東京は竹橋の国立近代美術館で開催されている「眠り展」を見てきました。正月2日の東京は晴天。
▶ 眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで | 東京国立近代美術館
みんな毎日お世話になる「眠り」をテーマにした作品が120点ほど並んでいるそうで、なんと年明け早々にもかかわらず土曜日だから夜間開館を実施してて、コレクション展も含めて3時間ほど日が暮れるころからゆっくりと鑑賞しました。
今回は日本に6館ある国立美術館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館、国立映画アーカイブ)の合同展ということで、さぞ選りすぐった豪華な作品が並んでいるだろうと思いきや、作品リストPDFでもわかるようにそういう単純な展示ではなかった。
最初の部屋こそ、ルーベンス、クールベ、ルドン、アマン=ジャン、藤田嗣治と著名な画家の作品が並んでいるけれど、これは寝入りばなというか、こういった名画に囲まれながら目を閉じて眠りにいざなわれていく。なにしろ同じ部屋に暗闇もある。
部屋から部屋へと歩いていて気がつくのは、同じシリーズの作品が多いということ。オディロン・ルドン「ゴヤ讃」から6枚。マックス・エルンスト 「博物誌」から8枚。瑛九「眠りの理由」からは10枚。上の写真は楢橋朝子 「half awake and half asleep in the water」シリーズの8枚。
河口龍夫《関係―種子、土、水、空気》の部屋。作品は1つだけど、それぞれ植物の種を閉じ込めた鉛の板が30枚も並んでいる。
ダヤニータ・シン《ファイル・ルーム》も作品リストでは1つだけど、70冊の写真集が2段になって並べられている。このあたりまでくると展示の構成がシンプルで、さほど起伏がなく、少ない要素を繰り返しているように感じる。ミニマルアートという場合の「ミニマル」は少し意味が違うけれど、むしろミニマルミュージックといったときのミニマルさがある。
色彩を抑えたシリーズが多いためか全体的にモノクロームで、塩田千春の映像作品《落ちる砂》なども茫洋とした映像と繰り返す金属音によって眠りに誘われるようだ。
そしてたどり着くのが、河原温の作品だけで構成された部屋。解説には「眠りと目覚め、生と死との関係性について」とあるが、ここには単調な生活の繰り返しだけがある。おそらく副題にある「アートと生きること」とは河原温のことなのだろうか。
このロゴがとてもよかった。グラフィックデザインは平野篤史(AFFORDANCE)が担当されたとのこと。
コレクション展では、ソル・ルウィットの「ウォール・ドローイング」シリーズが新しく常設展示されていて、どこまでもコンセプチュアルアートの印象が残った。
ソル・ルウィットの巨大ウォール・ドローイングが東京国立近代美術館に誕生。現代美術の「醍醐味」を味わう|美術手帖
東京国立近代美術館は「眠り展:アートと生きること」を開催。人々にとって生きていくうえで欠かせないものであり、芸術家たちの創造を駆り立ててもきた「眠り」のかたちを、国立美術館のコレクションで見ていく。
18〜19世紀に活躍した巨匠・ゴヤを案内役に7章構成で、絵画、版画、素描、写真、立体、映像など幅広いジャンルの作品を展示。「眠り」が歴史のなかでどのように表現されてきたか、美術における眠りがもつ可能性、そしてそれらが私たちに投げかけるものは何かを探る。
眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで 会期 2020年11月25日~2021年2月23日 会場 東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー 住所 東京都千代田区北の丸公園3-1 電話 050-5541-8600 開館時間 10:00~17:00(金土~20:00)※入館は閉館30分前まで 休館日 月(2021年1月11日は開館)、12月28日~2021年1月1日、1月12日 観覧料 一般 1200円 / 大学生 600円 / 高校生以下・18歳未満無料 アクセス 東西線竹橋駅1b出口徒歩3分 URL http://www.momat.go.jp眠り展:アートと生きること(東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー)|美術手帖