in between days

表参道で働くシニアのブログ

2016年に一番いってよかった展示は、静岡県立美術館「徳川の平和(パクス・トクガワーナ)」の伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」

2017年も2月にはいってから2016年のふりかえり記事を投稿するというのもどうかとおもうけど、書こう書こうとおもってたことなので書いておくのだけれど、言いたいことはけっこうシンプルで、静岡県立美術館は新幹線が停まるような駅からちょっと遠いけど、機会があれば「樹花鳥獣図屏風」を見に行くときっとおもしろいとおもう(毎年、ゴールデンウィークに特別展示してるきがするけど今年はどうだろう)

2016年に鑑賞した主な展覧会の半券

日曜美術館の正月特別番組「ゆく美 くる美」がおもしろかった。

fujipon.hatenablog.com

fujiponさんも書いてるけど「2016年の美術展・観客動員数ランキング」がかなり興味深くて、ぼくはそもそも絵があまり得意ではないほうで、美術館に行ったりってことはそんなになかったんだけど、有名な作品が来たときとかにミーハーに行ってみたりしてたところ、美術館での過ごし方がだんだん自分なりにわかってきて、映画とかコンサートと違って、自分で順番もタイミングに勝手にできるところが性に合ってるのか、ここのところ年に何回か行くようになってきた。

それでこのランキングを見ると、やっぱりみんなが行くような大きな展示はいっぱい宣伝されていて自分のアンテナにも入ってくるので出かけるってかんじで、ランキングの上位のうち、ルノワール展、若冲展、カラヴァッジョ展は見にいっている。

美術出版社のサイトでも似たようなランキングが出ていて、ちょっと順番は違っているけど、載ってる展示はだいたい似ている。

bitecho.me

モネ展は東京は一昨年だったとおもうけど見にいった。おもしろかった。五百羅漢、国芳・国貞も見てる。ゴッホ・ゴーギャン、ポンピドゥー・センターあたりは行こうとおもってて行けなかったのを思い出した。なんかミーハーで笑っちゃうけど、主だったものをみるだけでもずいぶん見るべきものあるんだなあというきがする。あと半跏思惟像も2016年だったかな。

そんななかで、実は自分がいちばんおもしろいとおもったのは、静岡県立美術館で秋にあった開館30周年記念展「徳川の平和(パクス・トクガワーナ)」で、実は前期展示に出てた伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」をピンポイントで目当てで静岡まで行ったんだけど、実によかった。

spmoa.shizuoka.shizuoka.jp

「樹花鳥獣図屏風」といえば、若冲展でも来日してたプライスコレクション「鳥獣花木図屏風」との関係でよく語られるけど、国外にあってたまにしか見れない「鳥獣花木図屏風」はだいたい大混雑のなかをちら見するみたいな経験しかなくて、あまりよい印象がなかった。

「鳥獣花木図屏風」と「樹花鳥獣図屏風」がMIHO MUSEUMで共演中! | 弐代目・青い日記帳

静岡県立美術館の展示は来場者もほどほどでゆっくりと見れたけど、静岡まで行くのに時間がかかって入館が遅くなったので、展示全体はゆっくり見て回ることができなかったのが残念。それこそ狩野探幽から葛飾北斎まで、徳川秀忠が詞書した源氏物語にはじまって徳川慶喜の油絵で終わるという「徳川の平和」がもたらした美術の一大絵巻と歴史をひとところに押し込めた壮大な展示だったという印象なんだけど、そのなかにあって「樹花鳥獣図屏風」だけが異様なくらいの異彩をはなっていたのがものすごく印象的だった。

若冲展などにいくと若冲の作品しか並んでいないのでどんな極彩色の絵画でも違和感なく楽しめるけど、同時代のほかの国内作家の作品群のなかに一点だけ置いてみると、それこそ紅一点というか、ひとりだけかくじつに頭のおかしいひとがいたとしかおもえないかんじで、そもそも絵の題材が意味わからない。こんな幻想的な、パラダイスみたいな風景を書いてる人、徳川時代の日本国内にほかにいないのではないか。いちばん近い世界観を上げろというなら、アンリ・ルソーが描くジャングルとかになっちゃうのじゃないか。

という気持ちがあっておもしろかったので、また機会があったら見たいなあとおもったのでした。

とはいえ、静岡県立美術館って県立美術館っていうから静岡城公園とかそういう場所にあるのかとおもったら、静岡駅からバスで30分とかで、それはつらいから鉄道で近くの駅まで行ってもけっきょくバスかタクシーみたいなところにあって、静鉄に乗りたかったからいいんだけど、アクセス的には県外客向けにかなり損をしてるようなきがした。車で観光するひとが多いならいいのかもしれない。