in between days

表参道で働くシニアのブログ

全国の美術館・博物館が休館したピークはいつだったのか? そんなこと考えもしなかった2月前半に見た展示とあわせて

2020年3月2月後半に続き、2月前半に見た展示です。さすがに4カ月前になるとかなり記憶もあやふやだ。ちなみにタイトルにある休館のピークは記事末です。

無形にふれる

ポーラ伝統文化振興財団の40周年を記念して、財団の顕彰事業や保存記録作成事業からピックアップした展示。伝統芸能が4つ、伝統工芸が2つ。

ポーラ ミュージアム アネックス|POLA MUSEUM ANNEX 過去の展覧会 詳細

工芸品はやはりそこに実際に「作品」があるので見ていて楽しい。

赤絵細描という技術で、細かな絵付けや彩色のすごさもありつつ、イスラム装飾のような幾何学な模様が美しい。シルクロードの伝来品を思わせるインターナショナルな趣きもある。

九谷赤絵─見附正康 | ポーラ伝統文化振興財団 40周年記念展 無形にふれる

クラウス・ハーパニエミ《 Celebration of Life -星の海の祝祭- 》

銀座SIXの中央吹き抜けで定期的に更新されている空中の三次元的な作品。2019年11月からこの2月まではクジラが舞っていた。

Celebration of Life -星の海の祝祭- について | GINZA SIX | ギンザ シックス

エスカレーターで移動しながら見るとクジラが反転するようにも見えてなお面白かった。


GINZA ART EXHIBITION:岡田杏里 個展「El yo y el Yo」

その銀座SIXで一服しようとスタバのフロアまで登ったところ、隣にある蔦屋書店のイベントスペースGINZA ATRIUMで楽しそうな展示をやっていた。

GINZA ART EXHIBITION:岡田杏里 個展「El yo y el Yo」 銀座 蔦屋書店

時間がなかったこともあってゆっくり見れなかったけど、楽しそうでよかった。

こいういう明るい作品がいきなり目に入ってきたから驚いたのだった。

【イベントレポート】メキシコ拠点の美術家・岡田杏里、大型作品お披露目:個展『El yo y el Yo』オープニング | 銀座 蔦屋書店

DIEGO(ディエゴ) I’m looking at you.

渋谷パルコ 2Fにある「OIL by 美術手帖」での展示。

OIL GALLERY | OIL by 美術手帖 渋谷パルコ

以前に日本橋馬喰町の画廊で見たことがある作家で気になっていたのだった。


見えてくる光景 コレクションの現在地

ブリジストン美術館から生まれ変わったアーティゾン美術館の開館を記念した大規模な収蔵品展。名前からして「ミュージアムタワー京橋」とすごい建物の1階から6階までが美術館で、うち上の3フロアが展示会場となる。3つの展示を同時にできるらしい。

開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」 | アーティゾン美術館

印象派から抽象表現主義まで、千円ちょっとで200作品くらい見れてお得。

何があるとかぜんぜん知らないで行ったので、青木繁《海の幸》をたぶん初めて生で見て「ここにあったんか」ってなった。

関根正二《子供》は福島でやってた関根正二展の目玉だったけれど、鎌倉に巡回してきた同展には出てなくて「ここにあったからか」ってなった。

藤田嗣治

佐伯祐三

草間彌生

壁に世界をみる 吉田穂高展

三鷹市美術ギャラリーには初めて入った。駅前スーパーみたいな施設の最上階にギャラリーがあるのは驚きがある。

【終了】壁に世界をみる―𠮷田穂高展 | 公益財団法人 三鷹市スポーツと文化財団

感想は以前にブログに書いた。

そもそも三鷹に行くのがめちゃくちゃ久しぶりで、駅舎から駅前からすっごくきれいに改装されてて驚いた。

パッション20 今みておきたい工芸の想い

金沢に移る国立近代美術館工芸館で、最後の収蔵品展。国立近代美術館が入館無料ということで、最終日の「窓」展に大行列ができているのを横目に、見てきた。

いま、工芸を見る意味とは何か? 東京国立近代美術館工芸館「パッション20」が提示するもの|美術手帖

近代工芸ってどうにも苦手なんだけど、そういう自分の心情をまさに書き表したのかという文章が、入ってすぐの解説に書かれていた。林忠正(19世紀末のパリで浮世絵を売りまくった画商)による「高岡銅工ニ答フル書」というもので、曰く

  • 精巧かつ手間をかけたものだけがよいと思うのは誤り。装飾過剰は美術からかけ離れる
  • 技術は立派でも肝心の構図が的を外している。図案を軽んじて近視眼的に作ろうとするから、部分的に技術の粋を尽くしてもそれで美しさが増したとは思えない

近代日本画もそうだけど、まったく違った伝統を継承してきた世界が西洋と近代を受け入れるって難しいよなーってあらためておもった。ただ、展示は意外と伝統文化一辺倒でもなく、楽しかった。

荒木高子「砂の聖書」は陶芸作品ということでここにあるんだろうけど、東京都現代美術館にも現代美術として所蔵されている。工芸というと保守的で、現代美術というと前衛的なイメージだが、ひとつのものでもいろいろな見方がある。

松井康成(人間国宝)の練上嘯裂文壺。

なんか亀裂あったりするものの写真ばっかり撮ってた。これは八木一夫。

1910年に近衛師団司令部庁舎として建設された建物自体が美しい。重要文化財。

室内。

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手袋だが爪がある #20passions

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ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年

日本・ハンガリー外交関係開設150周年を記念した展示で、ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーの所蔵作品から130点が来日し、コロナで国立新美術館が休館になるまで展示された。

ヨーロッパとハンガリーの美術400年|国立新美術館

前半はルネサンスから18世紀にかけてヨーロッパ絵画の名品。クラーナハ、ティツィアーノ、エル・グレコなど。ヤン・ステーン《田舎の結婚式》がオランダの農村絵画らしい風刺が効いていてよかった。後半は、印象派の絵画と同時期にハンガリーで起きた自然主義などの絵画を紹介。

ルネサンスから20世紀初頭までの作品が一堂に。「ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年」が開幕|美術手帖

"き(Ki)" by Kentaro Minoura

日本橋馬喰町のギャラリーPARCELで、箕浦健太郎@minourakentaroの作品展。

solo exhibition "き(Ki)" by Kentaro Minoura | PARCEL | Artsy

輪郭のぼやけた人のような風体の肖像画といっていいのだろうか。いろんな人がいて楽しかった。

目がかわいい。

休館のピークはいつだったのか?

ということで緊急事態宣言前に見た展示のまとめは終わります。2月と3月でずいぶん雰囲気も違うし、展示の数にも違いが大きい。2月末にバタバタっと休館が決まった印象があったので、実際にはどうだったのか簡単に数えてみた。

新型コロナウイルス特集 美術館・博物館・ミュージアムの休館・再開情報

全国1,200以上の施設について休館・再開の情報を掲載しているインターネットミュージアムのページで、2月末前後の休館開始の日付を文字列検索してみたところこういう結果になった。

日付 休館
2月27日(木) 19
2月28日(金) 66
2月29日(土) 191
3月1日(日) 21
3月2日(月) 120
3月3日(火) 60
3月4日(水) 32
3月5日(木) 23
3月6日(金) 17

27日から29日かけて国立の博物館や美術館が休館になっていて、それにならって金曜までに動けた館がその週末の土曜日から、そうでないところが翌週から休みにしたところが多いようだった。

ちなみに再開は6月1日に127館、2日が156館でピーク。すでに850近い施設が再開済みだそうなので、また美術展を見に行ったら記事をアップしようとおもいます。