 東京国立博物館 link link
- 立木義浩写真展 舌出し天使 CONTACT SHEETS 眼差しの軌跡 - FUJIFILM SQUARE link
- 雨宮庸介展 まだ溶けてないほうのワタリウム美術館 - ワタリウム美術館 link
- 来たる世界2075 テクノロジーと崇高 - GYRE Gallery link
- 小西真奈 Wherever - 府中市美術館 link
- 少女たち 星野画廊コレクションより - 三鷹市美術ギャラリー link
- 川端龍子+高橋龍太郎コレクション ファンタジーの力 - 大田区立龍子記念館
- ポーラ ミュージアム アネックス展 2025 ‹前期› 軌跡(ルーツ)を辿る link
3月 - ガレ 大覚寺 など 3展
- 没後120年 エミール・ガレ 憧憬のパリ - サントリー美術館 link
- 旧嵯峨御所 大覚寺 百花繚乱 御所ゆかりの絵画 ‹後期› - 東京国立博物館 link link
- 予感 とその時代 - 岡本太郎記念館 link
4月 - 蔦重 金閣銀閣 など 6展
- 西洋絵画、どこから見るか? ルネサンスから印象派まで - 国立西洋美術館 link
- 梶コレクション展 色彩の宝石、エマーユの美 - 国立西洋美術館 link
- 蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児 - 東京国立博物館 link
- 浮世絵現代 - 東京国立博物館 表慶館 link
- 相国寺展 金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史 ‹前期› - 東京芸術大学 大学美術館 link
- 海と記号 鈴木ヒラク - ポーラ ミュージアム アネックス link
5月 - ヒルマ・アフ・クリント 酒呑童子 など 7展
- Satellites - プラダ 青山店 link
- 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章 - 根津美術館
- おかえり、ヨコハマ - 横浜美術館 link
- 相国寺展 金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史 ‹後期› - 東京芸術大学 大学美術館 link
- ヒルマ・アフ・クリント展 - 東京国立近代美術館 link
- 酒呑童子ビギンズ - サントリー美術館 link
- 創造と破壊の閃光 - GYRE Gallery link
6月 - AIと現代アート など 4展
- マシン・ラブ ビデオゲーム、AIと現代アート - 森美術館 link
- はじめての古美術鑑賞 写経と墨蹟 - 根津美術館
- スペクトラム スペクトラム Spektrum Spektrum - 銀座メゾンエルメス フォーラム link
- 土田ヒロミ写真展 俗神 - 富士フィルム 写真歴史博物館 link
7月 - 横尾忠則 など 8展
- ミロ展 Joan Miró - 東京都美術館 link
- ホセ・パルラ Home Away from Home - ポーラ ミュージアム アネックス link
- Dressing Up: Pushpamala N - CHANEL NEXUS HALL link
- 横尾忠則 未完の自画像 私への旅 - グッチ銀座ギャラリー link
- まだまだざわつく日本美術 ‹前期› - サントリー美術館 link
- 生命の樹 - 岡本太郎記念館 link
- 唐絵 中国絵画と日本中世の水墨画 - 根津美術館
- 植物顔 日本・フィリピンの草木花実写真 - インターメディアテク link
8月 - ムーミン セザンヌ など 6展
- 江戸 大奥 - 東京国立博物館 link
- 彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術 - アーティゾン美術館 link
- アン・サンス Hollyeora(Be Spellbound) - 銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM link
- BIG CAT BANG:THE FINAL - GINZA SIX OFFICE ENTRANCE link
- トーベとムーミン展 とっておきのものを探しに - 森アーツセンターギャラリー link
- ルノワール×セザンヌ モダンを拓いた2人の巨匠 - 三菱一号館美術館
9月 - ペドロ・コスタ 金巻芳俊 など 10展
- ASCENT OF 14 2001-2024 8,000メートル峰 14座への旅 - FUJIFILM SQUARE link
- 深瀬昌久 洋子 遊戯 - 富士フィルム 写真歴史博物館 link
- 𠮷田千鶴子 踊れ、謳へ、描け 戦後の熱き時代を生きた美術家 - 三鷹市美術ギャラリー link
- スウェーデン国立美術館 素描コレクション展 - 国立西洋美術館 link
