カバー曲、好きですか? 僕はすごい好きなんですよ、カバー曲。
まず曲がいいじゃないですか。プロのミュージシャンが選んでカバーしてるんだから、ダサいわけがない。シングルのB面とかに入ってることが多くて、自分の本来のじゃないから肩の力も抜けて楽しくプレイしてるし、フロア向けのトラックが多いんですよね。有名曲も多いから盛り上がりやすい。
ということで、先日のイベントでかけたカバー曲の要はセットリストを紹介しようというエントリーです。タイトルはライフハックブログっぽく狙ってみましたが、実際それなりに盛り上がったんで、まあいちおう偽りなしと言っていいかなー。「日本の」としてますが、カバーしているミュージシャンが日本のひとで、オリジナルは洋楽というものもいくつかあります。
それでは行ってみましょう! かけた順です。
EGO-WRAPPIN' / Girls Just Want To Have Fun (Cyndi Lauper)
歌謡曲っぽい雰囲気を「夜の~」って表すのがありますけど、これもまさに「夜のハイスクールはダンステリア」という雰囲気。シンディ・ローパーのデビューシングル(1983年)を、エゴラッピンが2008年のシングルのカップリングでカバー。
それだけで盛り上がる超有名曲を、腕に覚えのあるミュージシャンが、シングルのB面あたりでひっそりと、しかしガッツリ自分流に演奏するというのがカバー曲の醍醐味ですが、まさにそれです。ちなみにシンディのバージョンも実はカバーで、オリジナルはRobert Hazardによるもの(1979年)。
音速ライン / ハイスクールララバイ (イモ欽トリオ)
デビュー12年目のフォーキーなロックバンド、音速ラインの8thシングル「青春色」(2007年)に収録されたカップリング曲。ピコピコした原曲をギターでフルコピーしていて素晴らしい。この曲の作詞作曲は松本隆×細野晴臣のコンビだけど、音速ラインはシングルではっぴいえんど「夏なんです」もカバーしています。
tetrapletrap F×The Shinno! / SELF CONTROL (TM NETWORK)
ネオ渋谷系(と呼ばれていたらしいけれど、すいませんこのあたりよくわかりません)のテトラプルトラップの川島蹴太によるソロユニットが2004年にリリースしたアルバム『少年サーフライダー』より、これまた'80年代を代表するTMネットワークの名曲「セルフコントロール」。キーボード主体の原曲を完全にギターポップに仕上げていてホント素晴らしい。カバーイベントでなくても必ず持っていく1枚。
水戸華之介 / 与作 (北島三郎)
ビートバンクバンド、アンジーの活動休止後にボーカルの水戸華之介がリリースしたカバーアルバム『Made in Babylon』(1996年)より。ド演歌と思いきや、のっけからデジタルパンクなアレンジで「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のあのリフが鳴り響く。ディープ・パープルと北島三郎のマッシュアップ。最高。同じ趣向のカバーでは、スピッツのトリビュートでPOLYSICSが演奏したキング・クリムゾン「21世紀の精神異常者」まんまの「チェリー」もオススメ。
NEWEST MODEL / Hey Pocky A-Way (The Meters)
ニューオーリンズのR&Bバンド、ミーターズによる1974年のシングル「ヘイ・ポッキー・アウェイ」を、ニューエスト・モデル(現ソウル・フラワー・ユニオン)がメジャーデビューアルバム『ソウル・サバイバー』(1989年)でカバー。大阪のハードコアパンクからソウル、ファンク、トラッド、チンドンとさまざまな音楽を貪欲に吸収する彼らの最初の転換点。ちなみに久保田麻琴と夕焼け楽団もアルバム『Second Line』(1979年)でカバーしています。
グルーヴァーズ / ニューエイジ (佐野元春)
