2014年に出たビジネス系の書籍をいくつか読んだ。ふだんビジネス書はほとんど読まない(あまりマーケティングやセールスに興味がないので、だいたい途中でどうでもいいや、みたいになっちゃう)んだけど、どの本もおもしろくて最後まで読めた。
カレン・フェラン / 申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。

- 作者: カレン・フェラン,神崎朗子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2014/03/26
- メディア: 単行本
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既存のコンサルティングの手法をひとつひとつその歴史とともに取り上げて、発想や狙い、効能をひと通り説明したあとで、だいたいそれを導入しようとして問題が発生したといった失敗談でまとめるという構成。自分が経験した失敗談なら自分の話として書いている。
この本は「コンサルティング不要論」のようなタイトルでもあるけど、もちろん著者自身もコンサルタントなので、そういったものではない。むしろコンサルティングの手法が、いかに手段と目的が逆転しやすく、無用の長物になりやすいかということを語っているような本だった。提案を実施することにやっきになり、本来の問題を解決することがおざなりになってしまう。そういった事例が繰り返し述べられる。失敗から学ぶ本といえる。
では、どうすれば手段を手段として利用できるか、あるいは著者はどうしているか? 各章で少しずつ語られているが、おそらく人にフォーカスすることを忘れないこと、と書くとあまりに普通すぎるはなしではあるけど。
関係ないけど、深夜番組の「しくじり先生」が人気だったり、年末に大規模な 失敗力カンファレンス
が開催されていたり、日本でもいま「失敗」をひとつのエンタメ・ストーリーとして取り上げるムーブメントが来てるんだろうか?
デビッド・C・ロバートソン / レゴはなぜ世界で愛され続けているのか ―― 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理

レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理
- 作者: デビッド・C・ロバートソン,ビル・ブリーン,黒輪篤嗣
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2014/05/22
- メディア: 単行本
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近年のレゴ社におけるさまざまな新製品開発のドキュメンタリーで、マインドストームやバイオニクル、アーキテクチャー、ニンジャゴーなどの開発の舞台裏が語られるとなればそりゃ読むでしょというかんじだけど、サブタイトルに「イノベーション」とあるようにちゃんとビジネス書で、著者がいう「イノベーションの7つの真理」を、レゴ社がいかにしてその導入に失敗し、それを挽回したか、というストーリーが描かれる。
ユーザーと会ったり、小売と向き合ったり、社内の人的リソースを正しくマネジメントしたりすれば上手くいったということで、上に上げた本の失敗の話のすごく大きな具体例のようでもあった。登場人物の多すぎる「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」というかんじもある。
個人的に驚いたのは、大好きだった「エクスプロア・ミュージックローラー」が大失敗事例として登場してきたことで、たしかにデュプロの代わりにはならないだろうけど……。
ちきりん / 「自分メディア」はこう作る! ―― 大人気ブログの超戦略的運営記

- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/11/22
- メディア: 単行本
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ブログ運営本だけど、個々の記事の書き方よりはその原則論、あるいはブランディングやメディアマネジメントといった側面を中心に学ぶところを多い本だった。
ビックヒットの記事が出た翌日には、その振り返り(昨日のPVがすごかった話)じゃなくて、もっとがんばってもっともっとおもしろい記事を書け、というくだりは、確かに! というかんじだったけど、まあなかなかおもしろい記事を連発はできないよね……。