読売新聞の「美術館女子」って企画が一部で話題になっていて、話題といっても批判的な取り上げられ方だけど、実際の記事はAKB48のチーム8に所属する小栗有以さん(東京都出身)が、深川の東京都現代美術館の展示室でグラビア撮影されつつ作品の感想を語るという企画でした。
それでツイッターを見てると「美術館でアイドルなら、元アンジュルムの和田彩花(あやちょ)なのでは?」というようなツイートもあって、たしかにエドゥアール・マネ好きが高じて大学院で美術史を学んだ経歴からして適任ですね。アート仕事かなりしているし。
和田彩花の「アートに夢中!」(第39回)【番外編】大好きな美術館。行ってみたい美術館(国内編) - ぴあ
その上で「あやちょなら作品をちゃんと解説してくれそう」とか「むしろ、断るんじゃないか?」といった意見もあったりして、たしかにあやちょなら仕事をうけて、ふつうにグラビア撮影もして、感想を語る段になって「美術館女子っていうのは私はおかしいと思うんですよ」と素でダメ出ししそうだなとおもいました。
そんな和田彩花さんも東京都現代美術館を訪れていました
そんな中、その和田彩花さんが騒動を知ってか知らずか、たまたま観覧してきた展覧会のレポートをツイッターに上げていて、それがまさに東京都現代美術館の企画展だったのがあまりにおもしろすぎる偶然でした。
先日、東京都現代美術館で行われている「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」という展覧会に行ってきました。作品をつくる際の材料、会場までの運送、展示方法など、美術にまつわるあらゆる点で環境と向き合う姿勢が見受けられました。#オラファー・エリアソン pic.twitter.com/pHzLZnApv1
— 和田彩花 (@ayakawada) June 14, 2020
美術館に行くことが日常にある私ですが、美術にまつわる環境問題についてこれまで全然考えてこなかったと反省しました。また、美術に限らず、自分の生活における環境への見直しが足りていないとも感じました。
— 和田彩花 (@ayakawada) June 14, 2020
私たちの社会問題と自分の接点をいつも見出させてくれる現代美術は本当に素敵です。 pic.twitter.com/LUmpMbUQoF
生活や環境にも言及した感想はさすがあやちょですね。
作品は、光(照明?ライト?)やガラスを多用し、そこにゆっくりとした動きを伴うものもありました。そのため、煌びやかな雰囲気を感じられるかと思います。ですが、作品の光や動きがソーラーエネルギーによって生み出されていることを知ると、自分と環境の距離がぐっと近くなったように感じました。 pic.twitter.com/A5YGtab1uB
— 和田彩花 (@ayakawada) June 14, 2020
それから、参加型の作品も多く、これまで体験したことのない装置や空間に驚きました。自分の動きに作品が反応したり、変化していく様子を体感することで、アクションを起こす意味をここで伝えたいのかもしれないな、なんて想像が進みました。これが美術や作品の力だと感じました。あー美術が好きです。 pic.twitter.com/6M45Rtu4eE
— 和田彩花 (@ayakawada) June 14, 2020
以上、美術が大好きな人間による「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展の感想でした。私はこんな感想を持ちましたが、作品の感想って本当に人それぞれですね。この展覧会に行かれた方がいましたら、ぜひ感想を返信してください^ ^様々な感想を聞きたいです! pic.twitter.com/1oMqhtfR3U
— 和田彩花 (@ayakawada) June 14, 2020
この「美術が大好きな人間」というのいいですね。とくに「大好き」というところに思いがこもっているようなきがします。
「#オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」
— 和田彩花 (@ayakawada) June 14, 2020
東京都現代美術館で9月27日(日)まで開催しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://t.co/iZEM5OQN65
「重要なお知らせ」なども出ていますので、展覧会に行かれる前にぜひ確認してください。 pic.twitter.com/CDYx1RQqqV
