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表参道で働くシニアのブログ

2019年12月には「非常にはっきりとわからない」ものを見ました

12月は忙しくて7現場。その中で「非常にはっきりとわからない」展に行けたのはよかった。

ふだん何かを体験したときに「何がわかったか?」を考えることはよくあるが、この展示ばかりは「何がわからないのか?」について考え、そもそも「わからない」とは何か? みたいなふだん使わない思考に陥っていく感覚が、うまくハマると味わえる。そういう展示だったようにおもう。

羽化する渋谷 渋谷駅135年の時系列模型から見る2020年(昭和女子大学 光葉博物館)

DPZの記事で話題になってた展示。この記事で知ってなんとか会期内に見てきた。2012年の模型を鉢山にあたるあたりから眺めたときの鶴翼っぷりはホントすごかった。

あとはやはり谷地であることによる多段構造でダンジョンみが増していることが実感できる

秋の特別展「羽化する渋谷 ―渋谷駅135年の時系列模型から見る2020年」 – 光葉博物館

ラスト・ウキヨエ(太田記念美術館)

後期展。原宿の真ん中にあるのでつ行っても外国人観光客も多くて混んでるイメージあるけど、日曜の夕方だとけっこう空いてるということがわかった。

ゴシック写本の小宇宙 文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵(国立西洋美術館 版画素描展示室)

中世の彩飾写本のコレクション展。これはちょっと新しい世界というか、見どころを見つけられないまま閉館になって出てきてしまいちょっと残念だった。本のことを何もわかっちゃなかった。

内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙|国立西洋美術館

舘鼻則孝「It's always the others who die」(ポーラ ミュージアム アネックス)

卒業制作の「ヒールレスシューズ」からレディー・ガガのデザイナーになった作家による個展。

かっこいい

ポーラ ミュージアム アネックス|POLA MUSEUM ANNEX 過去の展覧会 詳細

非常にはっきりとわからない(千葉市美術館)

今年行った中で最大の問題作。

千葉県市原市の養老川沿いにある地球の磁気が逆転している時期の地層からの発想とのことで、千葉市美術館の2つの展示フロアを地層に見立て、しばらくすると逆転するという構造だったようだ。

この美術館のあのフロア構成だからこそ成立する展示だろう。そこにまず拍手。7階と8階のどちらにいるのかわからなくなり、エレベーターでボタンを押し間違えてからが本番。常設展示という設定だろう部屋にあった応挙の落款入りの日本画はどちらかは本物だったのだろうか?

「目 非常にはっきりとわからない」について「スケーパー × 目 méが対談」

ナイトミュージアムで入館して閉館までいて帰ろうとしたとき、近くにいた女性二人組が「最後に寝てるひとを見て帰ろう」と言ってたので、そんな作品あったっけ? とおもいながら付いていったら、ほんとにイントレの上に寝てるひとがいた。思わず「あの人、さっきからいました?」って聞いたら「気づいたの途中だけど、それからずっといました」ってさ。自分はいったい何を見ていたのか? となって帰ってきた。ほんとうに、これほどはっきりと「わからない」を体験することも人生にそうないだろう。

千葉市美術館

ミュシャ展(そごう美術館)

ミュシャの人生に沿った展示で面白かった。それはともかく今年はサラ・ベルナールの《ジスモンダ》を何回も見たなあ。やはり《メディア》がかっこいい。お話は怖いらしい。

ミュシャ展〜運命の女たち〜

印象派からその先へ 世界に誇る 吉野石膏コレクション展(三菱一号館美術館)

日本人は印象派がすごく好きで、それは自分もそうなのだけど中世以前の絵画を鑑賞するために必要な宗教的な知識などのコードが不要だからというのもあるのだろう。2019年最後の現場として、日本の代表的な印象派のコレクションのひとつ、吉野石膏コレクション(山形美術館寄託)を見てきた。

ヴラマンク《大きな花瓶の花》やユトリロ《モンマルトルのミュレ通り》が良かったけれど、やはり最後はモネだなということで、いちばん広い展示スペースで《サン=ジェルマンの森の中で》《テムズ河のチャリング・クロス橋》《睡蓮》と、並びにあるマネ《イザベル・ルモニエ嬢の肖像》を代わる代わる閉館まで見ていた。

印象派からその先へ ― 世界に誇る吉野石膏コレクション|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

ということで振り返りが年を越してしまいました。あけましておめでとうございます。2020年もよろしくお願いいたします。