ここんところFacebookがスゴイ。日本にはmixiがあるからFacebookにひとは入んないでしょう。ほんの数カ月前までそんなフインキだった気がするけど、いまやFacebookにログインするたびに「XXさんがYYさん、他n人と友達になりました」というアップデイトが上がっていて、日本人もどんどん参入してどんどん複雑なソーシャルグラフを形成していることがわかる。
もちろんTwitterも負けてはいない。先月半ばから新インターフェイスをベータ公開して新しいユーザー体験を掘り起こそうと工夫を繰り返している。先日「ツイッターがリニューアルしたけど使いづらいよ!っていうひとのためのFAQ」という記事を書いて400オーバーリツイートされた私ですが、その記事をちゃんと読んでいただければわかるように、Twitter新インターフェイスに関しては諸手を挙げて絶賛したい。素晴らしい改善だとおもう*1
Facebookとmixiはどう違うのか、Twitterとの使い分けは? みたいなことはきっといろんなブログが書くだろうからそちらのほうを参考にしてもらうとして、あとぼくも執筆に混ぜさせてもらってFacebook解説本とかも出るのでそういうのを読んでもらうとして、ここではそういったことを考えるときに、仕組みや構成のまったく異なるソーシャルメディアを比較しないといけないのだけど、どういう視点で見たらよかろう? ということについての自分なりの見方が浮かんできたので、それをまとめてみたいとおもう。
G・P・S! G・P・S!
ということでタイトルにも書いた「GPS」がそれです。というのはもちろん語呂合わせなんだけど、ソーシャルメディアを成立させている要因、また今後どの方向でそれぞれが発展しようとしているのかを見るための方向性、として「G」と「P」と「S」の3つがあるんじゃないかなあ、と単純化してみたわけです。
その「G・P・S」ですが、それぞれ次の3つの頭文字を取りました。
- G (Graph)
- ソーシャルグラフ。サービスそのものの基盤となるユーザーの関係性
- P (Profile)
- あるユーザーが、外部に公開する属性や情報。つまりプライバシー(Privacy)とその閲覧許可(Permission)のPを含む
- S (Stream)
- あるユーザーのもとに、外部から流れ込んでくる情報のストリーム。これをどう見せやすくするかに各サービスが工夫をこらしている
ユーザー視点からすると、あるソーシャルメディアを使おうとするとき、その基板となって自分が立っている場所が「G」。そして、自分から発信しているものが「P」。自分に入ってきているものが「S」となる。立ち位置、アウトプット、インプットです(ここで図を描くとわかりやすいんだろうけど)。
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「ここだけ見ておけば大丈夫!」
ソーシャルグラフについてはすでにいろいろ語られているので省略。友達を増やすには、とかTwitterは片方向でSNS(mixiやFacebook)は両方向だよねみたいなサービスごとの違いとかはもういいですよね(ちなみにFacebookは、友達申請が許諾されなくても、申請した時点で相手の投稿が自分のストリームに流れてくるので、Twitter型のフォローモデルと複合した2段階双方向モデルのようです)。
いまFacebookやTwitterが腐心しているのは、ソーシャルグラフが広がれが広がるほどに、とてつもない流量になってしまう、他ユーザーからのアップデイトストリームの奔流をどうさばいて、どう取捨選択させて、どう見せるか、というユーザー・インターフェイスの競争になっているのではないか、という気がしている。
Facebookの「ニュースフィード」では、普通に時系列で表示する「最新情報」の隣に「ハイライト」タブがあって、ログイン直後はデフォルトでこっちが表示されるようになっている。これは自分の友達が数多く「いいね!」してる投稿とか、これを一通りみとけばいいよ、的なものがピックアップされているようだ。ログアウトしてからログインするまでの間に何があったかは気になるひとが多いだろうが、そのひとつの解決策といえる。
また、Facebookではただダラダラと全部のストリームを表示するのではなく「XXさんと友達m人が……」というように、同じ内容ならひとまとめにして表示するなど、ストリームに多彩な情報が並ぶよう工夫をしている。あと、Facebookといえばなんといってもニュースフィードの自動更新ですよね。アレはちょう便利。
というようにいろいろあるが、これをひとことでまとめるとこうなる
「ここだけ見ておけば大丈夫! という場所を作る」
ストリーム型とボックス型
Facebookでは、友達の「いいね!」とかソーシャルアプリとか日記的な長文とかtwitterからのフィードとかいろんな種類の情報が流れてくるけど、それを情報種類別に切り分けたりしないで、全部をおなじひとつのストリームに流し込む。あっちを見たりこっちを見たりユーザーが行ったり来たりするようなインターフェイスはもうNGということだ。とにかくストリームだけを見ていればOKにする。その上で、そのストリームをいかに見やすく、情報の軽重が見極めやすく工夫をして提供するか、そこの工夫をFacebookはここしばらくずっとやっている。
これと正反対なのがmixiで、mixiはいまだにポータル由来のボックス型UIを捨てていない。Facebookもじつはちょっと前まで情報の種類ごとに切り分けられたボックス型のUIを採用していたが、それを思い切って捨てて、いまの形に進めた。ボックス型のUIのソーシャルメディアがダメな理由は上に書いたことの裏返しだ。つまりユーザーが、いろんなリンクを開いたり戻ったり、坊主めくりのように全部のボックスを開いてみないと、どこにどれだけ最新の更新があるのかわからない。mixiも最近では「mixiチェック」を導入して話題になったけど、そのボックスを捻出するために「参加コミュニティの最新書き込み」が右サイドバーに移動されてたのには苦し紛れすぎて苦笑すらできなかった。アレはちょっとない。
ストリームに「浅瀬」を付ける
で、Twitterの新インターフェイスもそういう意味で高く評価できる。あれは、どんどん流れ行ってしまうストリームを少しでも拾い上げやすくするために、ストリームにちょとだけ入れるような「浅瀬」を付けているのだ。ボックス型の溜池に流し込んでいるのではなく、流れている情報を流れているままで拾えるようにする工夫といえばいいのだろうか。この詳細については、もうずいぶん長く書いて疲れてきたのでまた別の機会があったときにでも。
最後に、Hatena属性が高すぎるライターとして周知なid:mohriのエントリにしては、はてなランドやらはてなココやらでソーシャルメディア展開してる〈はてな〉のはなしがないじゃん。とお思いの方もあるかとおもいますが、えーっと、GについてもSについてもPについても、それからGPSについても、はてなには今のところ見るべきものはなにも無いです。残念ながら。いやホントに残念なんだけどね*2。