いま伊藤整というひとの『改訂 文学入門 (講談社文芸文庫)』という本を読んでいるんですけども、その173ページで「白樺派」についてこんなことが書いてあったので、ピーンと来た。
この人たちの特色の一つは、理屈を述べ合って人生問題、父と子や恋人の間や友人の間のことを判断しようという気風である。その積極性と論理性とは、自然主義系統の私小説作家たちの持たないものであった。
「この人たち」というのはもちろん白樺派の人たち――武者小路実篤とか志賀直哉とか有島武郎とか……――のことであるけれど、いま局所的に話題のインターネット原理主義者である「ネット・モヒカン族」の特色としてそのまま通用すると思った。すなわちただただし氏はネット界の有島武郎であるとか、yomoyomo氏はネット界の武者小路実篤であるというように論を展開してもよいかもしれないと思ったが、あまり賛同を得られなさそうな思いつきであるゆえ、このあたりで筆を収めておく。
なお、この節はこのような文章で締めくくられているのだが、これまた昨今のネットの状況を鑑みるに趣深いものがあると思った。
しかしまた、一面では、日本の社会の大部分の人たちが、そのような理屈を言って通るような環境には生きていなかったのであるから、この人たちの考えは、実社会にそのまま通るものということはできなかった。