「小心者の杖日記」によると小沢健二が新公式サイトを開設したとのことです。
ということでこのサイト名からしてニューアルバムのサポートサイト、というより季刊「子どもと昔話」に連載中の童話「うさぎ!」の第一回(第25号に掲載)が貼られていて*1、ニューアルバムとこの童話を関連付けて読んで欲しいという小沢の意図がうかがえます。
Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学
- アーティスト: 小沢健二
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2006/03/08
- メディア: CD
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- 作者: 小沢昔ばなし研究所
- 出版社/メーカー: 小沢昔ばなし研究所
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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いま「うさぎ!」の連載は第2回まで進んでいますが、そこまで読んだかぎりは童話というよりはかなり政治的なメッセージの強い寓話であり、というよりも小沢健二がいま思っていること/考えていることを登場人物を口/筆を借りてそのまま語っているような感じがします。
第2回では巻末に参考資料としてテキストがいくつか挙げられています。一覧にまとめてみました。
いなせな男
- 作者: Edward L. Bernays,Mark Crispin Miller
- 出版社/メーカー: Ig Pub
- 発売日: 2004/09/15
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大きな企業とファシズム
- 作者: Robert Brady
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2001/05/15
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もう古いの計画
Planned Obsolescence (Harwrd Bussiness Review vol.37, 1959)
「Planned Obsolescence」というマーケティング用語そのものについてはWikipediaなど参照
日本語では「計画的陳腐化政策」というらしい。
考えをあやつる、など
Necessary Illusions: Thought Control in Democratic Societies
- 作者: Noam Chomsky
- 出版社/メーカー: South End Pr
- 発売日: 1989/06/01
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投票の歴史、など
If You Love This Planet: A Plan to Heal the Earth
- 作者: Helen Caldicott
- 出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc
- 発売日: 1992/03/01
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剛ケツ
Understanding the Venezuelan Revolution: Hugo Chavez Talks to Marta Harnecker
- 作者: Hugo Chavez,Marta Harnecker
- 出版社/メーカー: Monthly Review Press
- 発売日: 2005/11/01
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ベネズエラのチャべス大統領の発言集としては日本語で出ているものもあります。
ベネズエラ革命―ウーゴ・チャベス大統領の戦い ウーゴ・チャベス演説集
- 作者: 伊高浩昭
- 出版社/メーカー: VIENT
- 発売日: 2004/01/01
- メディア: 単行本
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土地の食べ物、飢えている農民、など
以上の7つで参考文献は終わりです。
まとめにかえて ―― リベラル・レフトとしての小沢健二
以前このリストをmixiの日記にmemo的に貼ったところ、あるひとに「マシュー・ハーバートっぽい」と指摘されました。思想的には「レフトリベラル」だそうです。
- アーティスト: Herbert
- 出版社/メーカー: Accidental
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: CD
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ということで現在のオザケンの政治的な立ち位置は「チョムスキー賛同、チャベス支持、反ブッシュ、レフトリベラル」というところのようです。それはいま現在この時点でニューヨークに住んでいる芸術家の政治姿勢としては普通のスタンスなのかもしれませんが、十年以上前に彼がどんな人でどんな発言をしていたかを振り返ってみたとき、今回のニューアルバムのサウンド(素晴らしいアルバムでとても気に入ってますが)の変化とあいまって、とても遠くまで来たのだなあという感を新たにしました。
音楽を作り始めた頃はナイーブな部分もあって大人しい感じから入ったけど、今はそのナイーブさも取り除けたからかな。今の世の中がどれだけ危ない状況かっていう、その怒りが表に出てきてたんだろうね。
タイトルの元ネタとおぼしき本、およびその著者について
上記の公式サイトのドメイン名にもなっている小沢健二のニューアルバム「Ecology of Everyday Life」ですが、それと同タイトルの書籍(洋書)が実はあります。
Ecology of Everyday Life: Rethinking the Desire for Nature
- 作者: Chaia Heller
- 出版社/メーカー: Black Rose Books Ltd
- 発売日: 1999/04/15
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オザケンをこの書籍と関連付けているひとはあまり見かけないのですが、いでたさんのダイアリーではさらにある思想とむすび付けられて紹介されていました。
3はSocial Ecology関係のChaia Hellerの著書と同じタイトルだなー。
id:lovenf:20060227:p6
この「ソーシャル・エコロジー」という思想は、用語解説的には次のような考え方です。
マルクス主義など反資本主義の流れを汲み、資本主義体制下においての環境問題の解決は不可能であり、政治・経済システムをエコロジー的に変革してはじめて可能になるという考え方。
ソーシャル・エコロジーは、人間の社会的関係性を重視し、人間の支配によって生じた環境問題を解決するためには、人間の他の人間に対する支配を取り除く必要があるとした。自然に対する人間の態度には、人間の人間に対する態度が反映されているという。
ジャイムズ・オコンスナーの社会主義的なものや、アナキズム的なマレイ・ブクチンが代表的である。
また著者へのインタビューが「アナーキスト学習」というすごいドメインのサイトにあります。
Chaia Heller is one of the most exciting feminist and utopian intellectuals currently writing in English.
Ecology, Desire and Revolution: An Interview with Chaia Heller
またバイオグラフィがこちらにあります。
ほんとうにこの書籍名からの引用なのかどうかはわかりませんが、先の「うさぎ!」を読むかぎりアナーキズムの影響下にあるエコロジー思想というのはあながち無関係ではないかもしれません。
*1:画像じゃなくってせめてPDFにしてほしかったなあ