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表参道で働くシニアのブログ

東京リボーンは「工事現場と土木機械」を見るには最高の番組なんじゃなかろうか

NHKスペシャルで東京リボーンというシリーズをやってる。

東京リボーン第1集 ベイエリア未来都市への挑戦
東京リボーン第2集 巨大地下迷宮

いまさらAKIRAを持ち出したのはいいけれど、それが番組の内容とリンクして深まっているかというと皮肉なコメントを残しつつバイクで走り去ってくだけで、もうちょっと健康優良不良少年っぷりを見せてくれてもいいのではないか、というかマジできびしくて見なかったという知り合いも何人かいたけれど、そのくだりに目をつぶって本編の内容だけ見れば、これは工事現場を見せる番組として最高なのではないかとおもった。

12月の第1回でもそういう傾向があったけど、先日(2月10日)に放送された第2回でもうこれは確実に、東京もリボーンもどうでもよくて「工事の現場と機械」を見せる土木の番組だと確信した。

実態を把握し切れない東京の地下はどうなっている? NHKスペシャル シリーズ「東京リボーン」第2集 |NHK_PR|NHKオンライン

第2回では、日本最初の地下鉄である銀座線は、浅草から夜中に市電の線路を外して掘って掘って掘って朝になったらフタして線路をはめるってのを繰り返して作ったのだ、という割とよく聞く話からその手掘りの苦労を解消するためシールドマシンが導入され、いまや大型化するだけでなくとても小型のものまであってそれを操作するこのひとの職人技を見よ! みたいな構成でシールドマシンについて延々と20分くらいやったあげく、新しく日比谷線に作ってる駅では地下に埋設されてるいろいろな管を避けながら掘らないといけないから最初はひたすら手掘りしていました、というまさかの先祖返りを見せるという構成でおもしろかった。

実際に公式もこうツイートしていて、これは自他ともに認めるシールドマシン回だったといえるだろう。

2020年でオリンピックで東京であれば何でもいいのか?

東京リボーンでAKIRAを起用した理由であるとか、番組のコンセプトというものはいちおう明確にあるけどれ、どうもこういった能書きはジオングの足のようなものではないかという気がしている。

NHKが『AKIRA』を起用した理由とは? 東京再開発のドキュメンタリー『東京リボーン』の裏側に迫る |MAGAZINE | 美術手帖

たとえば、同じHNKの「ブラタモリ」という番組は、公式サイトによると「タモリさんがブラブラ歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る」とされているけれど、番組のファンにとっては、街の歴史はともかくブラブラも人々の暮らしもすっかり形骸化しており、実際のところ地質地政学の番組として見ているはずだ。

ブラタモリ - NHK

たとえば、今年の大河ドラマはオリンピックがテーマであり、普通に考えたら日本がいかにオリンピックに国家としての威信をかけてきたかという2020年に向けた国威発揚ドラマのはずなのだが、実際に目にするのは宮藤官九郎が脚本で、音楽が大友良英で、ビートたけしが古今亭志ん生を演じるドラマなわけで、日本のサブカル集大成感が半端ない。

NHK大河ドラマ『いだてん 〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』

最近のNHKの番組はこんなふうにコンセプトが初手から崩壊しているような印象すらあり、ひょっとして2020年で東京でオリンピックでインバウンドって建前があればけっこう何でもできるんじゃないだろうか。

BSプレミアムで「江戸あばんぎゃるど」という頭を抱えたくなるようなタイトルのシリーズをやっているが、これにもそういう残り香がある。

江戸あばんぎゃるど 第一回「アメリカ人が愛した日本美術」 - NHK
江戸あばんぎゃるど 第二回「ガラスを脱いだ日本美術」 - NHK

なんとなく「外国人が日本文化を素晴らしいと称賛している」という「ニッポンスゴイ」系の企画書だったのではないのかなーという雰囲気はありつつ、実際のところただただ海外流出した近世の日本絵画が見たいという欲望を忠実に徹底した素晴らしい番組だった。そもそも俵屋宗達は「江戸」じゃないしね。

こういうNHKの現状については、厳しく「いいぞ、もっとやれ」と苦言を呈しておきたいとおもいます。

なお、東京リボーン第2回で一般視聴者の感動を呼んだというのシールドマシンについては歯が付いた掘れる状態で埋められているわけではないはずで、こういうツイートもあったことを付記しておきます。

AKIRA(1) (KCデラックス)

AKIRA(1) (KCデラックス)

ブラタモリ 13 京都(清水寺・祇園) 黒部ダム 立山

ブラタモリ 13 京都(清水寺・祇園) 黒部ダム 立山