このカラフルな「オラファー・エリアソン」展の詳細はこちら。
オラファー・エリアソン ときに川は橋となる | 東京都現代美術館
この夏から秋にかけて東京都内で見れる展示としては、国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」や国立近代美術館の「ピーター・ドイグ展」と並ぶ注目の美術展なのではないでしょうか。どれもまだ見てないので早めに行きたいなとおもっています。
一方、小栗さんが見たのはもうちょっと地味な、所蔵品による企画展とコレクション展ですね。
実は「ボストン美術館展」とコラボしたかったのではないか説
ところで小栗さんの撮影ですが、いかにもな現代美術の前でポーズを取らされて、どうも相性がよくなさそうです。実は「ドローイングの可能性」展は、再開したけど1カ月かそこらで終了する美術展まとめを書いたときにもう見に行ってて、興味深い展示でしたけど、グラビア撮影にはかなりミスマッチ感あるようにおもいました。
それで考えたんですけど、本来なら同じ東京都の施設である東京都美術館で撮影するものだったんじゃないでしょうか。だって「ボストン美術館展」という大規模な展覧会をやってたはずですし、主催が日本テレビですから番宣の座組みとしてもバッチリなわけです。
こういうブロックバスターな展示になると美術がとくに大好きじゃなくても見に来ますから、例えば出品されるはずだったエメラルドのブローチとの組み合わせなら、きっとかなり絵になってたんではないかとおもうんですよね。
本展には女性達を彩ったジュエリーも出品されます。なかでも目を引くのは、大粒のエメラルドが施されたブローチ。世界で最も裕福な女性の一人とされたマージョリー・メリウェザー・ポスト(1887-1973)が所蔵していたものです
https://www.ntv.co.jp/boston2020/highlight/
しかし、ボストン美術館展は、アメリカが世界ナンバーワンの新型コロナウィルス感染状況なので物流が止まってしまい、ボストンから作品が届かないので中止になりました。
そのため同じ東京都で代わりを急に探した結果、東京都現代美術館で収蔵品のみになったのではないか、そうだとするならコロナウィルの感染拡大によってアイドルのグラビアが事故ってしまったということになり、これがバタフライ効果ってやつなのかもしれません。知らんけど。
チーム8が全国で地元の美術館を巡る企画はどうなるのだろう
ところで美術館ならたくさんあるのに、なぜ東京都の美術館だったのか。あまり気にしている人はいないようですけど、それは「チーム8」だということに関係していて、実はそれがわかったときにすごい腑に落ちたというか、企画として納得しちゃったところがあります。
AKB48というグループは、チームA、チームK、以下同様にB、4、8と5つに分かれて活動していますが、このうち「チーム8」だけ編成が特別で、各都道府県から1人ずつメンバーが集められてて、全47人(欠員あり)で構成されています。メンバーはそれぞれ地元の自治体を背負って出てきてるので、ほかのチームよりバイタリティがあり、対バンなどにも積極的で、わりとガッツがある活動をしていると聞いたことがあります。
読売新聞は、そういった地元選出のアイドルという背景を新聞の「地域面」とタイアップさせた企画をもう1年前からやっていて、地元のドライブスポットを紹介したりといったスピンアウトの一種として、コロナ自粛で集客にも苦慮する地方の美術館を地元のアイドルが訪れてアピールしようという地域おこしの応援企画だったと考えられます。
「美術館女子」では、「美術館を楽しもう!」を合言葉にチーム8のメンバーと各地の美術館を訪れます。
— 月刊チーム8取材班 (@yomi_team8) June 13, 2020
みなさんのお気に入りの美術館や、美術館の楽しみ方、記事への感想などを、「#美術館女子」とともにツイートしていただければ。こちらは東京都現代美術館のレストラン「100本のスプーン」にて。 pic.twitter.com/mrRRSgt5Xi
それで初回は小栗さん出身地の美術館がアサインされたわけですけど、それが東京都だったので地元感があまり理解されず、また現代美術をバックに撮影というミスマッチな仕上がりになってしまい、いろんな方向からツッコミやすかったのかもしれないなあとおもったりします。
ともあれ、チーム8が美術館を巡る企画はどうやらまだ続くようなので、うまくマンスプレイニング的な構成を脱して、美術が大好きな人間にも刺さるようピボットされるといいなとおもいました。