1996年にリリースされた佐野元春のトリビュート・アルバムの幕開けは、1991年からスリーピースで活動するグルーヴァーズによるハードなギターロック。原曲は1984年のシングルで、ニューヨークで制作された先進的なアルバム『VISITORS』に収録。このトリビュートについては、公式サイトの解説を参照。
チャッカマンズ / 今夜はブギーバック (小沢健二)
yes, mama ok?が所属していたことで知られるLD&Kレコードから2003年にリリースされた『チャッカマンズゴーゴー』というデビュー・ミニ・アルバムに収録(ということしかバンドの情報わかりません。すいません)。公式のミュージックビデオがアップされてて、まあホメてるコメント皆無でヒドいもんだけど、数ある「ブギー・バック」(1994年)カバー(本人参加も含めて)の中で僕はこれが最高だと思う。オザケン・カバー曲としてもニーネ「恋しくて」の次くらいに良い。
ガガガSP / 満月の夕 (ソウル・フラワー・ユニオン、ヒートウェイブ)
中川敬と山口洋が同時参加したことでも話題になったBRAHMAN(NHK BS「The Covers」で放送)など数多くのカバーが存在する阪神大震災への鎮魂歌「満月の夕」(1995年)だけど、このバージョン(2003年)はカップリングの「問題はない」も含め、被災した人たちから視線が加わっていることがほかにはない印象を生んでいる。8年後のアンサーソング。
HUSKING BEE / さらば青春 (エレファントカシマシ)
エレファントカシマシカバーアルバム(2003年)より。オリジナルはシングル「風に吹かれて」(1997年)のカップリングで、オリジナルアルバム未収録の地味な曲を選んできて、きっちりハスキンらしくエモに仕上げている。ケレンしかなかったバンドがケレンを脱ぎ捨てようともがくなかでドロップされた1曲を、まさにケレン味なく演奏している。ココロに花男。
椎名純平 feat. Twigy / モンキー・マジック (ゴダイゴ)
ゴダイゴはやっぱ偉大なバンドだ。1978年のドラマ「西遊記」のオープニングというタイアップ曲で、もちろん大ヒット曲で、そしてちゃんとロックしている。堺正章の代わりにラッパーのツイギーが斉天大聖の降臨を宣言。2002年にリリースされたカバー集アルバムより。妹、林檎の参加曲も。
ウルフルズ / Tighten up ~しまっていこう~ (Archie Bell & The Drells)
「That's the Way」が「ガッツだぜ」なら、「Tighten up」は「しまっていこう」。アーチー・ベル&ザ・ドレルズ、唯一のヒット曲(1968年)。YMOのカバー(1980年)でも有名だけど、そっちはクール、こっちはホット。シングル「まかせなさい」のカップリング(1998年)っていうレア感もいいよね。アルバム未収録かな。かなりヤバイ。
二階堂和美 with Your Song is Good / 関白宣言 (さだまさし)
1979年のリリース当時、予想外の大ヒットとなったことで男尊女卑との批判も受けた男性目線なこの曲を女性が歌うのは、まるで中島みゆき「ファイト」を男性が演じる違和感に似て……、とおもったら何でかしっくりハマっているのは、ユア・ソング・イズ・グッドの「ええじゃないか」感あるアゲアゲなな演奏か、二階堂和美の声によるものか。2007年のミニ・アルバム『ハミング・スイッチ』より。
槇原敬之 / ミス・ブランニュー・デイ (サザン・オールスターズ)
桑田佳祐が例の巻き舌でまくし立てまくる1984年のヒットシングルを、槇原敬之が例のさわやかな歌声で朗々と歌い上げる。サザンの楽曲なのに一音一音がはっきり聞き取れるという違和感、このギャップがまず素晴らしい。ラテンなアレンジもハマっていて、もちろん歌は上手い。テクノっぽさ皆無の「君に、胸キュン」も素晴らしいカバー集『Listen To The Music』(1998年)より。
井手麻理子 / There must be an angel (Eurythmics)
