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表参道で働くシニアのブログ

ぼくがTumblrについて知っているいくつかのこと

マイクロブログサービス、って書き方も懐かしいけど、Tumblrがとうとうアダルトコンテンツを排除するとかで波紋が広がっている。児童ポルノを排除しきれなくてAppleストアからBANされたことへの対応だという話もあるようだ。

Tumblr、アダルトコンテンツを完全排除へ 12月17日に新ポリシー施行 - ITmedia NEWS

Tumblrは2007年にローンチされてからほぼピボットすることなく、ずっとマイクロブログとしてサービスを提供しており、2006年リリースのTwitterとはほぼ同期という関係になりそうだ。ただ、もっと重要なのは、おそらくFriendFeedというFacebookに買収されて人知れず役目を終えたフィードアグリゲーターが2007年にローンチされていることだろう。

FriendFeed―すばらしいが誰も使わないアプリになる危険あり | TechCrunch Japan

アダルトコンテンツの流通プラットフォームとして認識している人が多いとはいえ、11年前のTumblrはそもそもはアダルトコンテンツのために作られたわけではなく、なかなか新しいコンセプトを引っさげたサービスだったように記憶している。

Tumblrのサービス設計のベースになっているコンセプトには、2つあるようだ。ひとつがtumblelogで、もうひとつがreBlogであり、後者はTumblrの中心的な機能にもなっているのでどういうものかだいたい理解されているだろう。この2つはともに2005年あたりに広まっている。

まず、reBlogについてだけど、これはそもそもEyebeamという団体が開発していたオープンソースのブログプラグインで、いまでもサイトが残っている。

reBlog by Eyebeam R&D

このツールはどうやら一種のフィードアグリゲーターであり、購読しているRSSフィードの中から拡散させる勝ちがあるポストを自分のブログに転載することができるもののようだ。このあたりかなり自信がないので、当時使っていたという人などいたら教えてもらえると嬉しい。

これは実はそのまま現在のTwitterのRTと重なる部分があり、つまりRSSフィードという大河からコレという記事を見つけ出して再掲することは、TLからコレというツイートをRTする行為として現在に生きているということもできる。当時はまだRSSフィードを人間が読むことができた。いまはもうフィードを目視で全部読もうという人も少ないのではないか。そもそも良いツールがなかなかない。

RSSリーダーは“オワコン”なのか? スマホ・SNS時代の情報収集を考える (1/2) - ITmedia NEWS

reBlogの話に戻ると、このツールの開発者にクレジットされているJonah Peretti(ジョナ・ペレッティ)というひとは、米ハフィントンポストの共同創業者であり、それから米バズフィードを立ち上げた人物である。

BuzzFeedジョナ・ペレッティが語った拡散文化の「負」の側面と「僕のヒーロー」 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

つまり、インターネットにおける情報流通について考える中で生まれてきた手法だということが言えそうだ。

もうひとつ、tumblelogについては聞いたこともないという人も多いだろうし、ぼくもちゃんと理解しているかおぼつかないところが多いのだが、ウィキペディアの英語版の「Microblogging」のページを参考に書いていきたい。

まず、この造語を生み出したのは、why the lucky stiffというRubyプログラマーで、2005年4月に自身のブログで「very long and narrow and distracted tumblelog(とても長くて狭くとっ散らかったtumblelog)」と書いている。

RedHanded » Stop, For Blogging's Sake [web archive]

_whyはRubyの普及初期における(感動的な)ガイドブックを書いたことでも知られる。

ホワイの(感動的)Rubyガイド

2005年9月には、デザイナーでブロガーのJason Kottke(ジェイソン・コトキー)が、今でもまだちゃんと読めるブログでよりわかりやすい説明をしている。

Tumblelogs

ここでは「an older style of blogging, back when people did sites by hand(手動で更新されていた古いブログサイト)」を思い起こされると書かれている。ブログはもともと「web log」であり、ウェブサーフィン(懐かしい言葉だ)の記録であり、目についたリンクや画像をなんでも記録していく個人的な貼り雑ぜ帳のようなものだったと考えられるが、2002か2003年ころにブログブームがあってビジネス化していくブロゴスフィアに背を向けるようなムーブメントだったのでないだろうか。

ブログで生計を立てる! あるブロガーの挑戦|WIRED.jp

このtumblelogというコンセプトとreBlogという手法を合体させたのがTumblrであり、これは自分が興味あるものをひたすら記録し再掲・再送するための高速コンテンツアグリゲーターであるといえるだろう。利用者にとって最も興味あるコンテンツがエロだったときには、ひたすらエロ画像を記録し再掲・再送するマッシーンと化すということだけであり、なかにはエロじゃない画像を記録していたひとだっていただろう。たぶん。

さて、それが2007年のローンチ時点の話、その後のtumblrは、コンテンツ流通プラットフォームとしての立場を見つめる中で、そもそも流通するコンテンツを作るひとが重要なのであり、そういったクリエイターを支援し、クリエイターのプラットフォームとして生きていこうということを模索するようになる。それが2010年代の初頭で、イラストレーターや写真家が自身のポートフォリオとしてTumblrを利用するケースも散見されるようになっていたし、ふつうの公式ブログプラットフォームとして利用する人も増えてきていた。

そんな中、創業者のDavid Karp(デイヴィッド・カープ)が来日して、日本でもユーザーと交流するなど健全な発展を目指した動きがあった。

25歳のCEOがTumblrを作った理由 - ITmedia エンタープライズ

しかし、2013年には買収したサービスを塩漬けにする手腕に長けた米Yahoo!に買収されてしまった。

TumblrはFlickrの二の舞になるか、それとも米Yahoo!の救世主になるか | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

それからどうなったのか? Tumblrによる高速コンテンツアグリゲーションがクリエイター支援の場になる時代は訪れたのか? いや、まあまだそれほど来てはないようだ……。

おそらくだけど、代わりにやってきたのはリアルタイムウェブの波だった。これはつまりスマホを持ってレストランにでかけて、いま食ってるハンバーガーの写真なんかをソーシャルサービスにアップしていくということで、早い話が「インスタ映え」の時代が訪れた。

Instagram: 使わなくていいアプリの成功譚

TumblrはWeb上で見かけたものを記録を残していくサイトであり、Instargramは現実世界で見たものを記録していくサイトである。2010年代なかばからリアルがネットに侵攻してくるようになった。それまで仮想空間は現実と別の新世界であったはずが、ネットは単に現実社会と陸続きの日常的な空間に変わってきている。その波にTumblrはうまく乗れなかったのかもしれない。

ただ、これからどうなるかはわからないのであって、もう11年間ほとんどそのインターフェースを変えることなくコンテンツアグリゲーターを提供してきたTumblrだけど、これからちょっとピボットして現実社会を高速にアグリゲーションするようなサービスになるかもしれない。いつかしら「たんぶら映え」などという言葉が流行語大賞を獲得する日がくるのだろうか。

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