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表参道で働くシニアのブログ

美術についての本を読んでいる

去年、一昨年くらいからよく美術展に行っている。現代作家の作品をギャラリーに、みたいなものではなく、印象派の名作が来てるので上野に行くかというやつ。若い人あまりいない。

テレ東の「美の巨人たち」という番組が好きで、エプソンの一社提供だったころからよく見てたのだけど、そのうち現物が来てるのだよなあじゃあ見ていくかというかんじもあり、あとはご多分にもれず若冲にちょっとハマった。というか、辻惟雄先生の例のあの本を読んだのだ。

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

いまこのISBNをコピペするのにAmazonを開いたら「お客様は、2004/11/25にこの商品を注文しました。 」って出たので、きっとそのころに読んで、それでたしか三の丸尚蔵館で動植綵絵が展示されたのが2006年らしく、それは見にいった記憶がある。もっとも、どちらかというと蕭白のほうがお気に入りで、とくに「群仙図屏風」は頭おかしいキマりまくった日本絵画の傑作なので日本国民はもれなく見たほうがよい。

紙本著色群仙図〈曽我蕭白筆/三十五歳の款記がある/六曲屏風〉 文化遺産オンライン

そんなこんなで江戸時代の日本絵画を中心に美術館に行ったりするようになっただけど、けっこう海外流出してて、蕭白の傑作を見るためにボストン美術館の展覧会を見にくとふつうに印象派とかもあってやっぱりおもしろいですねとおもったりして、いまさっき半券を数えてみたら2017年は20数回の展示に足を運んだようだ。平均すると月に2度ということなのでけっこうな頻度ではないだろうか。

美術展のいいところは、コンサートとかと違って前もってチケットをがんばって入手しなくても当日おもいついて電車に乗っていけば世界的な名画を生で見れるというところだろう。ミシャ展みたく入場するのに何時間待ちということもなくはないけど。

ということで広く浅くいろいろな展覧会に行っていると、これはいったいなんなのか? ということが気になってくるので、美術に関する本を読んでいる。

思い返せば学生時代、日本のフォークばっかり聞いてた田舎者のぼくが初めて友人に洋楽というものを教えてもらったときも、雑誌やら本やらをたくさん読んだきがする。そろそろマッドチェスターという時期だったけれど、何十年かのロックの歴史と、UKニューウェーブに関する細かな分類を頭に入れておいたことは音楽を聞く上でとても役に立った。よく音楽は感性だとか、思ったとおりに聞けばいいんだとか、ジャンルとか関係ないとかって言うけれど、入り口はそれでいいとして、ちょっと好きになったらその周辺のこととかいろいろ気になったりするんじゃないだろうか、そういうときに本とかジャンルとかっていうのはほんとうに便利で、役に立つ。ジャズを聞きはじめたときにもそうだった。それをいま日本の絵画についてやっている。

いわゆる「奇想」がはじまりなので、若中・蕭白はもよより、同時代の応挙やあるいは琳派、さらに浮世絵などは見ておもしろかどうかから入れる。困るのは、その前後だ。前というのは、お手本となった絵画のことで、つまり中国の山水画や花鳥画。これはどこから手をつけていいのかがわからない。後というのは明治維新後の西洋絵画がはいってきて以降の「日本画」となってからの絵画で、明治以降でも暁斎や渡辺省亭あたりはふつうに日本の絵画として地続きに見れるのだけど、大観あたりになると何がどうなってこうなったのか、さっぱりわからない。

ということでいくつか本を読んで、なんとなく頭のなかにマトリックスを作ろうとしている。ちょっと楽しい。

「朦朧」の時代―大観、春草らと近代日本画の成立

「朦朧」の時代―大観、春草らと近代日本画の成立

ヘンな日本美術史

ヘンな日本美術史

このあたりを読んだ。

アート・ヒステリー ---なんでもかんでもアートな国・ニッポン

アート・ヒステリー ---なんでもかんでもアートな国・ニッポン

花鳥・山水画を読み解く (ちくま学芸文庫)

花鳥・山水画を読み解く (ちくま学芸文庫)

このあたりを読んでる。

日本にアートが根付く過程はどっかで見たことがあるやつだという印象で、日本人がロックを受容していく歴史とまんま同じだなと思ったりしている。