人が新しいことを学ぶときには「何もわからない」「ちょっとできる」「完全に理解した」の順で、普通は理解が進みますが、
エンジニアの言う「完全に理解した」「なにもわからない」「チョットデキル」って本当はこういう意味?「わかる」の声多数 - Togetter
- 「完全に理解した」
- 製品を利用をするためのチュートリアルを完了できたという意味。
- 「なにもわからない」
- 製品が本質的に抱える問題に直面するほど熟知が進んだという意味。
- 「チョットデキル」
- 同じ製品を自分でも1から作れるという意味。または開発者本人。
ITエンジニア界隈では直感と異なる順になることがよく知られています。
ソフトウェアに対する最高級の熟練度を表す「チョットデキル」については、2014年5月に開催された「LinuxCon Japan 2014」の参加者特典に「ワタシハリナクスチョットデキル」Tシャツがあり
「ワタシハ リナックス チョットデキル」Tシャツを着るリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)の勇姿その2。 #Linuxcon pic.twitter.com/46eMSkUX4U
— shigetaka@UiPath入門発売中 (@shigetaka256) May 21, 2014
Linuxを生み出したリーナス・トーバルズ(Linus Torvalds)本人が気に入って登壇セッションで着用していたことが発端とされています。
プルシェンコ「ワタシスケートチョットデキル」
ところでネットでは、フィギュアスケートのレジェンドであるエフゲニー・プルシェンコ(Евге́ний Плю́щенко、Evgeni Plushenko)が「スケートチョットデキル」Tシャツを着用している画像もよく見られます。
このスケートファンの方のブログなどを参考に、なぜプルシェンコがこんなTシャツを来ているのかを追ってみました。
プルシェンコの「スケートチョットデキル」画像は、ロシアのテレビタレントのバレリア・クドゥリャフツェワ(Лера Кудрявцева、Lera Kudryavtseva)のインスタ投稿がオリジナル。2012年9月なのでリーナスより1年半ほど先行者です。
Cheer with Zhenya Plushenko for SKA
画像に添えられたメッセージは「ジェーニャ・プルシェンコと一緒にSKAを応援しよう」となっていて、試合を観戦に来てたヒトコマのようです。フィギュアスケートシーズンが始まる前なので、プライベートでしょうか。
SKA(СКА)は、サンクトペテルブルク(プルシェンコが11歳から生活している)を本拠地とするロシアのアイスホッケーチーム。
▶ ジェーニャ(Женя ラテン翻字: Zhenya) : プルシェンコ伝説
ジェーニャはプルシェンコの愛称だそうです。
У Жени смешная надпись на майке!))RT @LeraTV: Болеем с Женей Плющенко за СКА http://t.co/weNpNSxU
— Yana Rudkovskaya (@yanarudkovskaya) September 27, 2012
プルシェンコの奥さんでセレブのヤナ・ルドコフスカヤ(Yana Rudkovskaya、Яна Рудковская)がこれに反応。
Zhenya has a funny inscription on his shirt!
Tシャツに変なこと書いてる! と指摘。
@yanarudkovskaya @LeraTV Это фраза, которую научили Женю сказать на японском языке http://t.co/mmO9Jwzv
— Plushenko News_Eng (@PlushenkoNews) September 27, 2012
この変なフレーズの経緯を、プルシェンコ公式ニュースの英語版が解説。
This is the phrase that Zhenya was taught to speak in Japanese.
「日本語で話すように教えられた」んだそうです。
Mao Asada & Evgeni Plushenko 浅田真央がプルシェンコと夢の競演 - YouTube
ツイートに貼られた動画でも、浅田真央に「ワタシハスケートチョットデキル」と話しかけていますね。真央ちゃん困っただろうなこれ……。
プルシェンコ選手は、やはりワンアンドオンリーだなと思いました。もうさすがです。
すごく楽しませたいという気概に溢れていて、演技ではシリアスに高いクオリティのものをしっかりと見せつつ、休憩時間のトークショー(小塚選手と宇野昌磨くんと同席)では、突然日本語で「コンニチハ」と話し出し、「ボク(ワタシ?)、スケートチョットダケデキル」と言って会場を爆笑の渦に巻き込みました。「ちょっとどころじゃないだろう!世界一だろ!」と会場中の気持ちが一体になった瞬間でした(笑)。
The ICE見てきました! : MURMUR 別館
浅田真央とプルシェンコが共演したのは、2010年7月に日本で開催された「THE ICE」というアイスショー。
プルシェンコ選手は今年の夏に日本で相当数のアイスショーに出演したため、恐らく1ケ月以上日本に滞在したのではないでしょうか。
プルシェンコ選手インタビュー「スケートは私にとって全て」 : MURMUR 別館
前シーズンに3年の休養を経て復帰。欧州選手権で優勝し、バンクーバーで銀を獲得したばかりのプルシェンコですが、ウィキペディアによると2010年シーズンはアマチュア競技会出場資格を停止されていたそうで、アイスショーへの出演が主な活動になっていたようです。
The Ice 2010 Mao 真央 & Plushenko プルシェンコ-Talk Show - ニコニコ動画
日本滞在中に誰かに教えられて、持ちネタになっちゃったみたいですね。
覚えた日本語→「スゴーイ」「コンニチワ」「アリガトゴザマース」「ワタシハスケートチョットデキル」「ガンバッテ!」←NEW! 日本語力もアップし続けてる29歳。 #全盛期のプルシェンコまとめ
— ハチ (@hachi_YT) October 9, 2012
チョットデキル、なにもわからない
ということで「チョットデキル」の歴史を、完全に理解しました。
- 2014年5月、リーナスが日本で「リナックスチョットデキル」Tシャツを着用する
- 2012年9月、プルシェンコがロシアで「スケートチョットデキル」Tシャツを着用する
- 2010年7月、来日したプルシェンコが「スケートチョットデキル」を持ちネタにする
しかし、まだまだ謎もたくさんあります。
- プルシェンコに「スケートチョットデキル」という日本語を教えたのは誰か?
- プルシェンコが、ロシアのアイスホッケーの試合で「スケートチョットデキル」Tシャツを着用していたのはなぜか?
- 2014年のLinuxConのノベルティはプルシェンコの影響を受けたものなのか?
とくに、プルシェンコとリーナスをつなぐリングは存在するのかどうか?
Linux開発者のTシャツの元ネタはプルシェンコだというツイをちらほら見かけたけど、あれは「ワタシハニホンゴチョットデキル」というポピュラーなフレーズをパロったものじゃないのかな?このテのTシャツなんかも昔からよく見かけるし。ジェーニャのもおそらくソコから来てるよねw(°н°) pic.twitter.com/iaP9r1GQvF
— Lilyshenka 低浮上 (@Lily_shenka) April 22, 2017
という指摘もありますが、両者共通のネタ元になるような2012年以前の「チョットデキル」もネットでは見つけられず、関係者の発言が待たれます。チョットデキル、なにもわからない。
追記 2019年8月23日
いくつかの重要情報が得られたので続報を書きました。あわせてお読みください。
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