短かった平成31年の参戦現場を振り返るシリーズ、3月。世界遺産の建築で始まりつつも、日本画・江戸絵画が多めの春でした。
- ル・コルビュジエ 絵画から建築へ ピュリスムの時代(国立近代美術館)
- 写真の起源 英国(東京都写真美術館)
- 新北斎展〈前期A・B、後期A・B〉(森アーツセンターギャラリー)
- 柳宗悦の「直観」 美を見いだす力(日本民藝館)
- 小原古邨〈後期〉(太田記念美術館)
- 河鍋暁斎 その手に描けぬものなし〈前期・後期〉(サントリー美術館)
- 石川直樹 この星の光の地図を写す(東京オペラシティ アートギャラリー)
- 奇想の系譜展〈前期・後期〉(東京都美術館)
- 関連記事
ル・コルビュジエ 絵画から建築へ ピュリスムの時代(国立近代美術館)
見に行ったのが日曜日で、とはいえ雨だったのでそれなりに空いてるだろうと思いきや、チケット売り場にちょっとした列ができてて、日本人はほんとにコルビジエ好きだなあとおもった。人のこと言えないけど。
ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代 | 世界遺産 国立西洋美術館開館60周年記念
会場内は、思ってたより前衛絵画だらけで「なるほどわからん」というかんじだった。どんな展示だったか知りたい人は、アイドルのブログを読んだほうがよい。
ル・コルビュジエ | アンジュルム 和田彩花オフィシャルブログ「あや著」Powered by Ameba
あとから出品作品リストを見るに、絵画としての見ものはフェルナン・レジェなどキュビズムの作品だったのかもしれない。ピカソの《静物》がよかった。
あわせて常設展。ふだんは常設に使ってる本館でコルビジェ展をやってるので、なぜなら本館がコルビジェのデザインだからなんだけど、常設展は新館のみの半分になってた。さらに「林忠正」展。
▼ 林忠正―ジャポニスムを支えたパリの美術商|過去の展覧会|国立西洋美術館
浮世絵をさんざんヨーロッパに流出させた代わりにリアルタイムで印象派の作品を集めまくるも、日本では印象派が同時的にまったく理解されておらず、せっかくのコレクションが散逸したというエピソードが、まるで絵に書いたように国外で成功した自国民に冷たいやつだな。
林忠正―浮世絵を越えて日本美術のすべてを (ミネルヴァ日本評伝選)
- 作者: 木々康子
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
ところでコルビジェじゃなくてコルビジエなんですね(ピザじゃなくてピッツァです的に)。
- 作者: フランシーヌブッシェ,ミッシェルコーアン,ミッシェルラビ,Francine Bouchet,Mich`ele Cohen,Michel Raby,小野塚昭三郎
- 出版社/メーカー: 現代企画室
- 発売日: 2017/10/16
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
写真の起源 英国(東京都写真美術館)
黎明期の写真というと銀板写真というイメージだったのだけど、あまり間をおかず現在のネガ・ポジ方式の元祖となる技術がイギリスで開発されていた、ということを初めて知って有意義な展示だった。19世紀後半の英国の建物の美麗な写真などがよかった。
- 作者: ウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボット,マイケルグレイ,青山勝,畠山直哉,ヘンリー・F トルボット,金井直,ジュゼッペペノーネ
- 出版社/メーカー: 赤々舎
- 発売日: 2016/02/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (9件) を見る
新北斎展〈前期A・B、後期A・B〉(森アーツセンターギャラリー)
1月から3月にかけて展示替えのたびに見に行ったので計4回。500点近い展示のうち初回だけ展示だったものは見逃したあったきがするけれど、あとはほとんどを見た。
見たからといってどういうこともないのだけれど、何度も何度もイノベイトし直していく北斎という人物の底知れない凄さの片鱗を味わえたのは良かったなとおもう。最終室の晩年の肉筆画が見ものではあったけど、鳥羽絵集のくそふざけた絵がほんとに最高だった。
感想はあとに紹介するエントリーでも書いている。
- 作者: 永田生慈
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2011/06/01
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
柳宗悦の「直観」 美を見いだす力(日本民藝館)
日本民芸館に初めて入った。キャプションがないとよくわからないということがわかった。
- 作者: 柳宗悦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/08
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
小原古邨〈後期〉(太田記念美術館)
小原古邨は2018年に再評価のきっかけとなった茅ヶ崎美術館での展示があり、今回はは出ている作品が違うらしい。茅ヶ崎ので期待したほどではなかったという記憶があったんだけど、チラシか何かをやたらぱキレイだなあとおもったので後期のみ。ただし、やはり図録やチラシで見るより本物は圧倒的によいなあ……という感慨には至らず、なんでなんだろう。
▼ 小原古邨 | 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art
渡辺省亭や柴田是真、そしてこの人などが海外のほうがより人気で、近年になって逆輸入のような形で日本での話題になっているのは、近代日本画のお約束というか革新性、西洋絵画の咀嚼などをあまり意図せず、ただ単純に「キレイな絵」だと感想を抱かれるからということはあるのかなあ、とおもったりしている。
- 作者: 浮世絵太田記念美術館=,日野原健司,太田記念美術館
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2019/02/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
石川直樹 この星の光の地図を写す(東京オペラシティ アートギャラリー)
山岳写真などにそれほど興味があるわけではなく、とおもっていて最終日にようやく行ったんじゃなかっただろうか。行ってよかった。
▼ 石川直樹 この星の光の地図を写す|東京オペラシティアートギャラリー
- 作者: 石川直樹
- 出版社/メーカー: リトル・モア
- 発売日: 2019/01/29
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 石川直樹
- 出版社/メーカー: リトル・モア
- 発売日: 2019/01/29
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
および常設展示で「木版画の魅力」「大和美緒」展。
奇想の系譜展〈前期・後期〉(東京都美術館)
この春の展示のメインエベント。感想はこちらで。このときは前期のみだったけれど、後期ももちろんよかった。
ところで、美術展で「これならオレでも書けるよ」って言ってる人、ネタとしてはよく聞くけど、ほんとに言ってる人をリアルに初めて見たので感動した。白隠の書「南無地獄大菩薩」の前にて。
- 作者: 辻惟雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2019/02/04
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログを見る