in between days

表参道で働くシニアのブログ

いまこの世界は映画「無責任天使」収録中

bogusnewsらしい追悼文だなー。よかった。秀逸なのは落ちの映像がちゃんと浮かんでくるんだよな。ニートがCEOになるってのはそのまま映画「ニッポン無責任時代」を地でいくプロットだし、キモオタが超美人と結ばれるのは「電車男」かな。ちょっとありきたりといっちゃありきたりなストーリーだけど、そこに植木天使、役回り的には漫画「神聖モテモテ王国」の「ファーザー」をもっとまともで役に立つようにした感じとか…役に立ったらファーザーじゃないけど、が絡んでくることでいい湯加減の喜劇になるんだよなー。
主人公はキモオタのニート君で、なんかのきっかけで超美人に恋をする。しかも運命のいたずらかニート君と超美人はなぜか頻繁に顔を合わせる偶然に恵まれるんだけど、当然ながらぜんぜん進展させることができない。で、ここで画面が突然モノクロになって、ニート君の後ろに天使が立っている。ここんところはもちろん「ベルリン・天使の詩」のパクリです。ああゆうコートを着てああゆう羽を生やした植木等が、もっともらしい顔をして威厳ありげに立ってる。

というシーンが何回か繰り返されるんだけど、植木のことだからいつまでも黙って見ちゃいない。こりゃシャクだったとばかりにコートをエイやッと脱ぎ捨てると一転画面が総天然色、ニート君の目の前に昭和の漫才師のような変な色彩のスーツを着込んだ植木等が転がり落ちてくる。アイタタタ! 大丈夫ですか? と助けあげたニート君に満面の笑みで語りかける植木元天使「だまって俺についてこい!」「はあ?」

ということでニート君を引っ張りまわす植木元天使の八面六臂にしてシッチャカメッチャカにしてC調でスチャラカでホンダラでウンジャラゲな大活躍の末、ややあってニート君は無事に就職はおろかトントン拍子に出世して小さな会社ながらCEOに就任してくだんの超美人とはついに結婚式を挙げる、という朝に植木元天使は大寝坊、祝辞を頼まれたはずの式に完全遅刻なので大慌てて純白のスーツを着込みながら走り出したところを犬に吠えられてアッと驚く間もなく転んで頭をぶつけて死んじゃった。植木元天使はあえなくご臨終。

一方こちら横浜プリンスホテルでは「とうとうこなかったね」「どうせ寝坊したんだよ」と新郎新婦が顔をヒソヒソ話をしながらも結婚式が滞りなくお開きとなり、庭園のガーデンパーティへと場所を移して披露宴では誓いのキッスのさなかに「よっご両人!」と囃し声がかかる。ところが声をすれども姿は見えず、招待客一同が声の上がったあたりをジロジロ見回して訝しがるところで画面が急にモノクロになり、問題の場所にはひとりカラフルな植木新天使が突如現れてやや間をとりつつ「オヨビデナイ? オヨビデナイ? これまったしつれいいたしました」と満面の笑みで叫ぶと姿が見えてないはずの新郎新婦招待客一同ハラホロヒレハレホとズッコケル。そこでエンドロール。

まででだいたい1時間20分かなー。コンパクトに歌ありダンスありの軽妙な作品になりそうで実際にあっても悪くなくない? なんて帰りの電車でずっと妄想してたんですが、これ最大にして唯一の欠点がそもそもどうやっても撮影できないんだよね。なぜならこれを演じることのできる日本唯一の男優が死んじゃったから。ってことに気が付いて、失ったモノのあまりに大きさにそのまま電車の中で植木等の満面の笑顔を頭の中で何度もリプレイさせながら、30分ほど泣いた。

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