渋谷を久しぶりに歩いた。宮益坂の渋谷郵便局前から金王坂を回ってヒカリエ。スクランブルスクエアをかすめて地下道を抜けてセンター街からスペイン坂を上ってパルコ。勤労福祉会館前からタワーレコードまで坂をおりて(この坂にフィンガーアベニューなんて名前があることをついさっき知りました)、そのままガードをくぐってオープンしたばかりのミヤシタパーク(上の写真)。
再開発でできた大きなショッピングビルばかり回ってるようだけど、立ち寄りたかったのはみんなギャラリーで、なぜかそういうことになってしまった。展示を4つ見てきたなかで、ホントにおすすめしたいポケモンの企画がボーッとしてたら記事公開当日の8月16日まで。たまたま時間と場所が合うひとがいればぜひどうぞ。
田名網敬一 記憶の修築(NANZUKA)
金王坂(青山通りから六本木通りのほうにおりる246の坂)沿いにあるNANZUKA。
8月8日まで開催されていた田名網敬一の新作展を見てきました。立体造形がかっこよかった。
田名網敬一 記憶の修築 - NANZUKA - contemporary art gallery
パルコの2Gでも同時開催だったけれど、そっちは終わって別の展示(後述)になってます。
箱庭のような立体作品や大作のコラージュも。田名網敬一の新作個展が渋谷2会場で開催へ|美術手帖
そういえば去年も夏の暑い日に田名網さんを見てた。どういうことだ。
「田名網敬一の観光 Keiichi Tanaami Great Journey」ギンザ・グラフィック・ギャラリー - in between days
竹谷嘉人「創」展
ヒカリエのギャラリーにも立ち寄ってみました。ライブペインティングで制作した作品をどんどん壁に貼っていくスタイル。
ヒカリエから眺める渋谷の街。右奥のほうの高台にできたパルコにこれから行きます
空山基〈SEXY ROBOT〉
7月26日で終わった「GLOBAL POP UNDERGROUND」展のために設置された空山基デザインの巨大ロボット。展示は終わってるのにまだパブリックアート的に残されていた。ほんとに大きくて、すんごいもの作ったなって気持ちかなり盛り上がった。素晴らしいな。
【速報】壮大/妖艶/美しい 渋谷PARCOスペイン坂広場の全長7mの巨大セクシーロボットの写真と動画を公開 空山基氏デザイン | ロボスタ
PARCO MUSEUM TOKYOで開催されてた「GLOBAL POP UNDERGROUND」はかなり行きたかったんだけど、時期的にちょっと難しかった。
Daniel Arsham × Pokémon / Relics of Kanto Through Time
8月1日から16日まで、PARCO MUSEUM TOKYO(有料・時間指定制)NANZUKA 2G(無料)で同時開催されている「Relics of Kanto Through Time」展を見ました。
Relics of Kanto Through Time | PARCO MUSEUM TOKYO | PARCO ART
ダニエル・アーシャム Relics of Kanto Through Time - NANZUKA 2G / PARCO MUSEUM TOKYO
ニューヨーク在住のアーティストであるダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)によるフィクションとしての考古学(Fictional Archeology)というコンセプトの作品で、あたかも未来の考古学者が発掘したかのような現代文明のかけらとして表現された彫刻作品。
ポケモン初の現代美術プロジェクト。ダニエル・アーシャムが語る「Relics of Kanto Through Time」|美術手帖
いろんなポケモンが題材になってたんだけど、この〈プリン〉がとってもかっこよかった!
これだけでも見に行く価値はあるのではと思います。プリンは2Gのほうに展示されてました。
スペイン坂の方から入ったから気づかなかったけど、公園通りに出たらブラック・ピカチューがいました。この写真ちょっと怖いな……
参考記事: 色覚異常の現代アーティスト、ダニエル・アーシャムが2年ぶりに個展を開催 | WWD JAPAN.com(2018年5月)
KYNE TOKYO 2
宮下公園にできたRAYARD MIYASHITA PARK(紛らわしいな)のギャラリーSAI(サイ)のオープン展。
KYNEがニューオープンのギャラリーSAIにて個展『KYNE TOKYO 2』を開催 - FNMNL (フェノメナル)
女性のお客さんが訪れては写真を撮っていたのでけっこう人気な方なのだなとおもった。
作家のインフォメーションとかがギャラリーに用意されてなかったけど、インタビューを読んだら「よく言われるわりに、江口寿史さんは通っていないのです」ってわざわざ書いてあっておもしろかった。
福岡のストリートから世界へ。 注目の美術家、KYNEとは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS
ショッピングモールの南端まで歩いてきたら、のんべい横丁の灯りが見えた。ポツンと残された昭和の島みたいだなっておもった。
渋谷のギャラリー歩きレポートはこれで終わりだけれど、宮下公園の再開発といえばホームレス排除の問題があったなあと帰ってからいろいろ調べていたら、興味深い記事にたどり着いた。新左翼団体(日本革命的共産主義者同盟)の機関紙による2009年のインタビュー。
もちろん宮下公園のホームレス支援の話もあるけれど、後半の根本的な話のくだり。
戦後日本社会は企業を通じた分配しかやってこなかった。税金を政府が吸い上げて、それを補助金や公共事業の形で大企業に落とす。それを企業が労働者および家族に分配して、下請けに下ろす。下請けがまた労働者とその家族に分配する。幹は企業なんですね。景気が悪くなって、景気浮揚策といっても、基本は企業を救うことだ。それ以外にやらなければいけないとなるとバラまきしかない。セイフティネットを外側で支えていくというようなシステムづくりの話にならない。
これは今に始まった話ではない。戦後一貫してそうだったんではないかと思う。おカネを企業に落としても末端まで分配されていかない。先っぽの枝葉が枯れてきてしまう。これが貧困の問題です。外側から木に水をやるようにセイフティネットをかぶせなくてはいけないという状況になってきていますが、そのことはやったことがないから分からない。なのでフリーター対策を立てようとすると年長フリーターを雇用してくれたら、企業に百万円あげますよとなる。
太字にした部分、どこかで聞いた話だなっておもった。まさにコロナ対策でもいち早く制度化された雇用調整助成金の構図じゃないか。コロナで仕事を失っている人がたくさんいるのが問題だから対策しようというはずなのに、失職したひとを直接支援するのではなく、失職させなかった企業にお金をあげるというスキームが謎すぎるとおもっていたんだけれど、11年前のインタビューに同じような話が書いてあるとは思わなかった。