in between days

表参道で働くシニアのブログ

画集が欲しくなる――『奇想の系譜』/辻惟雄

34年前の名著、待望の文庫化、らしい。とあるテレビ番組で伊藤若沖の特集があり、その中で「若沖の評価を決定付けた」本として取り上げられていた本。その「奇想」という素晴らしい言葉にあてられてすぐにでも読みたくなったが、あいにく絶版中だった。それが16年前の新版を底本に文庫化された。嬉しい。期待に違わぬ本でした。

若沖も素晴らしいが、なんといっても簫白の頭のオカシサにはクラクラしてくる。奇怪な異形のものどもをよくもこう描けたものだ。化け物を題材にしてるわけではない、仙人とか龍とかありがちな画題のはずなのに、仕上がったものはいびつに歪んでしまっている面白さ。

P.174の龍の爪がすごい。これは「デビルマンの手」だ。手の平が外にグワッとそっくり返って指の先からは爪が鎌首のようにグイーッと延びている。簫白とは江戸時代の永井豪だと勝手に思った。

惜しむらくは数ページの口絵を除いては図版がすべて白黒で、また文庫本サイズだからその迫力はかなりそがれてしまっていること。現物を見てみたいなあ。というかせめて画集を、とAmazonを検索してみたが、そもそも画集は出てないのでしょうか……(あるいは絶版?)。

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

参考文献

ちゃんと探したら画集あったので自分用メモとして*1

曾我蕭白 (新潮日本美術文庫)

曾我蕭白 (新潮日本美術文庫)

伊藤若冲 (新潮日本美術文庫)

伊藤若冲 (新潮日本美術文庫)

日本美術の発見者たち

日本美術の発見者たち

目をみはる 伊藤若冲の『動植綵絵』 (アートセレクション)

目をみはる 伊藤若冲の『動植綵絵』 (アートセレクション)

*1:大体、メモっていうのは間違いなく自分用メモなので「じぶんメモ」ってわざわざ断らなくてもいい!!