国立東京博物館で年初恒例の企画「博物館に初もうで」に行ってきました。人たくさんでしたが、3日の日曜日というピークタイムすぎる日程を考えれば空いていたほうなのかもしれない。
目玉は、毎年この企画で公開される長谷川等伯「松林図屏風」(国宝)。そして今年は葛飾北斎の作品が浮世絵を中心にたくさん展示されていて、冨嶽三十六景からも「凱風快晴」「山下白雨」「神奈川沖浪裏」の三役揃い踏みとのこと。しかし、浮世絵はそもそも手に取ってみる前提の刷り物なので1枚1枚さほど大きくない。壁にずらっと並んでいて、人がひときわ押し寄せているところにその三役がそろって並んでいて、とてもじゃないけど近くでゆっくり見るというわけにはなかなかいかない。順路にしたがって右からアプローチし、おおなるほどこれか! とおもったところで赤富士がさらに全体真っ赤に染まった!???
コンパクトカメラのオートフォーカスの補助光でした……。
この企画、ほとんどの作品が撮影OKなので、浮世絵を1枚1枚たんねんに撮影していくおじさんおばさんがたくさんいて、まあカシャカシャ音がするのはいいとして、ガラケーのピロリロリーンと最近ほとんど耳にしない写メの撮影音が隣で鳴り響くのもいいとして、オートフォーカスの補助光はやっちゃいけないやつなんじゃないんすかね、とおもいました。
そういうおじさんおばさんは富士山を見ればもう納得なのかそこから左の浮世絵を見てるひとあまりいなかったけど、諸国滝廻り「木曽路ノ奥阿弥陀ケ滝」がありましたよ。構図おもしろい。
ビックリしたのは、その先にあった晩年に古河の妙光寺という日蓮宗のお寺に描いたという「七面大明神応現図」がすごかった。これだけ撮影禁止だったので画像検索でもしてもらえるとよいかとおもうんだけど、立ち止まる人が口々に「現代作家かとおもった」というような現代的な作風で、僕も最初は北斎へのオマージュ作品かとおもったら170年前の作品であった。おそらく、日本絵画にはめずらしく顔などに陰影があって立体感がある。西洋絵画よりはフラットであるけど、スーパーにではないのではないか……とおもった。
そのあと「松林図屏風」を見た。茫洋としていてよくわからない。よくわからないなりにずっと見ていると閉館時間になり、部屋から人がだんだんいなくなって視野が開けたとたんに「これはすごい」とよくわからないなりに腑に落ちた気持ちになって、そういえば去年も同じ気持で見たようなきがしてきた。
今年見たなかでいちばんよかったのはこれでした。飛鳥時代の木の菩薩像。ありがたさある。
松林図屏風はたしか17日までで、常設展の620円だけで見れるから早いうちに行くのがよさそう。
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