フジテレビ系ドラマ「危険な関係」(豊川悦司主演、1999年)主題歌だったので、イントロの「♪ララリララランラーラーラーアー」に聞き覚えのある方も多いかもしれない。オリジナルはユーリズミックスの代表曲(1985年)。'90年代後半のディーバブームでたくさんの女性ソロシンガーがデビューしたなか、井手麻理子は今も活動を続けていて、主にジャズ・スタンダードなどとともにこの曲を今でも歌っている。
meg / イケナイコトカイ (岡村靖幸)
それまでプリンス好きのファンキーなシンガーという印象が、あれ? この人かなりヤバイんちゃう? とその片鱗を見せはじたセカンド・アルバム『DATE』からのファースト・シングルカット(1988年)。それから一作一曲ごとにどんどんヤバくなる一方だった岡村ちゃんが自身の活動を少しお休みしはじめたころデビュー曲を競作したmegのセカンドシングル(2002年)。レゲエ・ディスコ・ロッカーズのミックスがラヴァーズでよい。
Dog's Holiday of Yawn / 太陽は僕の敵 (Cornelius)
フリッパーズ・ギター解散後、小山田圭吾が自身のレーベル「トラットリア」から初めてコーネリアス名義でリリースしたシングル(1993年)で、元ネタはスタイル・カウンシル「シャウト・トゥ・ザ・トップ」(1984年)。D.H.Y.は、元エスレフノックの青木美智子(Quinka, with a Yawn)やポメラニアンズのザッキーによるJ-POPカバーユニット(2007年)。若干の「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバー」っぽさも、だがそれがいい。
Smooth Ace / Bohemian Rhapsody (Queen)
男女混声のア・カペラ・グループ、スムースエースの洋楽カバー集(2003年)より、クイーンによるロックオペラの大ヒット曲「ボヘミアン・ラプソディ」(1975年)のしっとりとしたカバー。このアルバムは、クラフトワーク「放射能 (Radioactivity)」やP.I.L.「パブリック・イメージ」といったふつうコーラス主体でカバーしない曲をやってておもしろい。
SMI / ベートーベンをぶっとばせ (Chuck Berry)
1990年4月に大阪城野外音楽堂と日比谷野外音楽堂で開催された洋楽カバーイベント「ロックの生まれた日」の実況盤。オリジナルに敬意を払った英語詩カバーが続くなか、抜群の日本語訳詩でシャウトするボス、忌野清志郎。坂本冬美、三宅伸治との共演で頭文字からSMI。この延長に細野晴臣が参加した翌年のHISがあるが、そこではやってないチャック・ベリー1956年のヒットシングル「Roll Over Beethoven」が抜群にロックンロールでかっこいい。25年前の日本のロックシーンにはリスペクトすべき洋楽があった、という歴史の記録。
ウルフルズ / 実験4号 (Theピーズ)
一晩で同じバンドを2回かけることはあまりないんだけど、「しまっていこう」かけたのすっかり忘れててイベント終盤のバック・トゥ・バックでついかけてしまった。バカロックの雄、Theピーズが活動休止直前の1997年にリリースした名盤『リハビリ中断』中の名曲。ドツボな状況がどうでもいいんだというように歌われる。日本語のロックの到達点のひとつ。ウルフルズは2年後に企画アルバムでカバー。
安室奈美恵 / 人魚 (NOKKO)
2006年のヒットシングル「CAN'T SLEEP, CAN'T EAT, I'M SICK」とのダブルサイドA面。アルバム未収録。オリジナルは、レベッカの再結成も話題のノッコが1994年にリリースした5枚目のシングルで、フジテレビ系ドラマ「時をかける少女」の主題歌(アムロちゃんも出演していたそうだ)。イベント終演後の客出しでかけました。
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ほかにも紹介したいカバー曲がたくさんあって、この日も100枚くらいCD持ってったんだけど、今日のところはここまで。また機会があったらカバーイベントやりたいです。
もっといいカバー曲をもっと知ってるぜってコメントもお待ちしています!