mixiの現社長がテレビでインタビューに答えていたようで、それをもとにしたツイートがまとめられてフィードに流れてきてた。
mixiが廃れた原因は運営の「鈍感さ」?「足跡を廃止したのが決定打」「Twitterもこうなるのでは」 - Togetter
mixiについてはやはり好きだったサービスなので、こういうことがあると何か言いたくなってしまうが、基本的には6年前にTwitterに書いたことからぼくのなかの認識は変わっていない。
結実としてのmixiと起点としてのFacebook - Togetter
2000年代前半のmixiは最高だった。なぜなら、そのときすでに形があって、みんながすでに便利につかっていたようなネットのコミュニティの機能が、mixiにはほんんどぜんぶあったからだ。日記もあったし、コミュニティ的な掲示板もあったし、交流もできたし、個別のメッセージもやりとりできたし、写真も投稿できた。2000年代前半におけるネットの「全部入り」だった。
でも、2000年代前半において「全部入り」として完成されていたとしたら、その次の時代にはもう時代遅れになってしまうかもしれない。そして、残念ながらそうなってしまった。
2010年代にはいっても、mixiに期待する人はたくさんいて、2011年にはBusiness Media 誠で「mixiはどこへ行く?」という短期集中連載もされた。
第1回 mixiを使っているのは誰なのか、そして新インタフェースの理由
第2回 サービス開始から2カ月、「mixiページ」は今どうなっているのか
第3回 足あと廃止は改悪なのか、進歩なのか――ユーザーコミュニケーションの重要性
最終回 1500万人を満足させることは可能か――問われる「ネットベンチャーの雄」の舵取り
とはいえ、mixiが強みを発揮し、収益を得ている場所と、2010年代のネットの潮流は明らかにズレていた。
時代は、スマートフォンを起点としたリアルタイムのソーシャルウェブやアクティビティフィードに向かって進んでおり、しかし、mixiの強みはそこではないレガシーになってしまったネットにあった。それを更新していくということ、つまり自分たちがいま立っている足場を維持し続けながら、その場所にすっかり別の建物を作り、移住するにはどうすればいいのか? いま渋谷駅の銀座線のホームがまさに、解体されているビルのど真ん中で営業を続けながら建て替え工事を進行させているが、それと同じことをネットという形が見えない場所で、しかも次のネットの潮流というまだ来ておらず、収益化が可能ななのかどうかもわからないところに向けて実践しなければならないとしたら。
よく「足跡の廃止が」とか「タイムラインの導入が」といった個別の事象を取り上げられるけど、そういうことではなく、極めて難易度の高い工事を要求され、しかもそれを成し遂げつつある世界的な企業と競わなければならないという状況で、いったいどれほどが成功をおさめることができただろうか。ガラケーからスマホに移行できずに携帯電話市場から撤退してしまった日本の家電メーカーがどれほどいたかということと近いはなしなのかもしれない。
むしろここは、すべてがフィード化されたときに発生する技術的に大きな課題、つまりユーザーが大量に生み出していくさまざまなフィードの濁流を、人々の関係性を重み付けし、行動履歴をビッグデータ的に処理することでコントロールし、なんとか人間がふつうに「いいね!」できる状態を奇跡的に保ち続けているFacebookの技術力やら資本力やら企業努力やら信念やらを賞賛すべきものではないか。先駆者であるフレンドフィードを早々に買収したことも大きかったのだろう。
https://en.wikipedia.org/wiki/FriendFeed http://blog.friendfeed.com/ http://www.socialnetworking.jp/?p=99403 http://www.afpbb.com/articles/-/2629516 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2009-08-10/KO6N0D1A74ER01 http://japanese.donga.com/List/3/all/27/417913/1
ちなみに冒頭で紹介したまとめの元になった番組はこういう内容だったらしい。
去年9月、ツイッター社が身売り交渉中と米メディアが報じた。ツイッターの月間平均利用者数は3億人を超えたあたりから伸び悩んでいて、2016年7-9月期には1億287万ドルの赤字を出している。現在ツイッター社は、自力での経営再建に取り組んでいる。日本初のSNS「ミクシィ」は2年半で会員500万人を突破し、2006年には東証マザーズに上場したが、フェイスブック・ツイッターが上場すると利用者は激減した。ミクシィの森田仁基社長は当時を振り返り、予兆が出始めた時から坂道を転げ落ちるようだった、インターネットサービスの怖さを体験したなどと述べた。ところが2013年公開のスマホ用アプリ「モンスターストライク」が大ヒットし、営業利益は跳ね上がった。
https://tvtopic.goo.ne.jp/kansai/program/mbs/112/566267/