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in between days

表参道で働くシニアのブログ

Facebookはフィードを制御する。信用されようが、信じられまいが

Mark Zuckerberg's original Facebook profile

昨日の夜、えふしんさんがすごく興味深い記事を書いていた。

Facebookのタイムライン制御に対する不信感(えふしん) - 個人 - Yahoo!ニュース

Facebookの仕様は常に変わるので、数カ月後にこの記事が通用するかはわからないが、最近Facebookのタイムラインは、僕の知らない誰かに制御されている感がすごく強い。

「最近、僕のタイムラインで見かけないけど、あの人、FBやめちゃったのかなぁ!?」

と思い、その人のタイムラインを見に行ったら、今日も普通に書き込みをしていた。
もしかしたら画面を頑張って追えば表示されているのかもしれないけど、他の人の書き込みのほうが優先度高く表示されている。

あぁ、このSNSダメだな、って思った。

ここに情報を書くのが無駄すぎる。

「数カ月後にこの記事が通用するかはわからないが」とえふしんさんは書かれているけど、数カ月後どころか数年後まで、この感覚はずっと通用するとおもう。

Facebookはインターフェースを延々とABテストし続けてて永遠の工事中みたいなサイトだけど、そんなふうにガンガンとインターフェースを変更(KAIZEN?)し続けてる一方で、その基本になってる考え方はまったくゆるぎねえところがあって、そのひとつがまさにえふしんさんが書いてるような ユーザーへのフィードを制御する ことだからだ。

Facebookのニュースフィードは「検索結果」である

数年前の技術者カンファレンスでEdgeRank(エッジランクという、Googleにおけるページランクのようなアルゴリズムが公式に発表されて以来、Facebookはあるユーザーに表示するフィードをどのように評価するかについても変更(KAIZEN?)し続けてきた。

Facebookのエッジランクに関するブログ記事が出るたびに気になる数式のこと - in between days

そして、フィードに自社の情報を表示させたいFacebookページ運営者の間では、Google検索エンジン)に対するSEOと同じように、NFO(ニュースフィード最適化)なんてことがまことしやかに語られている(SEOに妙薬がないように、NFOっていえるような技術はホントにはないとおもう)。

Googleが検索アルゴリズムを変更するとWeb広告・マーケティング業界に激震が走るように、Facebookがフィード算出アルゴリズムを変更するとマーケッターは疑心暗鬼に陥る。あまりにそれが過ぎたのか、つい先日、Facebookがフィードの算出についての疑問に答えるドキュメントを発表した。

Facebookでのオーガニックリーチ: 皆さんの疑問にお答えします | Facebookビジネス

「オーガニックリーチ」という耳慣れないタイトルのせいか、あまり読まれてないみたいだけど、Facebookがフィードを勝手に並べなおして表示することが許しがたいひとは、基本的にマーケッター向けのビジネステイストな文書だけど、あわせて読まれるとよいとおもう。

とくに次のQAは、まさにえふしんさんの指摘への回答になってるようで興味深い。

単純にすべての候補記事を表示するのではいけないのですか。友達からの記事もFacebookページからの記事も全部表示して、どれを読むかは利用者に自分で決めてもらえばいいことではありませんか。

他のオンラインフィードプラットフォームには、すべてのコンテンツをリアルタイムで表示するところもあります。しかし、リアルタイム表示方式には限界があります。利用者は押し寄せる記事を追うだけでやっとで、ログインしたときにトップに来ていない記事は見逃されがちです。つまり、最も価値がある記事が目に入らない可能性が高いということです。

Facebookでもテストを重ねましたが、いずれもニュースフィードにはランク付けシステムがあったほうが快適に利用してもらえ、エンゲージメントも増えるという結論になりました。 それにニュースフィードの平均コンテンツ数からいって、リアルタイム表示システムを導入すると、Facebookページのオーガニックリーチ数はむしろ減ってしまうでしょう。

この前提として、Facebookはユーザーのフィードを制御すること、そしてその必要性や意味をハッキリと説明している。

現在シェアされるコンテンツの量はあまりにも多く、とてもすべては消費しきれないほどです。なにしろ、1人の利用者がFacebookにログインするたびに、平均1,500本もの記事がその人のニュースフィードに表示されようと争うのです。(略)多い人だと、記事数は15,000本にものぼる場合があります。

(略)実際にニュースフィードへ表示されるのはそのうち約300本にすぎません。どの記事を表示するか決めるために、ニュースフィードは表示候補となる記事それぞれに、各利用者に関わる多数の要素を考慮して重要性ランクを付けます。

つまり、Facebookのニュースフィードは、Twitterのタイムラインのような時系列でリニアなフィードではなく、一種の検索結果だと公式に言明されている。

そして、Facebookがこれを時系列に並べ直すことはおそらく絶対にない。フィードの表示方法で「最新情報」は選べるが、これは並び順を変えてはいるけど、表示される内容が選別を経てないとはヘルプを読んでも言明されていない(おそらく「ハイライト」と同じ内容を並べ替えてるだけなんじゃないかという気もするんだけど)。

ニュースフィードに表示されるものを変えるにはどうすればよいですか。 | Facebookヘルプセンター

ちなみに、PC版のFacebookには「リアルタイムフィード」というのがあって、とにかく全部見たいというむきはこれを表示しておくという手もあります(アクティビティが全部流れるので多すぎるかもしれないけど)。

