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表参道で働くシニアのブログ

読んだ - フェルマーの最終定理/サイモン シン

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

面白い過ぎる。途中で止められなくて一晩で読んでしまった。

数学上の難問を扱った本は先に「ポアンカレ予想を解いた数学者」や「素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)」(未だ解決していない「リーマン予想」が題材)を読んでいたけど、サイモン・シンはさすがにAmazonで60個近い★★★★★を集めるだけあって、数学的な難しさを感じさせることなく、それでいて数学における感動をあり方を普遍的に描いていて本のなかにぐんぐんと引き込まれていった。

でもまあそれは、問題そのものの一見した難しさ(解法の難しさではなくて)にも多分に関係するところもあるかも。フェルマーの数式は僕にだってわかるけど、リーマン予想(ゼータ関数)になるとそもそもそれがどういう問題なのかの見当すらつかない。ポアンカレ予想は本に先立って見たNHKの番組でわかりやすい比喩の映像が繰り返し使われてたのでなんとかイメージくらいは立った。
3冊ともに共通するのは、題材になっている問題そのものを詳細に解説する本ではないということであって、むしろ難問をベースにした「数学史」という趣がある。あるひとつの感動的な証明がなされるまでにどれだけの先達の苦労と挫折があったのか。それも古代ギリシアの数学(ピタゴラスやユークリッド)からひと繋がりになっているさまが本当に面白い。

あと日本人としては、フェルマーの最終定理の解決に至る最後の部分で何人もの日本人が登場するのは純粋に嬉しかった。谷山−志村予想の話なんて「その時歴史が動いた」とか「知ってるつもり」みたいな番組で扱われても不思議はないようなドラマ性もあるし。

面白かったけど、数学を挫折した身には、この証明の取っ掛かりだけでも理解して、感動を体験をもって味わうことは出来ないんだろうなあ、というなんというか凡人さを思い知らされるような寂しさもあり、一方で、もう一度数学を微積から勉強しなおしてみたいような気分にもさせられました。

たぶん数学が苦手でもこの本は面白いはず。なんというかイチローみたいな卓越したスポーツ選手の活躍を見てどんな運動音痴でもスゴイ!と思えるような、そういう描き方を数学に対してしている本だとおもった。

関連リンク

↑に上げた本の題材になってる理論はこれだけど、読んでもさっぱりわからない