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in between days

表参道で働くシニアのブログ

まだWindowsで消耗してるの? インターネット歴25年くらいの編集者がいまさらMacに乗り換えようとしている話

internet hatena

この記事は、はてなスタッフアドベントカレンダーの15日目です。昨日の id:jusei からバトンを受け取り、本日すでに id:Swatz の記事も出ていますが、2本目のアドベントになります。このエントリーでは、いろいろあってマイマシンとして初めてMacを入手した編集おじさんが仕事環境を整えるぞという話を書きます。

はてなスタッフアドベントカレンダー2015

編集職を長年やってますが、自分の観測範囲だとWindowsを使ってるひとがとにかく多かった。とくに書籍など紙の編集をしていると、Microsoft Officeな書類を頻繁にやりとりしたり、ヘタすると著者から原稿がPPTファイルで届いたりするので、デザイン関係の書籍の担当者を除けばだいたいWindowsがデフォルトで、私も前職の実用書籍の版元ではMS-DOSMIFESみたいな環境からはじまり、Windows 3.1→NT4→2000→XPと順調に推移し、はてなに転職してはWindows 7一辺倒でやってきたわけです。

しかし、なんせ15インチのLenovoを選んでしまったので持ち運びが重い。はてなは京都と東京にオフィスが分かれていて出張の機会も多く、取材に出かけることもあるのでもっと軽快なマシンが渇望されていたし、やはりWeb関連企業に就職したからには、片手にMacBook Proを掲げつつ打ち合わせに登場してみたいというのが人情というものではないだろうか!?

さて、そんな先日のこと、Windows Updateのウィンドウを「10にしろ」といういつもの勧誘を振りきって閉じ、ついでにPCのフタも勢いよく閉じたところ、そこにイヤホンの先っぽがひとつ乗っており、たいへん貴重な天然のグリッチ入りの液晶ディスプレイを手に入れたわけですが(口絵参照)、持ち運びできるPC環境を失ってしまったこともあり(固定された外部ディスプレイでのみ作業可能)、業務上の危機であります!

はてなにおける業務PCの購入サイクル

はてなでは、入社時に希望するPCを購入限度額(だいたいそれぞれの職種にちょうどいいスペックのMacBook Proが買えるくらい)の範囲内で用意してもらえますが、さらにそれを開発職なら2.5年、非開発職は3年で更新できることになっています。プログラマーやデザイナーはMacを選択することが多く(WindowsLinuxのエンジニアももちろんいます)、営業や総務といったオフィス・業務アプリを使用する職種は反対にWindows一辺倒、編集職はちょうどその中間。どっちもいるというかんじです。

たまたま自分は入社3年が過ぎて業務用PCを更新できるタイミングが来ていたので、いい機会ということで壊れたPCは修理に出しつつも、この機会におもいきって業務用マシンを更新し、初めてのMacを体験しようとしているわけですが、なんと昨日ようやくMacBook Pro 13インチが届きまして、いまこれを書きながら同時並行で業務環境を整えております。明らかにスタッフカレンダーのネタのチョイスとして企画倒れの様相が風雲で急を告げております(この記事は頑張ってMacで書いてます)。

Macに電源を入れて、仕事ができるようになるまで

さて昨日のことです。届いたMacを夕方にようやく電源を入れることができ、ひと通りのセットアップを済ませて、OS Xをアップデートしました。続いて必要なソフトウェアを入れます。といっても編集職は日本語の読み書きができればなんとかなるので……

  1. 適当なエディタを入れる
  2. 入力が厳しかったのでGoogle日本語入力を入れて、キーボードのCapsを無効にするなど(ResEditを使わなくてよかったことに感動した)
  3. 複数の環境をブラウザで使い分けているので、Chromeを別途入れる(Firefoxも入れるか検討中)

これだけでひとまず大丈夫。エディタはとりあえず CotEditor を使うことにしました。秀丸と同じで正規表現を使えると聞いたので。

ソフトウェアが揃ったのでおもむろにブラウザで、はてなにログイン。index_htmlも書いていたように、はてなでは業務上の情報共有に「はてなグループ」を活用しています。

sugawa.hatenablog.com

さらにGoogle Appsにログイン。これで業務メールが読み書きできて、カレンダーが確認できて、オフィス文書も共有できる。最後にslackにログインすれば、あれ? これでもう仕事だいたいできそう!

