ロクジェに向けてエレカシの旧譜を久々に聴き直して、というかリップしてiPodにぶっこんで聴いているのだが、ちょっとホントに久しぶりに聴くアルバムとかもあってかなり新鮮な気持ちになる。
結論としては『奴隷天国』は記憶してた以上に素晴らしいアルバムだったということだ。これはおそらくエレカシのバンドサウンドとして完成形だろう。
デビュー以来一貫して「ヴォーカルがでかすぎる」と言われてきて「生活」でそれが極地まで達したあのヘンテコなサウンドバランスがこのアルバムでは一掃され、普通のギターロックアルバムとして聴くことができる。エレカシ特有のレッド・ツェッペリン型のつんのめるようなファンキービートを叩き出すリズム隊にリフ重視のギターサウンド、そこに宮本の強いヴォーカルがのっかってガナリ立てる。最強のロックアルバムだと思う。
楽曲も良い。アルバムタイトル曲「奴隷天国」は、宮本にしか歌えない「諦念」と「反骨」を、これまた宮本流のユーモアで包んで一回捻ってポップに仕上げたという名曲。客に向かって「死ね!」とか歌ってるのに深刻にならない味付け加減が実に絶妙で、ハードロックとしても上々の出来。
ただ、このアルバムの白眉はなんといっても「道」だろう。これは「待つ男」「男は行く」などの系譜に連なるエレカシにしかできないスタイルのヘビィロックで、てゆかエレカシもこれ以降はあまりやってない。「涙の数だけ」ぐらいか? ツェッペリンのいちばんヘヴィなスタイルを味噌と醤油で煮込んで生姜を散らしてみましたみたいな和風テイストが何とも言えない。とにかく演歌かっちゅうくらい溜めまくる宮本と、それにピッタリ随従して叩いてくトミのドラムが素晴らしい。やはりエレカシはこうでなくっちゃという感じがする。