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表参道で働くシニアのブログ

ツイッターのプライバシー問題について「第3回Twitter研究会」で発表してきました

毎回刺激的な発表が集まるTwitter研究会で、ツイッターのプライバシー問題とか個人情報流出について最近考えてることを発表してきました。

Twitter研究会はかなりテクノロジー寄りな勉強会で、今回も自然言語処理を応用したツイート解析やAPIの解説、さらにtumblrやyammerの発表もあって盛りだくさんでした。

そんななかで「炎上のツイッターと実名のフェイスブック ――われわれに安住の約束の地(SNS)は存在するのか?」というやや煽り系タイトルで、とくに技術的新事実とかなく「オレはこう考えたっす」みたいな場違い感は否めない発表ではありましたが、後でかえって新鮮だったと言われて一安心はしています。

資料と録画は下記サイトから

ustreamの録画が公式サイトにあがってるんですが、怖くてまだ自分では見てません。下記のリンクから発表資料とまとめてリンクされていますので、もし興味のある方はご覧いただければ幸いです。人前でプレゼンするのが初めてという人が喋っておりますので少しばっか優しい目で見ていただけると幸いです

http://homepage3.nifty.com/toremoro/study/twitterconf3.html

自分の発表以外では、tumblrが面白かったですね。懇親会でもtumblr話がひとしきり盛り上がりましたし、これまでも画像収集やネットウォッチ方面で熱い支持を得てきたtumblrですが、今年は対に日本でも企業ブログのプラットフォームとして本格的にブレイクする予感がします。画像クリップ系はPinterestとかあるしね。

http://rakuten-goodmorning.tumblr.com/ (懇親会で教えていただいた楽天さんの公式tumblr)

発表内容の概略と補足

当初の予定では、自分は2011年かなりFacebook関連の本やムックに執筆してきてFacebookの使い方のコツなども掴めてきたので、具体的なノウハウも交えつつ、TwitterとFacebookのプライバシーコントロールの違いを遡上に乗せる。つもりだったんですが、実際に準備をはじめるとぜんぜんFacebookの話を入れられなくて、Twitterにおけるプライバシーコントロールの考え方に絞って話をしました。

詳細は上記の公式サイトのリンクから発表資料などを見ていただきたいんですが、簡単に書くと、自分の個人情報を守るためにTwitterで本名を出さないよう匿名でアカウントを開設するのは、もはや無意味ではないかということです。むしろ、匿名だからって安心して自由に書き込みすぎることが炎上を招くことがあることを考えると、匿名に頼ることはある意味で弊害と言えるかもしれません。

Twitterは本質的に匿名ではない

それは、Twitterは掲示板ではなく、自分の発言が継続的に自分のアカウントのもとにヒモづけられ、そこに自分の友達からのアクション/リアクションが残っていくシステムだからです。

継続的な発言というタテ軸と、友達(フォロワー)との交友平面によって、自分というものが意図せず三次元的に立ち現れてくる。友達との何気ないやりとりや、「いま何してる」みたいな、あまり意識しないで投稿するなんてことない一挙手一投足の集積によって、これを書いてるのはこういう人なんだなーっていうことがプロファイルされてくる。本名を隠してたってこの人は誰かっていう情報はにじみ出てきてしまうわけです。

だから、いくら名前を隠していても、Twitterアカウントは使えば使うだけ、ハマればハマるだけ自分の実存在にとても近いものになっていく。したがって、そもそも論として最初から匿名とは相容れないものなのです。Twitterを始めた時点で匿名は諦めろということです。

Twitterは掲示板ではない

そこが同じように大規模なWebでありながら、大規模掲示板とTwitterが大きく違うところなのです。大規模掲示板では、基本的に「自分のことを知らない人と、お互いのことを知らない状態で」会話をする。だから「王様の耳はロバの耳」状態で深い話をしても大丈夫なのです。

しかし、Twitterのようなソーシャルなサイトは、基本的に「自分のことを知っている人と、お互いにある程度知り合っているという前提で」会話をする。だから、関係性から芋づる式に個人情報がバレるし、またクッキーを消したからもう別の人、というわけにはいかない。ソーシャルサイトではソーシャルの関係性の中に絡まれた自分の分身からは逃げられないのです。

ではわれわれはどうすればいいのか?

じゃあ、どうすればいいのか? ということでひとつの対案としてFacebookでのプライバシーコントロールのノウハウを入れたかったのですが、時間的な制約もあって、上記の発表には入れられませんでした。

もし、Facebookセミナーなどを企画されている方がいらっしゃれば、そういった内容でトークできますので、お声掛けいただければとおもいます(連絡先は右サイドのプロフィールにあります)。

よくFacebookの実名制は「ネットで実名とかバカなの死ぬの?」的に揶揄されることがありますが、上記に書いたように匿名の安全性が失われ、匿名であってもプライバシー侵害のリスクが高いという状況になってくると、相対的に実名のリスクは以前程は高くないということになります。

むしろ、Twitterはサービスをシンプルに保つためにプライバシーコントロールの機能をバッサリと切り捨てているだけに、プライバシーに関する批判を受けるたびに改善を重ねて複雑なコントロール機能を有するFacebookと比べた際に、匿名のTwitterアカウントと実名のFacebookアカウントのどちらのプライバシーリスクが高いのか、一概に判断できなくなっているのではなでしょうか。

もうひとつの逃げ道

ただ、Facebookも巨大なSNSですから職場や取引先のつながりもありますし(まとめて「制限」リストに入れちゃえばいいとはおもいますけどね)、何よりそのプライバシーコントロール機能はけっこう複雑ですから、手軽に万全を期待することはなかなか難しい。

そういった状況への反動として、いまスモールSNSが流行っている、と見ることもできるでしょう。日本ではLineやココアトーク、黒船としてはPathといった、スマートフォンのみで利用でき、友達の範囲をごく限られた知り合いだけに限定したSNSが流行っているのは、Twitterみたいに全公開で好き勝手書くのはこわいけど、Facebookを使いこなすのも難しい、という感覚と、折からのスマートフォンブームが合致した必然であるのかもしれません。

あ、いや、でもFacebookちゃんと使いこなすとちゃんとコントロールできますよ(キリッ