リアルタイムフィード | Facebookヘルプセンター

すべては機械で自動化できるはずだ! という強い信念をもってサービスを作っていることにおいて、FacebookGoogleと双璧をなすガチ勢

えふしんさんは次のように書いている

これはこれで難しい問題を持っているが、Twitterの「自分が見ないから仕方ない。もしかしたら24時間たどれば見えるかもしれない」という状態と、Facebookの「タイムラインを見ているだけでは、永遠にその「友達」の書き込みにはたどり着くことはない」という概念は全然違う。

Twitterのタイムラインを24時間さかのぼることはほとんどの人にとっては無理だろうから、その可能性に意味があるのかどうかわからないという気もするけど、Facebookの方で「永遠に(ry)たどり着くことはない」かどうかもわからないのではないかとおもう。

しかし所詮Facebook上の人間関係など、一部情報の投影でしかない。実は、すごくお世話になった人の書き込みがFacebookの制御によって表示されないという状況に気がついた時に、ものすごい苛立ちを感じる。

これは現在の課題として確かにこういうこともあるのだろう。しかし、そういう限界があるのであれば、おそらくFacebookはそれをアルゴリズムの改善で、つまり投影された一部情報から「すごくお世話になった」的な隠された人間関係が反映されたように見えるフィードの計算方法を必死になって考えるだろう。

ビジネスとしての検索エンジン最適化と、友達付き合いの投影は価値が違うわけです。

とえふしんさんは書いているが、Facebookはおそらく「価値が違う」とは考えていない。

友達付き合いの価値はコンピューター上で最適化できるとたぶん本気で信じており、さらにそういう「機械が人間を支配する」系のディストピアSFについても当然よく理解していて、機械が制御するのだがディストピアではない、という矛盾するような世界観を実現するというかなり大きなチャレンジに向かっているようにおもえる。

とはいえ、このあたり感覚論で「おそらく」「たぶん」「おもえる」っていう感じなので、まあ、なんというか、ぜんぜんそう感じないって人もいるだろうけど。

ところで、ディストピアではないビッグブラザーみたいな世界観、Googleのモットーが「Don't be evil.」であったことにも近いような気がしてて、なんというかそれってむしろ自分たちが間違いなく「フォースを手にしている!」という万能感があるからこそ、ダークサイドに陥ってはいけないと戒めているわけで、逆にずいぶんGoogleは思い上がってたんだなーって気がするけど、そういう万能感、プログラミングしたことがあるひとなら大なり小なり感じたことあるんじゃないかなという気もするし、スタートアップ時期のGoogleで働こうっていうエンジニアがそのくらいの気概があるのは当然という気もする。

閑話休題。ともあれ、コンピューティングによってすべての情報を最適な形で提供しうるはずだ、ということを盲信していることにおいて、FacebookGoogleと双璧をなすガチ勢だとおもう。

ポータル、検索、ソーシャル、そしてその次

その時代、その時代で特別な地位のSNSであるFacebook

とえふしんさんは書いているが、Facebookは「その時代、その時代」での特別なSNSではなく、もうSNSという分野においては、検索エンジンという分野においてGoogleがそうであるように、Facebookの代替は今後もう登場しないだろう。

インターネットの進化は、ポータル→サーチエンジン→ソーシャルと移っていて、次の時代に移ったとしても、前の時代のやり方が消えるわけではない。「ユーザーのタイムラインを制御する」問題について以前かなり雑な形で書いたことがあるが、

「ネットに強い」ひとほどフェイスブックが使いづらいの法則というのをでっち上げてみた - in between days

この中で次のように書いた。

そもそも情報に対するサイト設計の思想が違うんだとおもう
既存のネットは、リンクをたどって移動していって、よい情報を自力で探し出すというやり方
フェイスブックがやってるのは、ひたすら大量に流れこんでくるフィードをいかに効率よくさばいていくかというかんじ
自分が動いていくのか、自分のところに流れ込んでくるのか
まるっきり正反対に違う考え方で、このサイトはつくられてる
だから、既存のインターネットにすごい慣れてて、そのリテラシーのままで使おうとするとすごい使いにくさある

どっちが良いとか新しいとかいうはなしじゃなくて、TwitterGoogleで自力で情報を探しだすとすげえ良い、という世界観と、自分の行動履歴からエッジランクされることで情報を自動で取捨してく世界観、両方があるみたいになってくのではとおもう

ただ、ネットの世界ではそれぞれの世界観での勝者サービスはひとつで、それはもう決まってしまったらそのジャンルではゆるがない。ポータルはYahoo!サーチエンジンGoogle。そしてソーシャルはFacebook。これはもう決まったもののようにおもえる。

次に新しいサービスが出てくるとしたら、まったく違ったアプローチ。つまり世界中の情報を、分類して整理しよう(ポータル)というのでもなく、全部を収集して検索させようというのでもなく、友達の言ってることがいちばん信頼できるという交友関係をベースにしてキュレーションする(ソーシャル)のでもない、まったく新しい世界観が、そろそろ求められているのかもしれない。

それは、いますごく隆盛しているSnapChatやらLINEやらといった、モバイルをベースにしたメッセンジャーの再発見なのかもしれないし、もっと別の何かなのかもしれないなあと思ったりするのです。