- ピカソの人物画 - 国立西洋美術館 link
- ルイジ・ギッリ 終わらない風景 総合開館30周年記念 - 東京都写真美術館 link
- ペドロ・コスタ 総合開館30周年記念 - 東京都写真美術館 link
- 金巻芳俊 明鏡プリズム - 長崎ビル link
- 中村萌 connect connect - ポーラ ミュージアム アネックス link
- 体を成す からだをなす FRAC Grand Large - 銀座メゾンエルメス フォーラム link
10月 - 絵金 応挙 ゴッホ 運慶 杉本博司 村上隆 など 16展
- 幕末土佐の天才絵師 絵金 ‹前期› - サントリー美術館 link
- 円山応挙 革新者から巨匠へ ‹前期› - 三井記念美術館
- チェン・フェイ展 父と子 - ワタリウム美術館 link
- ムーンアートナイト下北沢 - 下北線路街 空き地 link
- ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢 - 東京都美術館 link
- コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ - 東京国立近代美術館 link
- 藝大コレクション展2025 名品リミックス! - 東京芸術大学大学美術館 link
- 運慶 祈りの空間 興福寺北円堂 - 東京国立博物館 link link
- 日光の彩色と金工 社寺建築の美しさの謎を解く - 東京国立博物館 link
- Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness - 埼玉県立近代美術館 link
- 数寄者の現代 即翁と杉本博司、その伝統と創造 - 荏原 畠山美術館 link
- Synthetic Natures もつれあう世界 AIと生命の現在地 - CHANEL NEXUS HALL link
- 村上隆と村上ハウス Casa BRUTUS特別展示 (マガジンハウス博) - Ginza Sony Park link link
- 未来/追想 千葉市美術館と現代美術 - 千葉市美術館 link
- 鈴木のぞみ Slow Glass The Mirror, the Window, and the Door - ポーラ ミュージアム アネックス link
- 小澤太一写真展 回 - キヤノンギャラリー S link
11月 - 印象派 草間彌生 など 7展
- 時代のプリズム 日本で生まれた美術表現 1989-2010 - 国立新美術館 link
- 円山応挙 革新者から巨匠へ ‹後期› - 三井記念美術館
- 幕末土佐の天才絵師 絵金 ‹後期› - サントリー美術館 link
- YAYOI KUSAMA INFINITY - エスパス ルイ・ヴィトン大阪 link
- 東京ビエンナーレ2025 東京の地場に発する国際芸術祭 - 上野 寛永寺 link link
- オルセー美術館所蔵 印象派 室内をめぐる物語 - 国立西洋美術館 link
- 物語る黒線たち デューラー「三大書物」の木版画 - 国立西洋美術館 link
12月 - 安彦良和 ビッグ錠 ウォーホル など 15展
- 描く人、安彦良和 ‹前期› - 渋谷区立松濤美術館 link
- アール・ブリュット2025巡回展 既知との遭遇 - 渋谷公園通りギャラリー link
- 江上越 交差線 - PARCO MUSEUM TOKYO link
- ジャム・セッション 山城知佳子 志賀理江子 漂着 - アーティゾン美術館 link
- 熱気の向こうの白と黒 ビッグ錠と風間サチコ 異食なふたり - 藤沢市アートスペース link
- 遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22 総合開館30周年記念 - 東京都写真美術館 link
- 作家の現在 これまでとこれから 総合開館30周年記念 - 東京都写真美術館 link
- プリピクテ Storm/嵐 - 東京都写真美術館 link
- マチュピチュ展 - 森アーツセンターギャラリー link
- メタル展 Metal - 銀座メゾンエルメス フォーラム link
- 新宿の目 宮下芳子 (復活点灯) - 新宿 スバルビル news
- 五味太郎 絵本出版年代記展 ON THE TABLE - LURF GALLERY link
- “Strike Gold” Art for “No Concept” 作為なき表現者たち - GYRE Gallery link
- オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展 - ワタリウム美術館 link
- ANDY WARHOL SERIAL PORTRAITS SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION - エスパス ルイ・ヴィトン東京 link