というのはまあ始めから見えていて、というかそれがわかっていたのでWindowsからMacにシュッと乗り換えたわけなんですけど、サービスが存在するレイヤーがPC上からWeb上へと移行したおかげで、WindowsであろうがMacであろうが関係ないという世界観の職種は多くなってきてるのではないでしょうか。

しかもはてなに転職して驚いたことは、とにかくペーパーレスなんですね。紙の書類を提出しないといけないことはほぼなく、たいがいがWeb上、しかも(はてなグループを含む)クラウド的なサービス上で完結しています。

そういった省力化によって、Webにさえアクセスできればだいたいの日常業務はできるシンプルな業務環境を会社全体として維持しようとしていることと、先述したPC購入制度のおかげで私はこうやってMacを導入することができています。便利最高。

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

ターミナルとインターネットについて

これでとりあえずは終了ですが(これを書きながら環境を整えてるので丸1日でできることといえばこんなものではありますが)、もう1つ、Macを入手したら忘れてはならない重要な作業があります。

そう。ターミナルのシェルの変更ですね。

コマンドプロンプトの末尾が $ であるのはどうも落ち着かなくてイライラします(個人の見解です)。やはりどうしても % でなければならない。このあたりが、SunOSからこっちBSDで育ったおっさんというかんじですが、とりあえず chsh -s /usr/bin/tcsh しました。

もっとも、上には上がいるようで、検索してみると OS X のデフォルトの vi が nvi から vim に変わってしまったのが気に食わないといってわざわざ nvi をインストールしてる人がいるみたい。そうまでするならもうMacをわざわざ使わなくても、というきがしないではないですが……。

Install the nvi text editor on Panther - Mac OS X Hints

とはいえ、気持ちはわかります。AppleではFreeBSDのコミッターが働いていた(Apple's Operating System Guru Goes Back to His Roots | WIRED)くらいですから、OS Xは系統でいうならBSD UNIX。ログインシェルはcshであるべきだし、いくらvimが使いやすいとはいえ、viはnviであるのが本来の姿ではあったでしょう。

FreeBSD徹底入門―初めての人でも安心 PC‐UNIXのインストールと完全活用 FreeBSD2.2.1‐RELEASE

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そういえば、vimによく似た名前のvinというソフトウェアがあり、これはいわゆるネットニュースを読み書きする、つまりNNTPクライアントですね。電総研のDeleGateで知られる佐藤豊さんのプロダクトだったとおもいます。

ネットニュースというのはおもしろい世界で、いまの概念でいうと分散管理型の電子掲示板となるでしょうか。90年代前半のWebが台頭するまでのインターネットでは、よりクローズドなメーリングリストに対して、よりオープンなコミュニティとして機能していたようにおもいます。ただし、その当時のインターネットには電気・通信関連企業の研究所や工学系大学の研究室が中心で、だいたい1つの業界で界隈という人しかいなかったわけです。ものすごい面倒な揉めごとで大炎上してるのに、所属研究室+個人名を丸出しのガチガチな実名で喧喧囂囂とやってるわけです。にもかかわらず、所属先の学校や企業に正面からクレーム入れるというケースはけっこうマレで、ネット上のコミュニティ内でなんとかしようという雰囲気があった。

日本のインターネットはそういう学術・研究系のネットワークからはじまったとされていますが、たしかに物理的な接続でいうとそうなんですけど、文化的なつながりでいうと、そういう実名でガチに行く文化は、Webカルチャー黎明期から匿名掲示板全盛期にかけてかなり影に隠れていたといえるのではないでしょうか。

そういった匿名のカルチャーにはまた別の源流があり、むしろパソコン通信に由来するのではないかと思えるのです。一般にインターネットはオープンでパソ通はクローズドと思われがちですが、参加している人たちの職種・多様性からいうならパソ通のほうがぜんぜん手広かった。そしてハンドル文化です。その匿名に近い世界観が、利用者の流入にともなってWebの個人サイトや掲示板に広まったと考えられます。

そういった匿名・実名の源流を考えるとき、オープンとクローズの2分化ではなく、その掛け合わせを考えたほうがよいのではないかとおもうのです。つまり誰がいるかわからないオープンな場所で匿名的なクローズドなコミュニケーションを行っていく世界観、これがパソコン通信から掲示板文化に引き継がれた感覚で、つい最近までネットの主流だったとおもうのです。

一方で、初期のネットニュースにあったような、限られたクローズドな範囲のなかで実名的でオープンなコミュニケーションを行っていくこと。これは、ようやく2010年代になって、Facebookの普及にともなって再び現れたインターネットの形ではないでしょうか。時代は繰り返す。

教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書

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明日のスタッフアドベントカレンダーid:sharatani です。イカ、よろしくー。